目の前で視覚障害者が困っていたり、職場や学校に視覚障害者が来た際などに、どのように対応すれば良いのか、疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。
もし視覚障害者の方が困っていたら、次の手順で行動しましょう。
- 声かけが必要そうか判断する
- 声をかける
- 状況を説明する
- 誘導する
視覚障害者への声のかけ方や避けるべきことなどを理解すれば、いざという時に自信を持って対応できます。
この記事では、視覚障害者のために私たちがすぐできること、また避けるべき行動を紹介します。
すぐできる!視覚障害者のためにできること
視覚障害者の方が困っていたら、次の手順で行動しましょう。
- 声かけが必要そうか判断する
- 声をかける
- 状況を説明する
- 誘導する
それぞれのポイントを、詳しく説明します。
1. 声かけが必要そうか判断する
まず、声かけが必要そうか判断しましょう。
視覚障害者が助けを求めているかどうかは、状況により異なります。しかし、以下のサインがあった場合は困っている場合が多いのです。
- 明らかに危ない場所やタイミングのとき(例:赤信号で渡ろうとしているとき)
- 白杖を両手で、上に掲げているとき(白杖SOS合図)
- 同じ道をうろうろしているとき
- (電車や駅で)席が空いているのに、立ったままでいるとき
- 立ち止まって、周りを見渡しているとき
参考:白杖SOSとは?白杖使用者の声かけのポイントは何? 今更聞けない視覚障害者の使う白杖とは?③ | 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構(外部リンク)
このようなサインをしていなくても、サポートを求めている場合があります。「サインがない=困っていない」と考えるのではなく、サポートが必要そうな様子であれば、声をかけるのが望ましいでしょう。
2. 声をかける
サポートが必要そうだと判断したら、視覚障害者に声をかけます。突然身体に触れて誘導を始めたり、引っ張ったりはせず、まずは声をかけてみましょう。
具体的には、以下のような声かけです。
- 何かお困りですか?
- お手伝いしましょうか?
- ご案内しましょうか?
- どちらに行かれますか?
声かけの内容は、視覚障害者に限らず、困っている人に対するものと同じです。「自分が街で困ったら、どのように声かけしてもらいたいかな」と考えるとイメージしやすいでしょう。
参考:当事者に聞いてみた vol.1 「視覚障害者になんて声をかけたらいいの?」 | Spotlite(内部リンク)
3. 状況を説明する
視覚障害者の困りごとや行き先を確認したら、現在地や目的地の方向など、今の状況を説明します。
「あっち」「こっち」などの指示語や「高いビル」「青い看板」などの視覚情報では、視覚障害者はイメージできない場合が多いです。目的地を伝える場合は、「正面の方向」や「右手の方向」、もしくは「30センチ右」など具体的な方向で説明します。
方向の説明方法として「クロックポジション」も有効です。クロックポジションとは、物の位置情報を時計の短針に見立てて知らせる方法です。
定食を例にすると「2時の位置に煮物があります」「5時の位置にお味噌汁があります」「7時の位置に白飯があります」などとなります。
参考:クロックポジションとは?視覚障害者へ位置や方向を伝える方法 | Spotlite(内部リンク)
4. 誘導する
誘導する際は、白杖を持っていない側に立って誘導します。また、以下のポイントを意識します。
- 視覚障害者本人に、どのように誘導したらよいかを聞いてみる
- 視覚障害者に、自分の肘や肩をつかんでもらう
- 二人分の幅を取り、視覚障害者の歩くスピードに合わせる
- 段差や階段がある場合は一度止まって「階段を登ります」「段差があります」と伝える
- 曲がる場合も一度止まって、どちらの方向に曲がるかを伝える
- 別れるときも声をかける
日常的に視覚障害者と接していない場合には、誘導に慣れていないのは当然です。細かい方法が分からなくても、視覚障害者に「どのように誘導すればいいですか?」と聞けば、「私の右側に立って、肘につかまらせてください」など、丁寧に方法を教えてもらえることも多くあります。まずは勇気を出して、声をかけてみてください。
参考:視覚障害者の誘導方法はどうすればいい?場面別の対応も解説|Spotlite(内部リンク)
視覚障害者のために避けたほうがいいこと
視覚障害者のために、避けたほうがよいこともあります。
- 腕を引っ張らない、背中を押さない
- 抽象的な指示語を使わない
- 盲導犬に触らない、えさをあげない
腕を引っ張らない、背中を押さない
いきなり腕を引っ張ったり、背中を押したりする行為は避けましょう。視覚障害者が不安や恐怖を感じてしまいます。
また、自分のペースで歩くことができないと、転倒などの危険があります。
誘導する際は声をかけたあと、肩や肘をつかんでもらうようにしましょう。歩き始めたら、「速さはこのくらいでいいですか?」と、歩く速さを確認しましょう。
狭い場所を通る場合は「ここから狭くなります」と声がけし、誘導している腕を自分の背中に回します。視覚障害者は誘導者の後ろにまわり、一列になって進みます。
抽象的な指示語を使わない
「あれ」「こっち」「あちら」などの抽象的な指示語は、視覚障害者にとってイメージしづらい言葉です。
指示語は日常生活の多くの場面で使われていますが、視覚障害者への説明時には避けましょう。「右手側」「正面」「30cm」など、具体的な言葉を使って説明します。
盲導犬に触らない、えさをあげない
盲導犬がハーネスをつけている時は、視覚障害者の外出をサポートする仕事中です。可愛いからといってむやみに触ったり、えさをあげたりしないようにしましょう。
法律では公共交通機関や飲食店、スーパーなどへの盲導犬の同伴が認められています。盲導犬を見かけても、大きな声を出したり、声をかけたりしないようにしましょう。
最後に
視覚障害者をサポートする際には、次の手順で行動しましょう。
- 声かけが必要そうか判断する
- 声をかける
- 状況を説明する
- 誘導する
視覚障害者が、もしサポートを求めているのかなと感じたら、まずは勇気を出して、声をかけてみましょう。
Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。
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