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同行援護

【比較表つき】同行援護と移動支援の違いとは?対象者や資格なども解説

芝生の上を歩く視覚障害者とガイドヘルパーの足元。

「同行援護と移動支援の違いってなんだろう?」

このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

どちらも障害者の外出をサポートするサービスですが、同行援護と移動支援には以下の違いがあります。

同行援護移動支援
視覚障害者対象者・視覚障害者
・肢体不自由者
・知的障害者
・精神障害者
外出時における
・情報提供
・移動援助
・排泄や食事等の介護 など
支援内容外出の際の移動
・同行援護従業者養成研修の一般課程を
修了している。
・介護福祉士・居宅介護職員初任者研修課程
または視覚障害者外出介護従業者養成研修の
いずれかを修了していて、かつ、
視覚障害者・児の福祉に関する事業に
直接処遇職員として1年以上従事した経験が
ある。
・国立障害者リハビリテーション学院
視覚障害学科を修了している。
※上記のどれかに該当する者
従業者に
なるための資格
・同行援護従業者養成研修
・移動支援従業者養成研修
(全身性障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(知的障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(精神障がい課程)
※修了している研修によって、
支援できる障害が異なる。
実施主体地方自治体

参考:3 主要職種の資格要件(サービス提供責任者・従業者) | 東京都福祉局 | 東京都障害者サービス情報 | 書式ライブラリー(外部リンク)

この記事では、同行援護と移動支援の違いを詳しく解説します。

左手で同行する男性のひじをつかみ、右手で白杖を用いて階段を上る女性

同行援護と移動支援の違い

同行援護移動支援
視覚障害者対象者・視覚障害者
・肢体不自由者
・知的障害者
・精神障害者
外出時における
・情報提供
・移動援助
・排泄や食事等の介護 など
支援内容外出の際の移動
・同行援護従業者養成研修の一般課程を
修了している。
・介護福祉士・居宅介護職員初任者研修課程
または視覚障害者外出介護従業者養成研修の
いずれかを修了していて、かつ、
視覚障害者・児の福祉に関する事業に
直接処遇職員として1年以上従事した経験が
ある。
・国立障害者リハビリテーション学院
視覚障害学科を修了している。
※上記のどれかに該当する者
従業者に
なるための資格
・同行援護従業者養成研修
・移動支援従業者養成研修
(全身性障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(知的障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(精神障がい課程)
※修了している研修によって、
支援できる障害が異なる。
実施主体地方自治体

同行援護とは、視覚障害者を対象とした移動時の外出援護です。対象者の同行だけでなく、移動に関して必要な情報の提供、排泄や食事等の介護も行います。

参考:3 主要職種の資格要件(サービス提供責任者・従業者) | 東京都福祉局 | 東京都障害者サービス情報 | 書式ライブラリー(外部リンク)

移動支援とは、視覚障害者や身体障害者、知的障害者、精神障害者の移動支援です。社会生活上必要不可欠な外出や余暇活動などの社会参加を目的とした外出の援助を行います。支援方法や支援内容、外出先の範囲などは自治体によって異なります。

参考:大阪市における移動支援事業の概要|大阪市(外部リンク)

ここからは、同行援護と移動支援について、それぞれ詳しく解説します。

白杖の人とガイドヘルパーが並木道を歩いている写真。

同行援護について

対象者視覚障害者
支援内容・移動時や外出先において必要な視覚的情報の支援
・移動時、それに伴う外出先において必要な移動の援護
・排泄・食事等の介護、その他外出する際に必要となる援助
従業者の資格・同行援護従業者養成研修の一般課程を修了している。
・介護福祉士・居宅介護職員初任者研修課程か、
視覚障害者外出介護従業者養成研修のいずれかを修了していて、
かつ、視覚障害者・児の福祉に関する事業に直接処遇職員として
1年以上従事した経験がある。
・国立障害者リハビリテーション学院視覚障害学科を修了している。
※上記のどれかに該当する者
実施主体

参考:3 主要職種の資格要件(サービス提供責任者・従業者) | 東京都福祉局 | 東京都障害者サービス情報 | 書式ライブラリー(外部リンク)

ここでは、同行援護について以下のポイントを解説します。

  • 対象者
  • 支援内容
  • 従業者の資格
  • 実施主体

同行援護の対象者

同行援護の対象者は、視覚障害によって移動に困難を有する方です。

具体的には、同行援護アセスメント調査票で、移動に関する点数が1点以上、かつ移動支援障害以外の欄に関する点数のどれかが1点以上ある方が対象になります。身体障害者手帳を所持していなくても利用できる制度となっているようですが、最終的な判断は自治体に確認しましょう。

また、介護保険対象者でも同行援護は利用できます。

同行援護の対象者については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
参考:同行援護の対象者とは?利用までの流れも解説|Spotlite(内部リンク)

同行援護の支援内容

同行援護の支援内容について、厚生労働省は次のように定めています。

①移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む。)
②移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護
③排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助
参考:『同行援護就業者養成研修テキスト第4版』

同行援護を利用できる場面としては、娯楽(映画、外食、コンサートなど)や買い物、スポーツなどが当てはまります。また、墓参りや初詣、礼拝なども対象です。

一方、社会通念上適当でない外出(ギャンブル、風俗など)や営業活動等の経済活動に係る外出(選挙運動、宗教の布教活動など)は認められていません。通勤や通学など、長期的に継続される外出も対象外です。

参考:同行援護でやってはいけないこと、できないこと、できることをQ&Aで解説 | Spotlite(内部リンク)

同行援護従業者の資格要件

同行援護従業者とは、視覚障害者の外出援助を目的とした資格です。視覚障害者ガイドヘルパーと呼ばれることもあり、障害者自立支援法に基づいています。

同行援護従業者となるには、以下の条件のうち、どれか一つを満たす必要があります。

  • 同行援護従業者養成研修の一般課程を修了している。
  • 介護福祉士・居宅介護職員初任者研修課程か、視覚障害者外出介護従業者養成研修のいずれかを修了していて、かつ、視覚障害者・児の福祉に関する事業に直接処遇職員として1年以上従事した経験がある。
  • 国立障害者リハビリテーション学院視覚障害学科を修了している。

参考:.主要職種の資格要件(サービス提供責任者・従業者)|東京都福祉局|東京都障害者サービス情報|書式ライブラリー(外部リンク)

以前は同行援護従業者の資格がなくても同行援護を実施できましたが、平成30年4月以降は上記資格が必須となりました。

同行援護の実施主体と事業所開設

同行援護の実施主体は国です。そのため、どの市町村でもサービス内容や事業所開設のための条件等は同じです。

事業所が同行援護の指定を受けるには、各都道府県の窓口で申請を行います。事業所の所在地により異なるため、事前に確認しましょう。

  • 所在地が「政令指定都市」→政令指定都市
  • 所在地が「中核市」→中核市
  • 所在地が「政令指定都市・中核市以外」→都道府県
公園の地図見て位置を説明するガイドヘルパーと、それを聞く白杖を持った男性

移動支援について

対象者・視覚障害
・全身性障害
・知的障害
・精神障害
支援内容移動時、それに伴う外出先において必要な移動の援護
従業者の資格・同行援護従業者養成研修
・移動支援従業者養成研修(全身性障がい課程)
・移動支援従業者養成研修(知的障がい課程)
・移動支援従業者養成研修(精神障がい課程)
※修了している研修によって、支援できる障害が異なる。
実施主体地方自治体

同行援護は視覚障害者が対象でしたが、移動支援は以下4つの障害を持つ方を対象とした外出支援です。

  • 視覚障害
  • 全身性障害
  • 知的障害
  • 精神障害

ここでは、移動支援について以下のポイントを解説します。

  • 対象者
  • 支援内容
  • 従業者の資格
  • 実施主体

移動支援の対象者

移動支援の対象者は、以下のいずれかに該当する方です。

  • 重度の視覚障害者(児)
  • 肢体不自由者(児)
  • 知的障害者(児)
  • 精神障害者(児)

参考:障害者等の移動の支援について|厚生労働省(外部リンク)

同行援護は視覚障害者に特化していますが、移動支援は対象となる障害が多いのが特徴です。

支援対象者の範囲は地方自治体により異なるため、事前に確認しましょう。

千葉県千葉市の例:移動支援の手引き|千葉市(外部リンク)

移動支援の支援内容

移動支援は、社会生活上必要不可欠な外出や余暇活動などの社会参加を目的とした外出の援助です。一人では外出が難しい障害者に対し、ヘルパーが派遣されます。

「社会生活上必要不可欠な外出」とは、買い物や金融機関での手続き、冠婚葬祭などです。「余暇活動」は、美術館や映画館、プール、美容院などの日帰りの外出だけでなく、旅行などの宿泊を伴う外出にも利用できます。

また、移動支援には3つの方法があります。

個別支援型個別支援が必要な場合、1対1の移動支援となる
グループ支援型目的地が同じ場合や特定のイベントに複数人参加する場合に、
グループでの移動支援となる
車両移送型福祉バスなどの車両巡回による移動支援

同行援護は1対1の支援であるのに対し、移動支援はグループでの支援が可能です。

移動支援従業者の資格

移動支援従業者の資格は地方自治体により異なるものの、主に以下の4つがあります。

視覚障害同行援護従業者養成研修
全身性障害移動支援従業者養成研修(全身性障がい課程)
知的障害移動支援従業者養成研修(知的障がい課程)
精神障害移動支援従業者養成研修(精神障がい課程)

同行援護従業者養成研修に必要な日数は、一般課程のみの場合2〜3日間、一般課程と応用過程を連続して行う場合は4~5日です。一般課程修了で、視覚障害者の外出支援ができます。保有資格によっては受講を免除できる研修もあります。

同行援護従業者の資格や業務内容については、以下の記事も参考にしてください。

参考:同行援護の一般と応用の違いは?業務内容も解説 | Spotlite(内部リンク)

参考:同行援護従業者とは?資格要件や養成研修の内容を解説 | Spotlite(内部リンク)

移動支援従業者養成研修(全身性障がい課程)では、車椅子に乗っている方の外出支援を学びます。外出にともなう食事やトイレ介助も対象です。

移動支援従業者養成研修(知的障がい課程)は、知的障害者の基礎知識や移動介助についての研修です。

移動支援従業者養成研修(精神障がい課程)では、精神障害者の疾病や障害の理解、移動介助の方法などを学びます。

参考:移動支援従業者(ガイドヘルパー)の資格や仕事内容について徹底解説|介護ワーカー(外部リンク)

移動支援の実施主体

移動支援の実施主体は、各自治体です。そのため、自治体によって支援内容が異なります。

例えば、愛知県名古屋市では以下の外出時に支援が受けられます。

  • 社会生活上必要不可欠な外出:通所施設など社会福祉施設への通所、通院、行政機関での手続き、理美容院の利用、小学校・中学校・高校などへの通学 など
  • その他の外出:余暇活動などの社会参加を目的とする外出

参考:名古屋市の移動支援事業|ウェルネットなごや(外部リンク)

画像の左側に白で小さく車いすマークが描かれた茶色の壁
(写真素材:Unsplash)

同行援護と移動支援を同時に使える?

同行援護と移動支援を同時に利用する、いわゆる「併給」は原則認められません。

同行援護の対象者に当てはまる場合は同行援護を利用し、対象外となる場合は移動支援を利用することになります。

ただし、以下の場合は同行援護の対象者であっても、移動支援が利用できます。

  • 同行援護では対応できないサービス(グループ支援など)を利用する場合
  • 制度施行時に、自治体の同行援護の体制整備が十分ではない場合

参考:視覚障害者の移動支援とは?同行援護を使えない外出には移動支援が使えるかも | Spotlite(外部リンク)

各自治体の移動支援の実施要項などが公開されている場合があります。ただ、自治体によっては、ネット上に公開しておらず、個々の状況に合わせて対応するという自治体もありますので、まずは障害福祉課に電話して確認することをおすすめします。

最後に

同行援護とは視覚障害者に特化した、国による外出時のサービスです。これに対し、移動支援は視覚障害者・四肢不自由者・知的障害者・精神障害者が利用できる、地方自治体による外出時の福祉サービスです。

同行援護移動支援
視覚障害者対象者・視覚障害者
・肢体不自由者
・知的障害者
・精神障害者
外出時における・情報提供・
移動援助・排泄や食事等の介護 など
支援内容外出の際の移動
・同行援護従業者養成研修一般課程修了者
・居宅介護職員初任者研修修了者等で、
1年以上の直接処遇経験を有する者
(平成30年3月31日まで1年以上の
実務経験を要しない経過措置を設ける) 等
従業者に
なるための資格
・同行援護従業者養成研修
・移動支援従業者養成研修
(全身性障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(知的障がい課程)
・移動支援従業者養成研修
(精神障がい課程)
実施主体地方自治体
参考PDF:障害者等の移動支援の支援について|厚生労働省(外部リンク)

また、従業者になるための資格も異なります。それぞれの違いを理解したうえで、資格取得などを進めていきましょう。

しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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池のほとりで、ガイドヘルパーと白杖の人が談笑している。

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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