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視覚障害

視野狭窄とは?症状、関係のある病気、チェック方法を解説

女性の横顔の目元のクローズアップ。やや伏し目がちで周囲にモヤがかかったようになっている。

このページでは、視野狭窄について、症状や原因、関連する病気などをまとめています。

視野狭窄とはどういう症状?

視野狭窄とは、なんらかの病気が原因で、目の見える範囲が狭くなっている状態のことです。

視野狭窄の分類

視野狭窄の症状は、次のように分類されます。

  • 求心性視野狭窄(きゅうしんせいしやきょうさく):視野全体が、周囲から徐々に狭くなっていくこと
  • 中心暗点(ちゅうしんあんてん):視野の中に見えない部分があること
  • 半盲(はんもう):視野の右半分、または左半分が見えなくなること
  • 不規則狭窄(ふきそくきょうさく):視野の一部分が、不規則な形で狭くなること

求心性視野狭窄の見え方の例

求心性視野狭窄の見え方のイラスト。中心うっすら見えており、徐々にぼんやりしていて、外側は何もない状態。
画像引用元:「見えない」「見えにくい」とは? | 視覚障害リハビリテーション協会(外部リンク)

中心暗点の見え方の例

中心暗点の見え方のイラスト。中心が暗く外側ははっきりと見えている。
画像引用元:「見えない」「見えにくい」とは? | 視覚障害リハビリテーション協会(外部リンク)

視野狭窄の原因

視野狭窄は、おもに緑内障(りょくないしょう)や網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)、加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)などの目の病気によって引き起こされます。加齢黄斑変性症では中心暗点になることが多いです。

また、網膜が剥離(はくり)したり、網膜から出血したりした場合には、不規則狭窄が起こることがあります。視野狭窄が起こるメカニズムは、原因となる病気やケガによって異なります。

視野狭窄と関係のある病気

ここでは、緑内障や網膜剥離、網膜色素変性症など、視野狭窄と関係のある病気について紹介します。それぞれの特徴的な症状と視野狭窄が起こる理由、治療法を見ていきましょう。

緑内障

目と脳をつなぐ視神経が、なんらかの原因によって損傷する病気です。進行すると、視野狭窄や視力の低下が起こります。目の硬さである「眼圧(がんあつ)」が高い状態が続くと、視神経が障害されて緑内障を発症します。しかし、緑内障には眼圧が高くない正常眼圧緑内障というタイプもあり、日本人に多いとされています。

緑内障はいくつかの種類に分けられますが、一般に多い「開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう。正常眼圧緑内障を含む)」では初期症状はほとんどなく、徐々に視野狭窄や視力の低下が進んでいきます。一方、急激に眼圧が上がる「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」の場合は、治療が遅れると短期間で失明することもあり、緊急の対応が必要です。

緑内障は、一度発症すると回復することはない病気です。できるだけ早く発見し、眼圧を下げる治療を続けて進行を抑えます。

参考:よくわかる緑内障―診断と治療― | 公益社団法人 日本眼科医会(外部リンク)

網膜色素変性症

遺伝子変異によって網膜の視細胞と色素上皮細胞が広範囲にわたって変性する、先天性の疾患です。両目に発症し、発症の初期から視野狭窄と暗いところが見えにくくなる「夜盲」の自覚症状があります。徐々に進行し、高齢期には矯正視力約0.1以下となる「社会的失明」状態に陥る人も少なくありませんが、生涯良好な視力を保ったままの人もいます。

現時点では治療法が確立されておらず、国が難病指定しています。合併症として発症することのある白内障や黄斑浮腫(おうはんふしゅ)に対しては、通常の治療が行われます。

参考:網膜色素変性症(指定難病90) | 難病情報センター(外部リンク)

網膜剥離

網膜は眼球の後ろ側に広がっている薄い膜状の組織で、光を感じて伝える「神経網膜」と、神経網膜の土台になっている「網膜色素上皮(もうまくしきそじょうひ)」の二層に分かれています。網膜剥離とは、神経網膜がその下の色素上皮から剥がれてしまうことをいいます。

神経網膜をつくる視細胞への栄養は、色素上皮を通して供給されています。そのため、網膜剥離が起こると栄養が供給されなくなり、視細胞の機能が低下します。すると、光に対する感度が下がり、視野狭窄が起こったり、視力障害を感じたりします。

網膜剥離は外傷が原因になることもありますが、加齢などによって突然生じることもあります。失明につながる重篤な病気のため、すぐに手術を行う必要があります。

参考:飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの | 公益社団法人 日本眼科医会(外部リンク)

加齢黄斑変性症

黄斑変性症も、視野狭窄を引き起こすことがあります。網膜の中心部で、視覚感度の最も良い部位である黄斑に出血などを生じさせます。

加齢黄斑変性症は、欧米では、中途失明の原因疾患の第2位として知られてきましたが、昨今では日本でも高齢化に伴い、患者が増えています。中心暗点をきたす病気で、両側性に起こることもあり、高齢者の視野狭窄の多くを占めます。障害を受けた部分の網膜を再生させることは現状ではできないため、早期発見が重要です。

参考:知っておきたい加齢黄斑変性―治療と予防― | 公益財団法人 日本眼科医会(外部リンク)

脳疾患(脳梗塞や脳出血など)

脳梗塞や脳出血などの脳疾患も、視野狭窄を引き起こすことがあります。脳梗塞は、脳の動脈が詰まって血液の流れが悪くなり、脳がダメージを受ける病気です。脳出血とは、脳の血管が破れて脳の中に血液が漏れ出ること。血液の塊ができ、脳の一部が働かなくなります。

脳は部分ごとに働きが異なるため、ダメージを受けた脳の箇所によって、現れる症状は異なります。代表的な症状は、意識障害、半身が動かない、呂律が回らなくなる、頭痛など。視覚中枢や眼球運動神経が障害されると、視野の半分が見えなくなる半盲が起こるほか、両目で見るとものが二重に見えるようになることがあります。

脳疾患による視野狭窄は発症直後に症状が強くなり、その後改善していく傾向にあります。しかし、後遺症として残りやすいため、欠けている視野を補うリハビリを行います。

参考:脳卒中 | 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS(外部リンク)

参考:脳卒中の3つのタイプ | NHK健康チャンネル(外部リンク)

参考:脳梗塞で起こる視野障害について | 脳梗塞のリハビリ施設ガイドによる視野障害(外部リンク)

糖尿病網膜症

糖尿病は、膵臓から出るインスリンというホルモンが十分に働かないことで、血糖値が高くなってしまう病気です。血糖値が高い状態が続くと昏睡状態に陥るほか、何年も治療を受けないままでいれば、血管が傷つき、糖尿病網膜症、心臓病、腎不全、足の切断といった重い合併症が起こることもあります。

糖尿病の合併症のひとつである糖尿病網膜症は、視力の低下や視野狭窄をきたします。糖尿病網膜症を発症すると、網膜の細い血管が閉じ、異常に増殖した組織が網膜内や硝子体内に広がり、やがて網膜剥離を起こします。糖尿病網膜症と診断されたら血糖コントロールを行うだけでなく、定期的に目の検査を受け、糖尿病網膜症をできるだけ早く発見する必要があります。

糖尿病網膜症が進行した場合には、レーザー網膜光凝固術、硝子体手術などの治療が行われます。

参考:糖尿病とは | 糖尿病情報センター(外部リンク)

バス停の時刻表を見る弱視の女性

視野狭窄のチェック方法

医療機関で受けられる視野検査には、動的視野検査(ゴールドマン視野計)、静的視野検査(ハンフリーなど)があります。

自宅でできる簡易的なチェック方法を提供しているウェブサイトもあります。

参考)緑内障セルフチェック | ロート製薬: 商品情報サイト(外部リンク)

最後に

視野狭窄の症状は様々で、特に求心性視野狭窄と中心暗点は生活に支障をきたしやすいと言われています。

関係する病気には、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症などがあります。視野が気になる場合は、簡易的なチェック方法だけに頼るのではなく、適切な医療機関を受診しましょう。

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(アイキャッチ写真素材:Unsplash)

監修:椎野めぐみ先生

略歴:
眼科医。神奈川県生まれ。浜松医科大学医学部卒業後、横浜市立大学付属病院、みなと赤十字病院などを経て、横浜市立大学講師を務める。2018年上智大学グリーフケア研究所臨床傾聴士を取得。趣味は、美味しいものを食べること、感動する本を読むこと。

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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