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視覚障害者のための「音響式信号機」とは?音の違いや課題なども解説

歩行者用信号の上にスピーカーがついている様子、

「カッコー」「ピヨピヨ」などの音がする信号を、街中で見かけたり聞いたりしたことはありませんか?この信号は「音響式信号機」と呼ばれ、視覚障害者が安全に道を渡るための工夫がされています。

視覚障害者は普段、周囲の音や気配を頼りに横断歩道を渡ります。音響式信号機は便利で、設置台数は少しずつ増えてはいるものの、まだまだ音の出ない信号機が多いのが現状です。

この記事では、視覚障害者が横断歩道を渡る際に活用している音響式信号機の概要や課題、晴眼者が視覚障害者のためにできることなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

視覚障害者はどうやって横断歩道を渡っている?

一人で横断歩道を渡ろうとしている視覚障害者。

視覚障害者が横断歩道を渡る際、以下のような点に注意をしているようです。

点字ブロックがある場所なら、動くべき方向がわかります。しかし、点字ブロックがない場所では、周りの人の気配や足音を感じて進む方向を確認します。

また、動き始めのタイミングも周りの人の気配や音、車のエンジン音などを頼りに決めることが多いです。人によっては、街の環境音や風の流れなども情報のひとつにしています。

しかし多くの視覚障害者が人や車の音や気配を頼りに横断歩道を渡っているため、音が無い信号や車や人通りの少ない道路では、横断のタイミングを正確に判断できず一か八かで渡る場合もあるそうです。

「音響式信号機」は視覚障害者の安全にとって重要

横断歩道を渡っている視覚障害者とガイドヘルパー

目視での安全確認が難しい、もしくはできない視覚障害者にとって、横断歩道での歩行は非常に危険です。そんな視覚障害者が少しでも安全に横断歩道を渡るために作られたのが「音響式信号機」です。

次に、音響信号機の概要や音の意味を説明します。

  • 音響式信号機とは
  • 信号機が発するカッコーピヨピヨ音の意味

音響式信号機とは

「音響式信号機」とは、歩行者信号が青になったことを知らせる誘導音が出る信号機のことです。

音響式信号機には、以下の2種類があります。

  • メロディ式:「とおりゃんせ」などの音楽がなる音響式信号機
  • 擬音式:「カッコー」「ピヨピヨ」などの音がなる音響式信号機

警視庁の発表によると、令和4年3月末現在、音響式信号機の約99%が「カッコー」「ピヨピヨ」などの音がなるという擬音式になっているそうです。

参考:音響信号機に関するQ&A | 警視庁(外部リンク)

また音響式信号機には信号が青になったら自動で音が鳴るもののほかに、押しボタン式もあります。押しボタンを押すと「ピッ、ピッ」という音が出て視覚障害者に歩くタイミングや方向を示します。

音響式信号機は交通量の多い都心に多く設置されている一方、人通りの少ない道や地方では少ない傾向にあります。

信号機が発するカッコーピヨピヨ音の意味

音響式信号機のうち、擬音式のものは「カッコー」「ピヨピヨ」という音で歩行者信号が青であることを知らせます。この鳴き声は、道路の幅によって違います。

「カッコー」と鳴くのは交通量が多い幅の広い道路で、原則的に東西を示します。一方「ピヨピヨ」と鳴くのは交通量の少ない幅の狭い道路で、原則的に南北を示します。

参考:音の出る信号機(視覚障がい者用信号機)について | 大阪府警察(外部リンク)

音響式信号機の問題点

青信号の時間を延長するためのボタン。

視覚障害者が安全に横断歩道を渡るために欠かせない「音響式信号機」ですが、問題点も多いのが現状です。

視覚障害者が感じている問題点には、以下のようなものがあります。

  • 夜間や早朝は、地域住民への配慮から、音が鳴らない音響式信号機が多い
  • 音の鳴るスピーカーの位置が高すぎて、音が聞きづらい
  • 地方では音響式信号機が設置されていない場所も多い

近年では、横断歩道の手前で横断歩道の色を振動や音で伝えてくれるアプリ(信GO!)なども利用できるようになりました。しかし、アプリに対応するシステムが設置されているのは現在、全国約350カ所ほどで、全国に普及するにはまだ時間がかかるかもしれません。

参考PDF:日本初 歩行者信号の情報を提供するアプリケーション「信 GO!」をリリースいたします | 日本信号株式会社(外部リンク)

視覚障害者の命を守るためにできること

横断歩道をたくさんの人がわたっているところ。

視覚障害者の横断歩行中の事故は多いのが現状です。視覚障害者の命をまもるため、晴眼者ができることには、以下のようなものがあります。

  • 音響式信号機が設定されている場所は増えてきているが、現状は課題が多いことを理解する
  • 音響式信号機であっても、時間によっては音が鳴らない場合があることを知っておく
  • 横断歩道で困っている視覚障害者に声をかける

駅のホームなどで視覚障害者に声をかける人は増えていますが、横断歩道ではまだ多いとは言えない状況です。渡るタイミングがわからず困っている様子、押しボタンの位置がわからない様子が見えたら、積極的に声をかけてみましょう。

積極的な声かけが、視覚障害者の命を守ることにつながります。

最後に

外出するうえで横断歩道を「怖い」と感じる視覚障害者は多いです。そんな視覚障害者が少しでも安全に歩行するためのツールの一つに「音響式信号機」があります。音響式信号機は、音楽や鳥の鳴き声で青信号を伝えます。

しかし、音響式信号は地方では設置されていない場所が多いことや深夜早朝は音が鳴らない場合があるなどの課題も多いのが現状です。視覚障害者の命を守るためには、晴眼者の声かけや配慮が大切です。横断歩道で困っている視覚障害者を見つけたら、積極的に声かけを行いましょう。

1人で信号を渡るのが不安でも、同行援護を利用するなど、ガイドヘルパーと一緒だと安心して渡れます。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたライター

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Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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