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生活

視覚障害者の生活とは。部屋の中や仕事、趣味など暮らしの様子を紹介

町の中を歩く白杖の女性。蕎麦屋があり、その前に自転車やバイクが止まっている。

みなさんの中には視覚障害者の生活について、想像がつきにくい人もいるかもしれません。視覚障害者は、人によって見え方に違いがありますが、それぞれ生活を送る上で色々な工夫をしながら過ごしています。

この記事では、視覚障害者の部屋、外出、仕事、料理、レジャーなどについて、これまでのSpotliteの記事も紹介しながらまとめています。視覚障害者の生活について、少しでも知っていただくきっかけになれば嬉しいです。

視覚障害者の部屋ってどんな感じ?

キーボードを操作している視覚障害者。
全盲でエンジニアの野澤さんは、モニターを置かずにパソコンを使います。

視覚障害者の部屋での困りごととして、視覚で状況を把握しにくいため、ものをなくしやすい、部屋が汚れたことに気づきにくいなどが挙げられます。

例えば、一人暮らしの視覚障害者のエピソードとして、以下の記事があります。

参考:

視覚障害者の友達が、突然一人暮らしを始めました。 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者が引っ越し・一人暮らしで困ることとは?座談会を実施しました | Spotlite(内部リンク)

弱視で夜盲がある北原さんは、家の前で落とした鍵が見つからずに困った経験があります。

家の前で鍵を落としてしまって、管理会社や警察に連絡したことがあります。
最終的に地面を触って探していたらなんとか鍵が見つかって、来てくれた警察の方にもそうお伝えしました。
今は鍵にAppleのAir Tagをつけて、失くしても音で探せるようにしています。

視覚障害者の外出には、どんな方法があるの?

視覚障害者の外出には、いくつかの方法があります。

  • 歩行訓練を受けて一人で白杖を使用して外出する
  • 盲導犬と一緒に外出する
  • 友人や家族など身近な人と一緒に外出する
  • 同行援護など、公的な福祉制度を利用して外出する

参考:視覚障害者とお出かけ ~シウマイ食べ放題&買い物編~ | Spotlite(内部リンク)

まったく一人で出かけられないわけではなく、白杖や盲導犬を利用して、一人で出かける方も多いことは知っておきたいですね。
慣れていない場所に行くときには、同行援護を活用する方も多いです。

視覚障害者はどんな仕事をしているの?

視覚障害者は、あんまマッサージ指圧師の仕事に就いている人が多いですが、事務職として民間企業で働いたり、専門性を身につけてエンジニアとして働いたり、様々な職業に就く視覚障害者がいます。

参考:視覚障害者の仕事は?職種の例を、統計や当事者のコメントとともに紹介 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者はどうやって買い物をしているの?

視覚障害者が一人で買い物に行く場合は、お店のサービスカウンターで店員さんのサポートをお願いしたり、同行援護などのサービスを利用する方法があります。

支援が必要なのは、文字情報の代読、食品の鮮度の確認、衣類や雑貨の色の確認などです。

参考:同行援護を利用して買い物へ。ガイドヘルパーが注意することとは? | Spotlite(内部リンク)

また、「アイコサポート」のように、スマートフォンのカメラを通して、オペレーターが遠隔で目の前の情報を教えてくれるオンラインサービスもあります。

参考:無印良品でアイコサポート実証事業がスタート!全盲のサービス開発担当者が語る | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者はどうやって料理をしているの?

視覚障害者が料理をしているところ。切ったピーマンを手ですくって鍋に移そうとしている。

視覚障害者にも、晴眼者と同じように料理が好きな人がいます。

視覚情報に頼ることは難しいので、道具や方法を工夫しながら料理をしています。

弱視など見えにくい人の場合は、包丁とまな板は白と黒の組み合わせにするなど、見分けやすいように色のコントラストの強い道具を使用する人もいます。

また、一定量だけ調味料が出る調味料入れや、音声読み上げ機能のついた「はかり」など、視覚障害者向けの道具を活用している人もいます。

視覚障害者にとって難しいことの1つが、火の通り具合の確認です。特に焼きものの場合、慣れていない人はタイマーをよく利用します。ただ慣れている人の場合は音の変化を聞いて焼き加減を見極める人もいます。

私は地元の郷土料理をめんつゆを使って自分なりに作ったりします。

詳しくは、以下の記事も参考にしてください。

参考:視覚障害者が料理する方法は?使用する便利グッズも紹介 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者が食事のときに困ることはなに?

視覚障害者は、手で触れて食器の位置を確認しながら食事をする方が多いです。

一緒に食事をする場合には、食事の内容や食材などを口頭で伝えると、どんな食事なのか、何品あるのかわかりやすくなります。

見えにくいことで困るのが、食事の1品1品の配置です。特に熱い料理はやけどに注意が必要です。手が触れる前に口頭で伝えましょう。

クロックポジションを使って食事の配置を伝えるのもひとつの方法です。

クロックポジションに置かれた洋食メニューの写真。
クロックポジションの例。ハンバーグを中心に、12時の方向にサラダ、3時の方向にウーロン茶、6時の方向にごはん、9時の方向にスープが置いてある

クロックポジションについては、以下の記事で解説しています。

参考:クロックポジションとは?視覚障害者へ位置や方向を伝える方法 | Spotlite(内部リンク)

また、自宅などで食事をする際には、食器の中の料理が見えやすいように工夫する人もいます。黒いお茶碗に白いご飯をよそったり、白いお皿に色の濃いおかずを盛り付けたりすることで、食べた量や残っている量が見やすくなる人もいます。

外食のときは、メニューが読めない場合が多いので、メニューを代読したり、コミュニケーションを取りながら一緒に選びましょう。

タッチパネル式の注文は、音声ガイドがついていない場合には、視覚障害者が操作をするのは難しいので、晴眼者が一緒にいる場合には代わりに注文をしてもいいでしょう。

視野や見え方は人それぞれです。以下の記事も参考にしてください。

参考:見えにくい2人の珍道中 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者の食事のときの工夫については、以下の記事も参考にしてください。

参考:視覚障害者が食事をするときの工夫は?クロックポジションや声のかけ方などをご紹介 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者はどんな趣味やレジャーを楽しんでいるの?

視覚障害者の女性と晴眼者の女性二人が、公園のベンチに座って楽しそうに笑いながら話している。

サッカーや野球などのパラスポーツを楽しむ人や、読書を楽しむ人、旅行や映画鑑賞など、視覚障害者も晴眼者と同じように趣味やレジャーを楽しんでいます。

これまでのSpotliteの記事や、参考になる外部リンクも合わせてご紹介します。

映画鑑賞

音声ガイド付きの映画が多く公開されています。音声ガイドは、セリフの合間に状況や登場人物の表情などの説明が入るので、視覚障害者も映画を楽しむことができます。

音声ガイドは、専門の制作会社がつくります。近年は、音声ガイド制作時に映画監督の監修が入ることも増え、より作品のメッセージが伝わりやすい音声ガイドが制作されるようになってきているそうです。

参考:視覚障害者でも音声ガイドがあれば映画を楽しめる!視覚障害者が主役の映画もあわせて紹介 | Spotlite(内部リンク)

博物館・美術館

触って楽しめる模型や、音声ガイドを取り入れている博物館や美術館もあります。

また、視覚で楽しめるよう展示されることが多い博物館でも、同行援護を利用することで、ガイドヘルパーを通して新しい発見ができます。

参考:ガイドヘルパーの目を通して見る博物館。同行援護に密着 | Spotlite(内部リンク)

音楽鑑賞・演奏

音楽は耳で楽しめるので、多くの視覚障害者が晴眼者と同様に楽しんでいます。

好きなアーティストのライブに一人で出かける人もいます。

また、音楽の演奏を趣味として続ける人やプロの演奏家になる人もいます。

参考:

「ライブに行きたいという気持ちが色んな葛藤を超えました」小林直美さん | Spotlite(内部リンク)

「ダイナミックな太鼓の演奏でほんの少し社会を揺さぶりたい」社会福祉士で和太鼓奏者の片岡亮太さんが描く未来 | Spotlite(内部リンク)

読書

視覚障害者が読書をすると聞くと、意外に思う人もいるかもしれません。

最近は、聞く読書のサービスも増えています。電子書籍であれば音声読み上げ機能を使って読書を楽しむこともできます。

また、点字図書館は2023年時点で日本全国に76施設あります。

参考PDF:点字図書館一覧(令和5年4月1日時点)|厚生労働省(外部リンク)

点字図書館には、点字の本だけでなく音声で楽しめるDAISY図書がおいてある場合もあります。

参考:マルチメディアDAISY図書(外部リンク)

弱視の人は、「拡大読書器」を使って本を読むことができます。

長机に拡大読書器が複数並んでいる写真。
地域の支援センターに拡大読書器が置いてある場合もあります。(撮影場所:神戸アイライトセンター)

旅行

晴眼者にとっては、「視覚障害者の旅行」と聞いても、どうやって旅行を楽しんでいるのか想像がつかない人もいるかもしれません。しかし、視覚障害があっても、それぞれの楽しみ方で国内外を積極的に旅行をしている人もいます。

Spotliteでは、以前旅行好きの視覚障害者の皆さんの座談会を実施しました。関心のある方は、以下の記事もお読みください。

参考:「見えないからこそ、実際に足を運んで体験したい」 視覚障害者3名が語る「私と旅行」 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者の北原さんも、旅行を楽しんでいる一人です。

目当ての観光地にたどり着けなかったり、道に迷ったりといったハプニングもありますが、迷うことも楽しめるようになりました。
また、あらかじめガイドをお願いしたり、困ったら積極的にコミュニケーションを取ったりしながら旅行を楽しんでいます。

スポーツ

視覚障害者も楽しめるスポーツには、マラソンやトライアスロン、サッカー、ボウリングなどさまざまな種類があります。また、練習を積み重ねて、パラリンピックへの出場を目指す方やプロのアスリートとして活躍する人もいます。

参考:視覚障害者が楽しめるスポーツとは?種類や工夫の方法も紹介 | Spotlite(内部リンク)

並木道で両手を上げて伸びをする視覚障害者。右手には白杖、左手にはペットボトルを持っている。

ボードゲーム

「ゲームって目が見える人しか遊べないのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、視覚障害者でも楽しめるゲームはあります。

音を聞いたり手で触ったりすることで、十分に楽しめるゲームがあります。

参考:

視覚障害者でも楽しめる!おすすめのボードゲームなどを紹介 | Spotlite(内部リンク)

“見ても見なくても見えなくても楽しめる”。大学生が作ったユニバーサルボードゲーム「グラマ」の体験会を開催しました | Spotlite(内部リンク)

最後に

視覚障害者は人それぞれ見え方に違いがあり、生活スタイルや日々の工夫も様々です。視覚障害者だから特別な生活をしているということはなく、見えない・見えにくいことで困ることを補いながら、晴眼者と同じように生活をしています。視覚障害者の生活に関わることがあった際には、適切にコミュニケーションを取り、必要なサポートをできるように心がけてみてください。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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