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視覚障害者の誘導方法はどうすればいい?場面別の対応も解説

大きな通りを視覚障害者とガイドヘルパーが歩いている、

視覚障害者の誘導方法には、心構えややり方の基本となる部分があります。周囲の状況を把握しながら、目の前の誘導する人とコミュニケーションを取らなければいけないため、臨機応変さが求められます。ただ、視覚障害者の誘導によって、豊かなコミュニケーションが生まれることもあります。

その具体的な方法とはどのようなものでしょうか。この記事では視覚障害者を誘導するときに注意することや基本的な誘導方法について解説していきます。

一緒に歩くときの誘導方法

視覚障害者と一緒に歩くときに誘導する人が主に気をつけたいことは、以下の3点です。

基本の姿勢、体勢

まずは、基本の姿勢です。誘導をする人が前に立ち、ひじや肩に手を添えてもらいます。白杖を持っていない方の手を添えてもらうのが基本ですが、当事者の希望を優先するようにしましょう。

誘導するための手を掴んでもらう位置は、基本的には肘の少し上です。

ただ、身長差があったりする場合に肩に手を置いてもらうこともあります。

ガイドヘルパーの肘をつかんでいる写真。
ガイドヘルパーの肩に触れている写真。

障害物に注意

誘導をしながら歩いていると道幅が狭く、2人分のスペースが取れない場合もあります。そのときは、誘導する腕は離さず、前後になるようにしましょう。

歩くスピード

歩くスピードは、視覚障害者でも人それぞれです。つい、ゆっくり案内した方が親切かと思いがちですが、一般的なスピードで歩くことができる人も多いです。もし迷ったら、確認しながら調節することが重要です。また、誘導する人自身も歩きやすいスピードを伝え、相互にコミュニケーションを取ることを心がけましょう。

誘導を始める前の声のかけ方

晴眼者が視覚障害者に声をかけている写真。

視覚障害者を誘導する際に、声かけは非常に重要となります。ここでは、場面別の声のかけ方について解説します。

はじめに声をかけるとき

まずは「お手伝いできることはありますか?」「誘導は必要ですか?」など、近くから声をかけてみます。このとき、声をかけず、いきなり身体に触れると相手はビックリします。まずは、声をかけてから、相手が希望すれば誘導するようにしましょう。

一緒に歩いているときの声かけ

一緒に歩いていて道の状況が変化したときに、「右に曲がります」「狭くなります」「階段があります」と状況を伝えるようにします。

移動手段が複数ある場合には、「階段、エスカレーター、エレベーターのどれがいいですか?」などと確認するようにしましょう。

また、誘導する際の注意点として、これ・あれなどの指示語を使わないことが挙げられます。「3メートル先」「2時の方向」など、なるべく具体的に伝えることが必要です。

周りの景色や気になったものも伝えてOK

視覚障害者が会話を好む人の場合、もし誘導中、周囲の景色に気を配る余裕があれば、「いい天気ですね」「おしゃれなカフェがあります」「ランドマークとなる大きな建物が見えます」など目に見えたものを伝えるのも良いでしょう。歩きながら無理のない範囲でコミュニケーションを取るようにしましょう。

場面別の誘導方法

視覚障害者を誘導する際には、場面ごとに気をつけることがあります。ここでは、場面別の誘導方法について簡単に解説します。

狭いところや人混み

狭いところや人混みなどのスペースが十分に取れない場所では、「狭いので私の後ろを歩いてください」と伝え、誘導者と前後一列で歩きましょう。誘導している腕を後ろに回すと、視覚障害者が、誘導者の後ろに入りやすくなります。

段差があるところ

段差のあるところでは、まず段差に対し直角に立ち止まります。段差の高さを説明し、視覚障害者がつま先や白杖で段差を確認した後に進みます。

視覚障害者とガイドヘルパーが階段を下りている写真。

階段・エスカレーター

階段とエスカレーターが両方ある場合、どちらを利用するかを視覚障害者に確認します。その際、「階段です」というだけでは、上りか下りかが分からないため、「上りの階段です」「下りのエスカレーターです」というように、上りか下りかを必ず伝えましょう。

階段では、視覚障害者が最初の段を確認した後、誘導する人が先に進みます。段差を進んでいる時は、一定のリズムで、常に視覚障害者より1段先を進むのが原則です。

エスカレーターの場合、乗り口で立ち止まり、手すりに誘導し、誘導する人が先に乗るようにしましょう。

乗り物

バスに乗る場合は、階段と同じように、視覚障害者がステップを確認した後、誘導する人が先に進みます。

電車に乗る場合、切符の購入から改札口の通過、ホームで電車に乗るまで多くのステップがあります。駅構内の誘導であれば、駅員が対応してくれる場合もあります。

視覚障害者を誘導する際に気をつけたいこと

広い公園の中をガイドヘルパーと歩く視覚障害者の写真。

視覚障害者を誘導するには、多くの注意が必要になります。ただ、人同士の関わり合いになりますので、以下の3点に気をつけながらコミュニケーションを取るようにしましょう。

相手の意思を尊重する

視覚障害者であっても、慣れた道を歩いているときや急いでいるときなど、支援を必要としていないケースもあります。まずは声をかけ、相手の希望に合わせて支援をするという気持ちが大切です。もし、断られても、今回はたまたま支援が必要がなかっただけかもしれませんので、視覚障害者を見かけたら、勇気を出して声をかけてもらえると嬉しいです。

分からない時は聞いてみる

街なかで視覚障害者を誘導をすることになると、「ぶつかったらどうしよう」「転んでしまったらどうしよう」と不安になるかもしれません。視覚障害者の誘導に慣れていなければ、当然ですよね。そんな時は、どのように誘導をすればいいか視覚障害者に聞きながら、しっかりコミュニケーションを取って、丁寧に誘導することで、視覚障害者も安心して誘導を受けられるようになります。

適切な距離感も忘れずに

コミュニケーションは重要ですが、プライバシーに関わることは聞きすぎず、適切な距離感を保つことも重要です。

最後に

視覚障害者の見え方や性格は一人ひとり異なります。街なかで困っていそうな視覚障害者を見かけた際は、勇気を出して声をかけてみてください。

「同行援護従業者」の資格を取得すると、さらに詳しい誘導方法を学び、仕事として視覚障害者を誘導することができます。

以下の記事では、同行援護従業者研修の資格取得の要件や、一般課程と応用過程の違いについて解説しています。参考にしてみてください。

参考:
同行援護従業者とは?資格要件や養成研修の内容を解説|Spotlite(内部リンク)
同行援護の一般と応用の違いは?業務内容も解説 | Spotlite(内部リンク)

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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