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聞いてみた・やってみた

当事者に聞いてみた vol.1 「視覚障害者になんて声をかけたらいいの?」

点字ブロックの上を歩く視覚障害者に声をかけている晴眼者を足元のみ撮影した画像

こんにちは、高橋です。私は歩行訓練士として2年間福祉施設に勤務し、ガイドヘルパーの仕事をして1年経ちました。
まだまだ経験値は少なすぎますが、座学だけでは分からなかった視覚障害者の率直な思いに触れることがあります。
そんな中から、多くの人に知ってほしいと感じた生の声を不定期にお届けします。

たった1名の意見なので全員が同じではないですが、偽りのない視覚障害者の声であることも確かです。
正解はないと思いますので、「このように考えている視覚障害者もいる」という一意見としてご覧ください。

1回目は、街中で白杖を持っている人を見かけた時の声のかけ方について聞いてみました。
みなさんならなんと声をかけますか?

ある視覚障害者の声

「視覚障害者に声をかける時、『大丈夫ですか?』は失礼だから『お手伝いしましょうか?』と声をかけましょう」と言う人もいますが、白杖を持ってるからといって小難しく考えないでください。

街中を普通に歩いている人に「大丈夫ですか?」と声をかけたら、それは失礼です。
でも、何か困っていそうな人や、怪我や体調不良でうずくまってる人であれば「大丈夫ですか?」と声をかけるのが自然ですよね。その際、どういう点に気を遣うでしょうか?
それを想像すればいいだけ。視覚障害に限らず困っている人に対する声かけと同じで良いのです。

普通、声かけと同時に腕掴んだり、無言でいきなり腕を引っ張って案内をしたりしませんよね?

みなさんが同じことをされたら怖いと思います。
だから、身体に触る前には一声かけてもらえると嬉しいです。声をかけたあと、終始無言のままで介助されるのも不安になってしまいます。

また、皆さんが誰かを道案内する時は、眼鏡やバッグを掴んで誘導しないと思います。だから、視覚障害者を誘導する時も白杖には触らないようにしてくださいね。
こうして考えると、視覚障害者を誘導する時に気を付けることも街中で困っている人を道案内する時と変わらないなと思うはずです。

女の人が視覚障害者を誘導している画像


たまにSNSで、声をかけた視覚障害者が怒ったり悲鳴をあげたりすると 「介助してあげようとしたら怒られた。何様だ」というような投稿を見ることがあります。
視覚障害者に原因があった可能性もありますが、もしかしたら声をかける前に急に体や白杖を触ってしまったのかもしれません。

基本的に体に触れる前には一言かけてほしいですが、危険が差し迫っている場合だけは例外です。
白杖を持っていると、些細なことでも危険な状態に陥ります。
例えば、赤信号を間違えて渡ろうとして車に轢かれそうになることもあります。そんな時は、必要であれば無言で腕を掴むどころか突き飛ばすのもありだと思います。
でも、うまく受け身が出来ないって事だけは一応気にかけていただき、できるだけ安全にお願いできれば嬉しいです。

声のかけ方について特別な方法はなく、 マニュアル化するようなものでもありません。
誘導の仕方も同様です。もちろん予備知識があるに越したことはありませんが相手が全盲なのかロービジョンなのか、ロービジョンでもどのような見え方なのかなど、それぞれで状況が違うのでマニュアル化なんてしきれません。


そもそも細かい誘導方法を覚える必要はないんです、本人に聞けば良いだけですから。
もちろん障害者が相手なので安全面で注意すべき点はありますが、とりあえず私自身は無作法をあまり気にしません。

さすがに終始無言の人には恐怖を覚えるし、突然腕を掴まれたりするとビックリしてしまいます。
それでも助けてくれようとしている行為がありがたいことには変わりありません。

皆さんは作法やマナーを気にし過ぎず、困っていそうな人を見かけたら気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。

もし安全面で危うい場合は、次に活かしてもらえるよう、気分を害さない程度にやんわりとダメ出しをするかもしれません、その時はあしからず…

まとめ

今回お聞かせいただいた中で、「細かい誘導法を覚える必要はない。本人に聞けばいいだけだから」という話が印象的でした。
そう思えば、声かけのハードルが少しは低くなりそうですね。

分からないことは聞いて相手の望むことを提供するというのは、視覚障害者の誘導だけに限らず、色々なコミュニケーションの基本なのかもしれません。

視覚障害者の誘導法に関する基礎知識を知りたい方は、日本点字図書館のWebサイトに分かりやすくまとめられており、パンフレットもダウンロードできます。
ぜひご参照ください。

視覚障害者の誘導法を学ぶ同行援護研修

私の周りでも「視覚障害者の力になりたいけど、何と声をかけたらいいか分からない」と言う方が、とても多い印象です。

国の福祉制度の中で、視覚障害者の外出をする際に移動の支援や情報提供を行う「同行援護」というサービスがあります。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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※ 当事務所は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、および香川県に対応しています。

この記事を書いたライター

高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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