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視覚障害

弱視とは?原因となる症状や大人と子どもの弱視の違いを解説

弱視の男性とガイドヘルパーが公園を歩いている写真。

このページでは、「弱視とはなにか」や、弱視の見え方、困りごとなどについてまとめています。

弱視とは

弱視(ロービジョン)とは、全盲ではない視覚障害全般を指します。

具体的には、以下のように質の異なる2種類の状態をまとめた呼び方です。

  • 社会的弱視(教育的弱視)
  • 医学的弱視

社会的弱視(教育的弱視)とは、視覚による生活ができるものの、困難や不自由を伴う状態のことです。視覚的な情報を全く得られない、あるいはほとんど得られない盲(もう)とともに、「ロービジョン」と呼ばれることもあります。

社会的弱視は、現行の治療手段では改善が期待できない視機能の障害です。そのため、日常生活や社会生活において、長期にわたりさまざまな制限を受けます。

教育的弱視は、文部科学省による定義に該当することがあります。例えば、学校教育法施行令では、視力(両眼の矯正視力)によって以下のように定義されています。

  • 盲:0〜0.02未満
  • 準盲:0.02〜0.04未満
  • 弱視:0.04〜0.3未満

医学的弱視は、視覚が発達する児童期までに視覚機能の正常な発達が阻害され、低視力となっている状態を指します。強い遠視や乱視、斜視などが原因で起こります。

ロービジョンとは、主に社会的弱視のことを指します。

参考:平成医療短期大学「弱視(ロービジョン)と 弱視 (amblyopia)」(外部リンク)

参考:河野友信、若倉雅登編集『中途視覚障害者のストレスと心理臨床』

白杖の男性とガイドヘルパーの足元の写真。

弱視(ロービジョン)の見え方

弱視(ロービジョン)には、さまざまな見え方があります。主な見え方を紹介します。

  • ぼやけて見えにくい
  • まぶしさによって見えにくい(羞明)
  • 暗い場所で見えにくい(夜盲症)
  • 視野の周辺部が見えにくい(求心性視野狭窄)
  • 視野の中心部が見えにくい(中心暗点)

詳しくは、以下の記事で紹介しています。

参考:視覚障害者の見え方はどのようになっている?特性ごとに紹介 | Spotlite(内部リンク)

私は4,000~8,000人に1人がなると言われる難病、網膜色素変性症によって視力が低下しています。この病気は進行性なので、年を重ねるごとにどんどん見えなくなっていきますが、そのスピードは人によって違います。中高年の失明の原因3位になるほど患者数が多いです。

私の場合、子供のころは視力が0.8くらいありましたが、今は0.05しかありません。

弱視によって生じる困りごと

移動

主には、暗い道、横断歩道、電車やバスなどの公共交通機関、人混みなどの場所などで、周囲の状況を把握できずに危険を感じることがあります。

情報へのアクセス

文字が小さい、色のコントラストが弱い、紙で貼られた掲示に気づきにくいなど、情報へのアクセスにはさまざまな困難が生じます。

仕事

仕事での困りごとは、移動や情報アクセスの難しさにつながっています。安全に通勤できるかどうか、パソコンなどの労働環境が整備されているかどうかなどの要因で、仕事のしやすさが変わってきます。

メンタル面

上記のようにさまざまな難しさを感じることで、メンタル面への影響が生じ得ることも押さえておくべきでしょう。

“視覚障害者には,視覚の障害された新しい状況に適応したり,新しいことを覚えることや学習するうえでの悩み,恋愛や結婚,出産,子育てをめぐる悩み,仕事をするうえでの悩みなどがあり,それらにどのように対処するのかなど課題が多いのです。”
引用:河野友信、若倉雅登編集『中途視覚障害者のストレスと心理臨床』

特に中途障害では、障害受容が大きな課題となることがあります。

紅葉の公園の中、階段を上る弱視の男性とガイドヘルパー。

弱視者の生活への対処

弱視になったとき、見え方や置かれた環境によって、さまざまな対処法があります。ここでは、具体的なアクションを紹介します。

ロービジョン外来を受診する

眼科のなかには、ロービジョン外来を設置しているところもあります。治療はもちろんのこと、教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的ケアなどさまざまなサポートを受けられる可能性があります。

参考:ロービジョンケア | 日本眼科医会(外部リンク)

Spotliteでは、ロービジョンケアを提供されている椎野めぐみ先生にインタビューしました。

参考:
「目が見えなくなってもその人の人生は続く。ロービジョンケアをもっと身近に。」眼科医 椎野めぐみさん(前編) | Spotlite(内部リンク)
「目が見えなくなってもその人の人生は続く。ロービジョンケアをもっと身近に。」眼科医 椎野めぐみさん(後編) | Spotlite(内部リンク)

同行援護を利用する

同行援護では、国の障害福祉サービスで、外出時の移動のサポートを受けることができます。

詳しくは、以下の記事で解説しています。

参考:同行援護とは?支援内容や対象者・移動支援との違いを解説 | Spotlite(内部リンク)

その他の福祉サービスを利用する

居宅介護、自立訓練(機能訓練)などの障害福祉サービスを利用できる可能性があります。

ほかにも、就労移行支援。補装具費の支給や盲導犬の貸与、相談支援などがあります。

詳しくは、以下の記事で解説しています。

参考:視覚障害者の支援制度とは?内容や利用方法を紹介 | Spotlite(内部リンク)

情報へアクセスするツールを利用する

スクリーンリーダーや画面拡大、色調変更、点字ディスプレイの利用など、お持ちのパソコンやスマホなどで情報アクセスを改善することのできるツールがあります。

詳しくは、以下の記事で解説しています。

参考:視覚障害者のパソコンの使い方とは。関連機器も紹介 | Spotlite(内部リンク)

Spotliteでは、アクセシビリティガイドラインを策定し、公開しています。

参考:視覚障害者に必要なアクセシビリティとは?|Spotlite(内部リンク)

タブレットで音声読み上げを使用しているところ。

弱視のまとめ

弱視の種類や見え方、それによって生じる困難、対処方法などについて紹介しました。

ひと口に弱視と言っても、その見え方や困りごとは多様です。ご自身に合った対処が見つかることを願っています。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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※ 当事務所は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、および香川県に対応しています。

監修:椎野めぐみ先生

略歴
眼科医。神奈川県生まれ。浜松医科大学医学部卒業後、横浜市立大学付属病院、みなと赤十字病院などを経て、横浜市立大学講師を務める。2018年上智大学グリーフケア研究所臨床傾聴士を取得。趣味は、美味しいものを食べること、感動する本を読むこと。

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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