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口コミで参加者が集まる「wacca」の不思議な魅力

円形に並んだ椅子に参加者が座っている画像

春本番の4月13日、東京都杉並区で行われた「wacca」に参加してきました。
会場は高円寺駅から徒歩8分、高円寺障害者交流館の地下会議室です。
この日集まったのは、視覚障害者やガイドヘルパーなど22名。
自己紹介をした後、自由に情報交換を行いました。
今回は、視覚障害当事者が中心となって定期的に行われる集まりwaccaをご紹介します。

waccaとは?

中途視覚障害者が地域で快適に過ごすための情報を当事者同士が提供しあう場です。

waccaは障害当事者/家族/サポーター/ガイドヘルパーたちが参加しています。

wacca Twitterより

2016年4月に始まり、今回で19回目。
途中一時中断していた時期もありながら、1~2か月に1回程度、定期的に開催してこられたとのことです。
今後は、毎月1回開催する予定だそうです。

概要

名称wacca
開催日時毎月第1土曜日 13:30~15:30
会場高円寺障害者交流館 もしくは 高井戸地域区民センター
参加費300円
参加者視覚障害者(手帳の有無は問わない)、家族、支援者
申し込みTwitter(@wacca2016)からダイレクトメッセージで連絡
代表者佐藤一人

実際に参加してきた

参加者は?

視覚障害者13名、ガイドヘルパー9名、合計22名でした。
埼玉県川越市など、遠方から来られている方もいらっしゃいました。

内容は?

13:30~13:50 自己紹介

名前、お住い、見え方を1人ずつ簡単にお話します。

13:50~15:30 フリートーク

代表の佐藤一人さんが参加者に話題を振って、自由にお話をします。

参加者が談笑している画像
左端が代表の佐藤一人さん

フリートークの中身を少しだけご紹介

  • 杉並近隣で行われるイベント
    朗読の会やサウンドテーブルテニスの教室など、近隣でのイベントについて情報共有。
    サウンドテーブルテニス教室に参加しなくなったのは、若い女性講師からおじいちゃん先生に変わったから…!?
  • 伴走
    実際に参加されている方が、色々なクラブの特徴をご紹介。
    伴走する人にはお金持ちが多いって本当…!?
  • 視覚障害者の仕事
    在宅勤務する方は、パソコンの通信がなくなると本社から「仕事しているの?」って確認が来るとか。
    他には、タロットカードで占いをされている方も。
  • 国家公務員の障害者雇用
    実際に試験を受けられた方からのリアルな受験レポート。
    「サインペンは他の人の答案にインクが映るから」という理由で利用が認められなかったなど、合理的配慮の難しさを感じました。
  • 当事者同士で遠隔で集まるために
    Zoomというアプリを使えば、URLを共有するだけでオンライン会議ができるそう。
    全国、いや世界中の人とつながれるかも?!
    拡大系のアプリと間違えないようにしなければ。
  • 少しだけSpotliteをご紹介
    参加者の皆さんから「こういうサイトにしてほしい」という要望をいくつかいただきました。
    貴重なご意見、ありがとうございました。

佐藤一人さんインタビュー

wacca代表の佐藤一人(さとうかずと)さん。
皆さんからは「ひとりさん」の愛称で呼ばれています。
ひとりさん自身、ベーチェット病による視覚障害当事者です。

普段は、障害者地域相談支援センター高井戸 「すまいる高井戸」でピア相談員をされています。


ーwaccaを始められたきっかけは何ですか?

3年前に、東京視覚障害者生活支援センターで機能訓練を受けました。卒業する時、仲間たちと「訓練が終わって地元に帰ったらどうする?視覚障害者の集まりってないよね?」という話をしていたんです。
ちょうどその頃、埼玉で行われた視覚障害者の集まりを見学に行く機会がありました。ガイドさんからも「外に出られない視覚障害者がいる。4~5人でもいいからやってみたら?」と言われたのがきっかけで始めました。

ーどのように参加者を募ったのですか?
特に宣伝はしていなくて、ガイドさんや当事者同士の口コミで知ったようです。Twitterのアカウントは作ったので、Twitter経由で参加してくださった方もいました。
最初から予想以上にたくさんの方に参加いただき、多い時では30人近く集まったこともありましたね。

ー「wacca」という名前の由来はなんですか?
最初は名前もなく、ただ集まっていたのですが、3回目くらいに「そろそろ名前をつけよう」という話が出たんです。
一緒に始めた女性が考えてくれたのが、「輪」をイメージした「わっか」という言葉でした。それのスペルを英語にして「wacca」になりました。

ー活動の中で大切にしていることはどんなことですか?
一言もしゃべらない人が出ないように、皆さんにお話をしてもらうようにしています。
また、継続して来てくれるのは嬉しいのですが、ずっと来る必要もない場所かなと思っています。人それぞれ、その時の心理状態や周りの状況によって、入れ替わりがある方がいいのかもしれません。
waccaが必要なくなった人は、別の場所で自分の場所を見つけて、巣立ってほしいという思いもありますからね。

ー参加者の中で具体的な変化や反響はありましたか?
昨年6月、参加者の知り合いで、ミラーボールでオブジェを光らせるミラーボールアーティストの方が参加してくださったことがありました。
その方が、「オーケストラが奏でる曲に視覚障害者が自分の感性で自転車を漕いで光を作り出しミラーボールのオブジェを輝かせる」という壮大なイベントを提案してくれたところ、参加者の皆さんが盛り上がりまして。自発的に東京視覚障害者生活支援センターで練習を始めて、今年2月に江ノ島でイベントを開催することができました。
waccaに参加している視覚障害者5名が参加して、ものすごく綺麗な演技を見せていただきました。


イベント終了後に再開された練習のミーティングで、アーティスト団体の方とお話をした時「もし自転車を漕げなければ、足でドラムを叩くような動作や手でハンドルを回して光るのもいいですね」とお話したところです。
このように、いろいろな人のつながりから活動が広がるのは嬉しいです。

ーこれからの方向性や新しく取り組みたいことはありますか?
大きく広げなくてもいいんですよね、運営が大変だから(笑)
というのは冗談で、こういう会に来られる人はいいけどまだまだ家で引きこもっていたり福祉サービスにつながっていない人が多いので、そういう人にも参加してもらいたいです。
そのために、waccaとは別に杉並区内の視覚障害者だけで集まれる居場所を作るという構想もあります。
また、世田谷区でも月に1回、第2火曜日に同じようなイベントが始まりました。両方に参加している方もいるので、一緒に連係してイベントを行いたいなと考えています。

最後に

会の終了後、運営をサポートしている方が「告知しなくても広がっているのがすごい。何か魅力があるんだと思う。」とお話されたのが印象的でした。
確かに、あっという間の2時間でした。
不思議な魅力の正体を知りたい方は、ぜひ1度足を運んでみてください。

2019年5月度waccaの予定

2019年5月度のwaccaは、下記の通り開催予定です。
定例の第一土曜日ではありませんので、ご注意ください。

日時 :5月6日(月)
時間 :13時30分〜15時30分
場所 :高円寺障害者交流館一階第一集会室
参加費:300円

問い合わせ

今後の日程や詳細は、waccaのTwitterアカウントへ直接ダイレクトメッセージでご連絡ください。

wacca Twitter:@wacca2016

この記事を書いたライター

高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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