日本を代表するニュースアプリのひとつSmartNews。「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションを掲げ、3000以上のメディアと提携し、日々多くの情報を私たちに届けています。
そんなSmartNewsが、「視覚障害者にニュースのザッピング体験を届けたい」という思いから、1秒の音でニュースのジャンルが分かるSOUNDTAG(サウンドタグ)を期間限定のサービスとして公開しました。
サービス公開日の2026年10月15日、国際白杖の日に合わせて行われた記者発表イベントに参加。 またイベント終了後には、SOUNDTAG開発の背景を、スマートニュース株式会社 ヴァイス・プレジデント 日本リージョン メディアビジネス担当のホン・ランドンさんにお聞きしました。
SmartNews「SOUNDTAG」概要
ニュースのジャンルを約1秒の音で伝えます。見出しを読み上げる前に、ジャンル音、ニュースのトーン、緊急度を組み合わせた音が鳴ります。
公開時期:2026年10月15日木曜日12時から28日水曜日12時
※現在はサービスは終了し、SOUNDTAGのサンプルダウンロードのみが可能です。
参考:SOUNDTAG(外部リンク)
当事者の声を聞いてわかった「ニュース選択格差」

「私の思い込みではあったのですが、視覚障害者の方はニュースを知ること事態に課題があるのではと思っていました。しかし実際に話を聞くと、スマートフォンの音声読み上げ機能を使って、4倍速や5倍速でニュースを読んでいることを知りました」
イベント内でこう語ったのは、スマートニュース株式会社のホン・ランドンさん。
SmartNewsでは、4年から5年に一度、広く一般から抽出したユーザーにリサーチをしています。その中には障害者も含まれています。今回は、その中でも視覚障害者に着目しました。
ランドンさん「実際に視覚障害者の方に話を聞くと、ニュースを選択する場面では課題があることがわかりました」
SmartNewsでは、見出しをながめてはリストに戻り、興味のあるトピックを行き来しながらニュースを読む「ザッピング体験」を大事にしているといいます。しかし、現在のアプリの仕様では、視覚障害者にとっては「ザッピング体験」がしづらいということを知りました。
ランドンさん「これを私たちは“ニュース選択格差”であると考えました。晴眼者がWEBでニュースを読む場合、トップ画像やアイコンなどからニュースのジャンルや、内容がポジティブかネガティブか、などを直感的に把握できます。しかし、視覚障害者の場合、最後まで読み上げないと、どんなニュースなのか分からないこともあります。自分が楽しい気分になりたいときにつらいニュースを読んでしまう……といったことも起こります」
そこから、どんなニュースなのかを1秒で伝えるSOUNDTAGのアイデアが生まれました。
1秒の音で、ニュースのジャンル・感情・緊急度がわかるSOUNDTAGとは?

SOUNDTAGは、音で「どんなニュースか」を直感的に理解し選べることを目指して設計されました。
1秒の音が流れた後、音声読み上げで見出しを読み上げます。画面を左右にフリックすると、どんどん違う見出しが流れ、読みたいニュースはダブルタップで本文の読み上げに進みます。
SOUNDTAGのニュースジャンル音は全部で16。また、感情は「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」の3つに分類。緊急度はSmartNewsの速報基準をもとに、緊急度の高いニュースの場合のみ緊急音がジャンル音の後に鳴ります。
音から「どんな記事か」直感的に把握し、ザッピングしながらニュースを選択する助けになることを目指しました。
SOUNDTAGを制作する際には、一般社団法人ダイアローグ・ジャパンソサエティの協力で、視覚障害者の方々にヒアリングをし、検証と修正をしました。はじめは現在よりも多くのジャンルを用意していましたが、最終的には16に絞りました。音でジャンルが伝わるか不安もありましたが、「これはスポーツですね」など、想像以上に伝わったといいます。
ランドンさん「これがゴールだとは思っていません。SOUNDTAGは、もっと標準的な、例えばスマートフォンに初めから入っているような、グローバル基準になることを目指しています。ですから、今回は開発中のものを期間限定公開としました。公開期間終了後は、どなたでも自由に使っていただけるように音声をダウンロードできる形として公開します」
記者発表イベントでは、お笑い芸人濱田祐太郎さんも登壇

記者発表イベント当日は、全盲でお笑い芸人の濱田祐太郎さんが登壇。「芸人をやっていると、記者の方がこんなに集まる場は、先輩方が謝罪するときくらいしかない」のつかみで会場を沸かせます。
イベント内では「濱田祐太郎の個人的三大ニュース」をSOUNDTAGの音付きで発表。「どうせなら真偽不明の噂話のSOUNDTAGも作ってほしい。僕のお勧めは“イーヒッヒッヒ”という音ですね」というフリの後、個人的三大ニュースに「真偽不明」なネタを盛り込み「これこそイーヒッヒッヒ”の出番ですね」と、笑わせていました。
司会とのトークでは、「読むニュースに偏りが出てしまうこともある」と明かし、「最後まで読まないと記事がどういうニュースなのか分からないものもある」といった経験も話していました。
以前Spoliteで濱田祐太郎さんに取材した記事は、以下のリンクからお読みいただけます。
弱視の北原さんに、SOUNDTAGを試してもらいました。

Spotlite編集部の一員でもある、視覚障害者で弱視の北原新之助さんに、公開期間中のSOUNDTAGを試してもらいました。
北原さん「フリックだけでどんどん見出しを読み上げてくれる操作性は、どのサイトにもない、非常に使いやすいものでした」
現在の北原さんの見え方は、視野が2~3度で、「大体5円玉の穴くらいのサイズ」です。スマートフォンは白黒を反転させ、文字サイズを一番大きく設定して使っています。また、内容や状況によって音声読み上げを使う場合もあります。
現在、ニュースをチェックするときはラジオやテレビよりもWEBを使うことが多いという北原さん。普段は音声読み上げアプリと連携しているニュースサイトをチェックしています。現状では、日本の多くのサイトやアプリは、ニュースに限らず音声読み上げや拡大表示には対応していないため、この方法に落ち着いています。
北原さん「視覚障害者にとって使いにくいWEBサイトは実はとても多いのです。そのような状況の中で、今回のSOUNDTAGのニュースサイトは、どんどん見出しを読み上げてくれて、音声読み上げ機能を立ち上げる必要もなく、とにかく簡単なのが良かったです」
一方で、よりブラッシュアップしてほしいポイントも聞いてみました。
北原さん「ジャンルの音は、私には正直覚えきれませんでした。私自身は、ニュース見出しの読み上げで内容を把握していた感覚です。SOUNDTAGの中にジャンル別にニュースを読み上げる入口もあると、知りたいニュースがある時はより使いやすいと思いました。
それから、SmartNewsは実はよく使っていて、一番使うのはクーポンです。ただ、クーポンは画像なので音声読み上げに対応していません。和食の音、洋食の音、ファーストフードの音など、クーポンにSOUNDTAGがついたら個人的にはとてもうれしいです」
今後のSOUNDTAGの展開に、注目していきたいですね。
北原さんが同行援護を体験した際の記事は、以下のリンクからお読みいただけます。
Spoliteでも、視覚障害者のアクセシビリティに対応できるよう、サイト制作をしています。
取材・執筆・写真撮影:aki(※注釈のあるものを除く)