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町にある視覚障害者のための工夫、どんなものがあるの?

横断歩道で信号が変わるのを待っている白杖の人とガイドヘルパー。

町なかには、視覚障害者のために工夫されたさまざまな設備や道具があります。普段何気なく歩いていると気づきにくいですが、どのような工夫があるのでしょうか。

この記事では、視覚障害者が安全に生活するための、町にある工夫について紹介します。

道路での工夫

視覚障害者にとって、人や自転車、街路樹やガードレールなどがある道路は、危険な場所でもあります。聴覚や触覚で情報を伝えるために、道路では主に以下の3点のような工夫がされています。

白杖の人とガイドヘルパーが歩いているそばを、自転車や人が追い抜いている写真。

点字ブロック

点字ブロックの通称で知られている凹凸のあるタイルの正式名称は、「視覚障害者誘導用ブロック」です。

視覚障害者は、この黄色いブロックを足裏の触感や白杖で認識しながら移動します。また、弱視の方は色で点字ブロックを判別しています。

点字ブロックには、警告と誘導を表すブロックがあり、視覚障害者にとって大事な道路上の設備です。

点字ブロックの写真。

音響式信号機

横断歩道を渡る時、信号が青になったことを音で知らせてくれる音響式信号機があります。

青になると信号機の近くにあるスピーカーから、音楽や鳥の鳴き声などが流れるのが特徴です。

音響信号機については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:視覚障害者のための「音響式信号機」とは?音の違いや課題なども解説 | Spotlite(内部リンク)

歩行者用信号の上にスピーカーがついている様子、

電気自動車の音

信号がない横断歩道や、しっかりした歩道がない道を歩いていると、自動車の往来に合わせて立ち止まったり、横に避けたりしなければいけない場面があります。

従来はエンジン音で車の接近を判断することができましたが、最近普及してきたハイブリットカーや電気自動車は、わずかなモーターの音しか聞こえず、視覚障害者にとって危険なケースがあります。

「車に気づかず危ない」という声を受け、国交省は「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」の取り付けを義務付けるようにしました。

2020年の10月より全車両にこの装置が取り付けられるようになり、主に低速で走行する際にエンジンルーム内のスピーカーから音が出るようになっています。

ただ、自動車メーカー全体の統一された基準はないため、「わかりにくい」という声も上がっており、課題も残っています。

公共交通機関の工夫

階段の手すりについている点字案内の写真。

公共交通機関でも、視覚障害者が安心して利用できるようにさまざまな工夫がされています。

点字の案内

自動券売機や駅の構内にある案内板に点字が併記されています。

また、階段の手すりにも点字シールが施され、案内の一助となっています。ただし、点字による案内は一部の手助けでしかないため、音声案内や人による手助けも重要です。

音声案内・誘導チャイム

駅や公共施設のトイレなどでは、自動音声案内で場所を伝えたり、チャイム音で誘導してくれる設備が備わっていることもあります。

改札の位置を誘導チャイムで知らせている鉄道会社もあります。

ホームドア

視覚障害者を含めた鉄道の利用客が、ホームから落下するのを防止するために設置されているのが、ホームドアです。都心部を中心に広がりつつあります。

ただ、ホームドアは落下を防いでくれますが、白杖や指が挟まれる事故も起こっており、視覚障害者にとって注意をしないといけない場所でもあります。

また、ホームドアの設置は現状では一部の駅に限られており、視覚障害者のホームからの転落事故は後を絶ちません。ホームドアの普及や周囲の声かけなど、様々な方法で、誰もが安全に移動できるようにしたいものです。

駅や鉄道での視覚障害者のサポートについては、以下の記事でも解説しています。

参考:視覚障害者が安全に電車を利用するために。注意点と声かけの方法を紹介 | Spotlite(内部リンク)

他にも町にはこんな施設や工夫があります

郵便ポストの点字案内の写真。

点字図書館

点字で書かれた本や音声で聞くことのできる本がそろっている「点字図書館」があります。例えば、新宿の点字図書館には、2万数千タイトルがあり、多くの視覚障害者が本を楽しむ場となっています。

また、全国の都道府県に点字図書館はあります。厚生労働省のサイトから点字図書館を探せますので、気になる方は参考にしてください。

参考:点字図書館一覧(令和4年4月1日時点) | 厚生労働省(外部リンク)

点字図書だけではなく「マルチメディアDAISY図書」などの音声図書を置いている施設もあります。

ほじょ犬ステッカー

視覚障害者が安全に移動するサポートとして盲導犬があります。

2003年から身体障害者補助犬法が全面施行され、盲導犬を含めた様々な補助犬を連れてカフェやレストランに入ったり、医療機関やスポーツジムに行ったり、飛行機やバス、タクシーに乗ったりすることが法的に認められました。また障害者差別解消法でも法的権利として認められています。また、施設側は受け入れの義務があります。

補助犬の入店を受け入れている施設やお店では、「ほじょ犬ステッカー」が掲示されています。このステッカーは、厚生労働省が身体障害者補助犬法の理解を広める目的で作成したものです。「ほじょ犬マーク」は、リーフレットやポスター等を通じて各施設に普及しています。

町のお店の入り口にステッカーが貼ってあるのを見かけることも増えてきました。

参考:「ほじょ犬マーク」とは | 厚生労働省(外部リンク)

盲導犬については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:盲導犬とは?仕事や犬種・訓練内容・費用について解説 | Spotlite(内部リンク)

参考:街で盲導犬に出会ったら?盲導犬にしてはいけないこと | Spotlite(内部リンク)

博物館・美術館、映画の音声ガイド

目で楽しむイメージの強い博物館や美術館、映画などの文化やエンターテインメントの施設でも、音声ガイドを活用することで視覚障害者が楽しむことができます

音声ガイドで楽しめる美術館や博物館があります。

参考:聴く美術 | 公式音声ガイドアプリ(外部リンク)

また、映画館で、スマートフォンを使って音声ガイドを使用できるアプリがあります。

参考:HELLO! MOVIE (外部リンク)

視覚障害者の映画鑑賞や博物館での同行援護体験については、以下の記事も参考にしてみてください。

参考:視覚障害者でも音声ガイドがあれば映画を楽しめる!おすすめ映画もあわせて紹介 | Spotlite(内部リンク)

参考:ガイドヘルパーの目を通して見る博物館。同行援護に密着 | Spotlite(内部リンク)

新しい技術や道具

その他にも、スマートフォンを活用した街歩き用の音声案内アプリや、眼鏡型の歩行アシスト機器など、視覚障害者をサポートする技術や道具は常にアップデートしています。

参考:視覚障害者の生活の助けになる便利な道具。購入やレンタルする方法も紹介 | Spotlite(内部リンク)

参考:無印良品でアイコサポート実証事業がスタート!全盲のサービス開発担当者が語る | Spotlite(内部リンク)

参考:guide glass(ガイドグラス) | ウェアラブルデバイスを活用した視覚障害者向け遠隔ガイドシステム | 株式会社パンタグラフ(外部リンク)

バリアをなくすための工夫

白杖の人が、自転車侵入防止の柵を触って確認している。

町には視覚障害者が安心して過ごせるような工夫はいろいろありますが、まだバリアがたくさんあるのも現実です。私たちそれぞれが視覚障害者のために工夫できることを紹介します。

視覚障害者について知ることが第一歩

まず、視覚障害者の生活の過ごし方や困りごとについて知ることが、私たちができることの第一歩となります。

参考:視覚障害者が生活で困ることは?事例と解決策を解説 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者の生活をサポートするためにも、どのような世界で生活しているのか、まずは町の中にあるものを気に留めることが重要です。

その上で、点字ブロックの上にものを置かない、点字シールを大切に扱う、などの心がけがたいせつです。また、いろいろな見え方の人がいる、白杖や盲導犬などの生活上の支援があることなどを知っておくようにしましょう。

視覚障害者を手伝いたいときは

視覚障害者を手伝いたい時は、相手の見え方に配慮しながら、安心と安全を第一に、信頼関係を築きながら行うようにしましょう。

具体的な注意点などは、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。

参考:同行援護とは?支援内容や対象者・移動支援との違いを解説 | Spotlite(内部リンク)

参考:すぐできる!視覚障害者のためにできること|声のかけ方と誘導方法 | Spotlite(内部リンク)

最後に

普段、何気なく歩いている町には視覚障害者も安全に過ごせるようにさまざまな工夫があります。ただ、町の工夫だけでは不十分で、改善していかなければいけない部分もあります。

まずは視覚障害者が困っているときもあることを理解し、ちょっとした気遣いや声かけをきっかけに、コミュニケーションを取ってみるようにしましょう。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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