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ストーリー

お笑い芸人・濱田祐太郎が語る、メディアと多様性のホンネ「障害のある人に多様性の質問ばかりするのは、ぜんぜん多様じゃない」

紺色のスーツ姿で木製のベンチに腰かけている濱田さん。足の間に白杖を立てかけて左手を添えている。

テレビや舞台などで活躍するお笑い芸人・濱田祐太郎さん。街中で盲導犬にかこまれた話で取材チームを笑わせてくれたかと思ったら、鋭い本音も口にします。取材のたびに向けられる「多様性についてどう思いますか?」という問いには、「障害のある人に多様性の質問ばかりするのは、ぜんぜん多様じゃない」ときっぱり。そんな濱田さんに、ふだん考えていることをたっぷり語ってもらいました。

濱田祐太郎さんプロフィール

濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)/1989年9月8日生まれ、兵庫県神戸市出身。吉本興業所属。NSC大阪校35期生で2013年にデビュー。「R-1ぐらんぷり2018」優勝。2021年10月期に放送された、盲学校生と不良のラブコメドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(日本テレビ系)に案内人として出演。2025年5月には吉本新喜劇とのコラボ舞台で主演を務め、「大阪文化祭賞奨励賞」受賞。2025年6月、自身初の著書「迷ったら笑っといてください」を上梓。同年11月には冠ロケ番組「濱田祐太郎のブラリモウドク」(ABCテレビ)が「2025年日本民間放送連盟賞」のテレビ準グランプリに。

舞台で公演中の濱田さん。クシャッとした笑顔でスーツ姿。マイクの前に立ち、白杖を両手で包むように持っている。
(写真提供:吉本興業株式会社)

商店街に点字ブロックがないのはなぜ?

─「濱田祐太郎のブラリモウドク」(ABCテレビ)、おもしろく見ていました。濱田さんはふだん、街を歩いていて「なんで?」と感じる場所や設備はありますか?

点字ブロックって、駅の周りはわりとあるんですけど、駅からちょっと離れると急になくなることが多くて。

先日熱海にいったときは、商店街に到着するまでは点字ブロックがあったけど、商店街の中に入ったらほぼありませんでした。

─なんででしょうね。

商店街はそれぞれ地主がいるじゃないですか。だから「地主がゴネてんのかな」って(笑)。知らないですけど。

─著書『迷ったら笑っといてください』の中で、トイレから出てきたファンに、手がびしょびしょの状態で握手を求められたエピソードがありました。街中でファンの方に声をかけられて、印象に残っていることはありますか?

おばちゃんに「写真を撮ってもらえますか?」と声をかけられたんですよ。その人は盲導犬を育成する施設の人だったらしくて、「今ちょうどワンちゃんと散歩してるんで、ワンちゃんとも一緒に写真撮ってもらっていいですか?」って。「いいですよ」と対応したら、「じゃあ濱田さんのことを6頭でかこみますね」と言われて。

─6頭!

思ってたより多かった。「それはちょっとなんか嫌やな」ってなりましたね(笑)。

障害者に多様性の質問ばかり「ぜんぜん多様じゃない」

机に向かい合って座り、3人が話し合っている写真。
(写真素材:Unsplash)

─著書に、R-1ぐらんぷり決勝のインタビューで「テレビは、自分を決勝に残さないんじゃないかと不安があった」と話したら、そこだけ記事に載らなかったというエピソードがありました。

あのとき受けた質問が「決勝に残った率直な気持ちは?」というものだったんですよ。だから「嬉しいが半分、残さないんじゃないかという不安が半分」という答え方をしたんですが、その後者だけがカットされていたんですよね。

本筋とは関係のない話をしてカットされるのはわかります。でも一部だけ切り取られるのはどうなんだろうと思ったんですよね。

─そんなことが……。視聴者からは「障害をネタにするのはよくない」というような意見もあると書かれていましたが、今もありますか?

実は昔も今も、そういったコメントを僕が確認したことはないんですよ。

それこそ取材のなかで、記者から「世の中ではこういう意見もあるようですが、どう思いますか?」と聞かれることがあって、「あ、そういう意見もあるんだ」と思ってしまっていただけで。

世の中としてはやっぱり、「障害をネタにするのは不謹慎」といったことが話題になりやすいから、それに対しての意見を聞きたかったのだと思います。

─濱田さんは取材で「多様性についてどう思いますか?」と質問されることが多いそうですね。

多様性うんぬんかんぬんに関してそこまで興味がない人間なんですが、障害のある人に多様性の質問ばかりするのは、ぜんぜん多様じゃないよなと思います。

以前、ある記者さんが取材してくれたとき、インタビューの途中で「多様性について取材を依頼しておいてなんですが、濱田さんをその言葉に押し込めているような感じがして申し訳ないです」と言ってくれたことがあって。僕自身もそのときに「そうやな」と思ったんです。

─メディアに関わる者として勉強になります。濱田さんは取材をたくさん受けられていますが、その他にも印象に残っているエピソードはありますか?

以前、「SDGs」がテーマの取材を受けたんです。「持続可能な取り組みをしていますか?」という事前アンケートに、僕は「YouTubeやstand.fmなどのSNS活動」と回答したんですよ。そしたらインタビューの冒頭で「これはどういうことでしょうか?」と言われて。

僕のSNSを見たり聞いたりした人が「困ってそうな視覚障害者にスムーズに声をかけることができました」とか「点字ブロックの上にあった看板を、お店の人に言ってよけてもらいました」とコメントをくれることがあるんです。僕が発信したことが、街の変化につながっているから自分にとっては持続可能な取り組みだという話をしたら「あ、なるほど、すごい納得しました」と言ってくれたんですね。

その反応を見て、「メディアを使って自分のSNS宣伝しようとしてるって疑われてたんやろうな」と思いましたね(笑)。

「ギャラもらえればなんでもやります!」

─著書の中で「障害者は福祉番組に閉じ込められている」という言葉がありました。今もその感覚はありますか?

障害のある人がバラエティに継続して出続けているってのは、今もやっぱりほぼないですよね。テレビに出るとしたら福祉系の番組か、パラリンピックで活躍した選手がその時期だけちょこっと呼ばれるかぐらいで。

─福祉系の番組自体には出ないようにされているとも書かれていましたが、今もそのスタンスは変わらないですか?

そうですね。福祉番組って、こっちがボケたりツッコんだりしても、真面目なコメントのところだけ放送されたりするんですよ。そうなったら「俺じゃなくていいやろ」ってなる(笑)。他の視覚障害者でよくないですか、って。

─テレビの製作陣になにかひとこと伝えるとしたら?

ギャラもらえればなんでもやります!

憧れだった新喜劇に、今年も間寛平さんと出演。配信もあります

劇場のイメージ写真。赤い背もたれの客席が並び、前方に赤い緞帳がしまった舞台が見えている。
(写真素材:Unsplash)

─今年も間寛平さんとの新喜劇が決まったとのこと、おめでとうございます。稽古はもう始まっているんですか?

新喜劇って、前日の夜と当日の直前ぐらいしか練習しないんですよ。

─え!ほぼぶっつけ本番なんですね。

そうなんですよ。一応、大筋の流れとセリフの割り振りはあるんですけど、どういうボケをやるかは決まってない。特に僕がやっている特別企画のような新喜劇は、その場のノリでどんどんギャグが増えていくんで。前日に実際の舞台で動きの確認はするんですけど、その一回だけです。

─それは怖くないですか?

怖さはないですね。どちらかというとワクワクの方が強い。バラエティ番組の収録も似たようなもので、大まかな台本はあるけど細かい内容はその場の空気でやっていく感じなんで、慣れてるというのもあるかもしれないです。

─去年の新喜劇で一番印象に残っていることはありますか?

子どもの頃からテレビで見ていた間寛平さんと辻本茂雄さんのやりとりを、舞台袖で聞けたのがやっぱり嬉しかったですね。

─どんなシーンだったんですか?

寛平さんがボケて辻本さんがツッコむシーンで、台本上では20分と見積もられてたんですよ。でも周りのスタッフから「20分では絶対おさまらない」と言われてて。

実際は40分続いた(笑)。お客さんもずっと盛り上がってるし、舞台袖で聞いてるこっちも「やっぱりすごいな」って。飽きさせないっていうのがほんとにすごいですよね。

今年の舞台は配信もある予定なので、全国の人に観てもらえたら嬉しいです。

─濱田さん、今日はお忙しいところありがとうございました!


2026年5月29日公演の吉本新喜劇の詳細はこちらから
間寛平Presents 濱田祐太郎が今年も見せる!?盲目の新喜劇(外部リンク)

公式YouTubeチャンネル
濱田祐太郎 Official – YouTube(外部リンク)

stand.fm
濱田祐太郎の盲目ライフを盗み聴き | stand.fm(外部リンク)

著書
迷ったら笑っといてください – 太田出版(外部リンク)

取材・執筆:白石果林
写真提供:吉本興業株式会社(※注釈のあるものを除く)
編集協力:株式会社ペリュトン

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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