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編集部から

ブラインドスポーツを「知る・体験する・楽しむ」1日!【ブラインドスポーツエキスポ2026】開催レポート

ブラインドスポーツエキスポ2026会場全体を上からとらえた写真。広い体育館内でそれぞれのスポーツのブースで体験している人たちがいる。

2026年9月5日土曜日、東京都北区にある東京都障害者総合スポーツセンターにて、株式会社mitsukiのイベント「ブラインドスポーツエキスポ2026」が開催されました。

ゴールボールやブラインドラグビー、ブラインドテニス、パラ陸上など、約10種のさまざまな視覚障害者スポーツに触れられる今回のイベント。会場には、視覚障害者やそのご家族、スポーツ関係者、学生、ボランティアなど100人近くが集まりました。

当日の様子をお伝えします!

当日のブース出展団体一覧

  • 日本ブラインドラグビー協会
  • 一般社団法人日本ゴールボール協会
  • 一般社団法人 SOUND BASEBALL JAPAN 
  • 東京都サウンドテーブルテニス協会
  • 東京都障害者合気道同好会様
  • ブランドニュー・バスケ
  • 日本ブラインドテニス連盟関東地域協会
  • パラ陸上(伴走体験)
  • パラクライミング 日本代表 濵ノ上文哉選手
  • みつきアスリートクラブ

今回のイベントを開催した思いを代表高橋がコラムとしてまとめました。以下のリンクからお読みいただけます。

さまざまなブラインドスポーツが集結!会場は大盛況

13時30分の開場とともに受付には参加者の列ができ、会場全体は一気ににぎやかな雰囲気に。

受付開始を待って並んでいる参加者の皆さん。全員動きやすい服装で、白杖を持った方、ガイドヘルパーなど100人近い方が並んでいる。

当日は、約10組の競技団体・アスリートが出展。ゴールボールやブラインドラグビー、ブラインドテニス、サウンドテーブルテニス、パラ陸上、パラクライミングなど、さまざまな競技を体験できるブースが並びました。

はじめに各出展者から、競技の特徴や楽しみ方を紹介。普段知る機会の少ないブラインドスポーツもあり、参加者は真剣に耳を傾けます。

ブラインドテニス連盟のスタッフの女性が、左わきにラケットを挟み、両手にボールを持ち左手ではマイクも持ちながら笑顔で説明している。
日本ブラインドテニス連盟関東地域協会
日本ゴールボール協会のスタッフが、マイクで笑顔で説明をしている。長机に説明パネルや実際のボールなどが設置されている。
一般社団法人日本ゴールボール協会
パラ陸上について、スタッフがマイクを持って笑顔で説明している。
パラ陸上の伴走体験

そして、競技団体の紹介が終わると、いよいよイベントがスタート!

「パラスポーツ、楽しむぞ!」「オー!」

Spotlite編集長でもある株式会社mitsuki代表高橋の掛け声に、参加者も元気よく応えます。会場が一体になったところで、いよいよブース体験の時間が始まりました。

高橋さんと参加者が片方のこぶしをあげて「おー!」と声を出している。

見て、触れて、体験して!10組のブースをめぐってみました

今回のイベントでは競技について話を聞くだけでなく、実際に道具に触れたり、競技を体験したりできるのが特徴です。参加者は気になるブースを回って、それぞれのスポーツを楽しめます。

ブラインドスポーツエキスポ2026で用意した「スタンプラリー」のカード。10のブースのキーワードとスタンプ欄がある。
多くのブースを楽しく回ってもらえるように、スタンプラリーも実施しました。

会場ではスタンプラリーも実施。競技ブースをまわってスタンプを集め、10か所すべて揃うと受付で景品がもらえます。スタンプ台紙はロービジョンの方も見やすい配色にしています。また、スマートフォンをかざしてオンライン上で集めるデジタルスタンプにも対応。見え方に関わらず参加できる工夫がされていました。

ここからは、会場に出展された10のブースを、それぞれご紹介します!

日本ブラインドラグビー協会

JBRUのロゴの入った紺色のポロシャツを着たスタッフが、体験者の投げたボールを受けようとしているところ。

日本では2019年から始まったというブラインドラグビー。音の出るボールや競技者同士の声掛けに頼りながら、ボールをパスして得点を目指します。

筆者も実際に体験してみましたが、相手チームの選手をよけながら、味方チームにうまくパスすることの難しさと、ボールをつないでいく楽しさを実感!今回は目で周囲の状況を確認しながら体験することができましたが、実際の選手は視覚に頼らず、音や声を頼りに競技を行っているのだと思うと、その奥深さに驚かされました。

一般社団法人日本ゴールボール協会

実際にボールを受ける体験をして、笑顔の参加者。

ゴールボールは、アイシェード(目隠し)を着ければ、障害の有無にかかわらず誰でも参加できるインクルーシブスポーツです。

1チーム3人の選手が、鈴の入ったボールを転がすように投げ合い、味方ゴールを守りながら、相手ゴールにボールを入れて得点を競います。来場者も実際にボールに触れ、自分の体を使って体験することで、競技への理解やイメージがより鮮明になっている様子でした。

日本ゴールボール協会のブース。説明パネル、アイシェード、ボールなどが展示されている。

※Spotliteを運営する株式会社mitsukiは、日本ゴールボール協会のオフィシャルサプライヤーです。

一般社団法人 SOUND BASEBALL JAPAN

参加者の女性が、選手の配置や動きなどを、模型を触りながら説明を受けている。

ソフトボールのルールをもとに、視覚障害者のために考案されたというサウンドベースボール。音の出るボールや声掛けなどを頼りに、打つ・走る・守るといった野球の基本動作を行います。

ブースでは、競技を再現した模型を触りながら、競技の仕組みを体験。選手の動きやフィールドでの配置を知ることで、サウンドベースボールへの理解がより深まりました。

サウンドベースボールの道具。アイシェード、グローブ、ボール、バット。

東京都サウンドテーブルテニス協会

サウンドテーブルテニスのブースは、実際の卓球台で体験ができました。ボールの音を頼りにラリーを行う競技で、ネットの下を転がしながらボールを打ち合います。

ネットに当たったり、ボールが宙に浮いてしまったりすると相手選手に点が入ります。目でボールの動きを追うのではなく、音に耳を澄ませながらラリーを続ける難しさと面白さを体験できるブースでした。

青い卓球台の前に立ち、笑顔でサウンドテーブルテニスを体験する参加者と、説明しているスタッフ。

東京都障害者合気道同好会

畳風のマットの上に立ち、スタッフに説明を受けながら合気道を体験している参加者。近くで見学している参加者もいる。

東京都障害者合気道同好会のブースでは、合気道を体験。

今回、筆者は合気道を体験するのが初めてでした。相手のどこに触れ、どの角度で相手を倒すのか、さらに相手の動きにも注意を払いながら技をかけるなど、合気道の奥深いポイントを教えてもらいました。

運営の方が、「ちょっとした手の位置や腰の動きの違いで、相手に与えるダメージも違ってくるので、相手を思いやる事も大切です」と教えててくださいました。

ブランドニュー・バスケ

ゴールに向かってボールを投げている参加者と、周辺で見学している人やスタッフ。ボールは1体験者の身長の倍ほどの高さまで上がっている。

バスケットボールを楽しめるブランドニュー・バスケのブースも、多くの参加者でにぎわいました。

ボールのドリブル音や周囲からの声掛けなどを手がかりに、ゴールを目指してプレーするバスケットボール。参加者は、ボールの動きに耳を澄ませながら、ゴールに向かってシュートを放つ楽しさを体験していました。

日本ブラインドテニス連盟関東地域協会

ラケットを右手に持ち、バウンドしているボールを打とうとしている体験者。説明スタッフが横に立ち見守っている。

日本ブラインドテニス連盟関東地域協会のブースでは、ブラインドテニスを体験。

音の出るボールを使い、ラリーを行います。参加者も実際にラケットを手に、ボールの音に集中しながら競技に挑戦しました。

国際大会でも活躍している選手によると、ブラインドテニスは視覚障害者向けのスポーツとしては珍しく、空中にあるボールを直接打ちます。難易度の高いプレーができたときの達成感がこの競技の魅力のひとつだと教えてくれました。

パラ陸上(伴走体験)

アイシェードを付けた体験者と、ガイドロープを持って伴走をしているスタッフ。

パラ陸上のブースでは、伴走体験が行われました。

視覚障害のあるランナーと伴走者が声を掛け合いながら走る「伴走」。参加者も実際にランナーと伴走者の体験ができました。声を掛け合って走ることの難しさや、ランナーと伴走者のコミュニケーションの大切さを感じられたようです。

パラクライミング 日本代表・濵ノ上文哉選手

参加者に説明をしている濵ノ上選手と、重りを入れた袋を持ち上げて体感している参加者。

パラクライミングのブースには、日本代表として活躍する濵ノ上文哉選手が登場。

来場者は、クライミングで使われるホールドに実際に触れたり、濵ノ上選手が獲得したメダルを手に取ったりしながら、パラクライミングをより深く知ることができました。競技について濵ノ上選手から直接話を聞き、選手の活躍を身近に感じられる機会となりました。

クライミングの際手をかけるホールドのサンプル。参加者が指先で触れている。

みつきアスリートクラブ

主催した株式会社mitsukiが運営する、みつきアスリートクラブ。

同行援護事業所みつきの仲間が有志で参加する、サークル活動のような取り組みです。2025年から活動を始め、自主的に練習を行ったり、マラソン大会に参加したりしています。ブースでは、クラブの活動について紹介しながら、参加者との交流も行われました。

アスリートトークショー「ブラインドスポーツの魅力を知る」

15時30分から行われたのが、2人の視覚障害者アスリートによるトークショーです。

登壇したのは、パラクライミング日本代表の濵ノ上文哉選手と、ブラインドラグビー日本代表の添田翔選手。それぞれの競技の魅力はもちろん、両選手が競技を始めたきっかけや、選手として活動するなかで感じていることについて、株式会社mitsuki代表の高橋が話を聞きました。

壇上向かって右手でマイクを持って話している濱ノ上選手と、その横で膝に手を置き聞いている添田選手。壇上左手にはみつき代表の高橋。3人とも椅子に座っている。

「文化系」だった濵ノ上選手が、パラクライミングメダリストになるまで

濵ノ上選手が競技を始めたのは2016年。社会人になってからクライミングと出会い、約10年間競技を続けています。

「パラクライミング日本代表」と聞くと、幼いころからスポーツに打ち込んできた選手を想像するかもしれません。ところが、濵ノ上選手の学生時代は少し意外なものでした。

濵ノ上選手「中学生のころはソフトテニス部に所属していたものの、高校・大学では軽音楽部に所属。完全に文化系でした」

そんな濵ノ上選手がクライミングを始めたきっかけは、社会人になって地元の関西から東京へ転勤したことでした。

濵ノ上選手「NPO法人モンキーマジックのイベントで、パラクライミングと出会いました。周りの人に積極的に声をかけて、週に何度か登れるタイミングを自分で作りました」

スクールにも通いながら、少しずつ競技にのめり込んでいった濵ノ上選手。2018年、競技を始めて2年目にして日本選手権に出場しました。

さらに同年、初出場となったパラクライミング世界大会で、見事銅メダルを獲得。社会人になってから始めたクライミングで、わずか2年のうちに世界の舞台へと駆け上がったのです。

濵ノ上選手「ロサンゼルス2028パラリンピックから、クライミングが初めて正式種目になります。競技が盛り上がっていくのはうれしいです。これをきっかけに、選手や、それを支えるサイトガイドが長く活動を続けられるような社会づくりにも貢献したいと思っています」

子に座って、右手にマイクを持ち話している濱ノ上選手と、ひざに手を多き聞いている添田選手。
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添田選手「ボール競技への苦手意識を変えた」ブラインドラグビーとの出会い

続いて、添田選手がブラインドラグビーについて話してくれました。弱視である添田選手は、晴眼者の子ども達と同じ地域の学校に通っていましたが、ボール競技に苦手意識があったといいます。

添田選手「ブラインドラグビーを始めたのは、2018年。28歳のときです。職場の人から声をかけられました。日本でブラインドラグビーが始まることがきっかけでした」

実際に練習に参加すると、ラグビーの楽しさにどんどん惹かれていったそうです。

添田選手「ボールを持って走ったときの気持ちよさがたまらなくて、ラグビーに夢中になっていきました」

その楽しさに背中を押されるように競技を続け、現在は日本代表として活躍し、国際大会にも出場しています。

添田選手が感じるブラインドラグビーの魅力は、選手同士がそれぞれの見え方や得意なことを生かし、互いにカバーし合うチームスポーツであることだと言います。

添田選手「私は視力はありますが、視野が狭いんです。一方で、足は速いけれど私よりも見えづらい選手もいます。選手同士で『こっちにいるよ』『ボールを置いて!』と声をかけ合いながらプレーします。それぞれの見え方を補い合えるのが、チーム競技の面白さだと思います」

椅子に座り、右手にマイクを持って話している添田選手と、隣で手を膝の上に軽く合わせて聞いている濱ノ上選手。

パラスポーツを知る。その先の一歩へ

トークショーの最後には、2人から会場にいる人に向けてのメッセージがありました。

濵ノ上選手「現在はアスリート採用という形で、仕事としてスポーツを続けています。障害のある人がスポーツを仕事にできる、そして社会の中で評価される。そんなキャリアの道があることも知ってもらえたらうれしいです」

添田選手「ブラインドラグビーは、まだまだこれから発展していくスポーツです。今から始めて日本代表を目指すこともできます。練習は多摩川の周辺でも行っているので、興味がある方はぜひホームページから問い合わせてみてください」

右手にマイクを持ち、濱ノ上選手と添田選手に向かって笑顔で質問している高橋。

最後はみんなでビンゴ大会!会場がひとつになる時間

参加者が手元に持っているビンゴカードのクローズアップ。

イベントの最後を飾ったのは、お楽しみのビンゴ大会。競技団体のグッズなど、さまざまな景品が用意されているとアナウンスされると、会場からは「わあ!」と歓声が上がりました。

景品の一部。境涯団のグッズやスターバックスのカードなどが重ねられている。

数字が読み上げられるたびに、会場のあちこちから声が上がります。

「あとひとつ!」

「ビンゴ―!」

ビンゴカードを手に、視覚障害者と晴眼者で数字を確認し合う場面も。競技を体験するときとはまた違う、和やかな雰囲気に包まれました。

立って、「ビンゴ!」と左手をあげている笑顔の参加者。周辺には立っている参加者や座ってカードを確認している参加者たち。

新しいスポーツとの出会いを、この場所から

イベントの最後には、株式会社mitsuki代表の高橋からあいさつがありました。

高橋自身、学生時代に視覚障害のある人の伴走を頼まれたことが、事業の原点になっています。視覚障害者がスポーツをすることの難しさを痛感した経験から、スポーツを楽しむ選択肢を増やしたいという思いを持つようになりました。

高橋「原点に立ち返って、スポーツをまっすぐ楽しんでもらいたいという思いで、今回のイベントを企画しました。いろいろなスポーツの選択肢を知ってもらい、今日が皆さんの生活に新しいスポーツが加わるきっかけになればうれしいです」

両手を合わせるようにマイクを持って、参加者に向かって挨拶している高橋。

「やってみたい」が生まれた、参加者の声

イベント終了後、参加者のみなさんに、実際に参加してみた感想を聞きました。

盲学校出身で、現在は大学生という弱視の男性。盲学校時代の先輩と一緒に参加したと言います。

「インスタグラムでこのイベントを知った親に『行ってみない?』と言われて参加しました。目が悪くなってからスポーツをしなくなっていたのですが、今回いろいろなブースを回ってみて、また興味が湧きました。特に、クライミングやテニス、ラグビーをやってみたいです」

続いて、みつきの同行援護を利用しているご夫婦にも話を聞きました。昨年のエキスポに続いて、今回も参加したそうです。

女性は「バスケットボールに興味が湧きました」と話し、男性も「今もスポーツをしていますが、ほかのスポーツにも興味が湧きました」と笑顔を見せました。

この日、同行援護を担当していたガイドヘルパーからは、「規模が大きくて、面白かったです。これをきっかけに、スポーツを始める人が増えたらいいなと思います」との声も。

競技を体験したり、選手の話を聞いたりするなかで、新しいスポーツとの出会いが生まれた今回のイベント。株式会社mitsukiでは、これからもさまざまなイベントを開催していきます。ぜひ楽しみにしていてください!

記事内写真撮影:Spolite
取材・執筆:mio.h
編集協力:株式会社ペリュトン

この記事を書いたライター

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Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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