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ストーリー

「視覚障害者は何もできないわけじゃない」利用者の「行きたい」「やりたい」に寄り添うガイドヘルパーでありたい。

ガイドヘルパー木村さんが、利用者の白杖を持った女性を喫茶店の入り口に誘導しているところ。オレンジ色の花が入口わきのプランターに植えられている。

ガイドヘルパーの木村と申します。

私は現在、「同行援護事業所みつき」でガイドヘルパーとして勤務しながら、2026年からは運営スタッフとしてもかかわっています。今は、同行援護従業者養成研修も関わっており、未来のガイドヘルパー育成にも携わっています。

みつきでは大体2ヶ月に一度、同行援護従業者養成研修を行っています。今年の5月中旬にも養成研修がありました。受講生の方々と一緒に考えたり、演習をしている中で、ふと、自分が研修を受けたときのことを思い出しました。

利用者である母が受講を勧めてくれた

私がみつきで同行援護の研修を受けたのは何故かというお話をします。

私の母は、私がガイドヘルパーになる前から、みつきの利用者です。

母はもともと、外に出かけたり、カフェに行ったり、本を読むのが好きな人でした。子どもだった私を育てあげ、ようやく自分の時間を取り戻していく。そんな時期に、緑内障が進行したのです。

少し足が悪いのもあって、はじめは一人で出歩くことが怖くなってしまったようでした。

そんな時、母は同行援護事業所みつきに出会いました。母は関東圏に住んでいて、都内に来るときに利用するために、みつきに登録をしました。そして私に同行援護の研修を勧めてくれたのです。

研修中に考え込んであたふたする私が聞いた言葉

右手に白杖を持った人が左手でガイドヘルパーの肘の部分をつかんでいる。

私が研修を受けたのは2年前、2024年の5月でした。

研修中は、2人1組になって歩行時の演習をするシーンが多くあります。屋外で、ペアになった方の肘をつかみ目を閉じる。それだけで少し緊張したことをよく覚えています。

歩き始めると、思った以上に足の裏から伝わってくる情報が多くて驚きました。地面の硬さや傾きなどの変化にびくびくし、おっかなびっくり進みます。人が通り過ぎる足音が近くに感じられて、ぶつかったりしないかな?と不安になり、自分が歩く速度がどんどんゆっくりになっていく。

交代してヘルパー役として歩くと、また別の意味で歩く速度がゆっくりになります。

自分自身がついさっきまで感じていた色々なことを思い出してしまいます。

「こんなに早く歩いたら怖いかな?」

「下り階段は危ないし避けたほうがいいかな?」

考えるばかりで足が追いつきません。

どんな情報があれば安心して歩いてもらえるのか考え込み、あたふたする私に、ある受講生の方がこう言いました。

「視覚障害があるからって、何もできないわけじゃない」

だからそこまで考え込まなくてもいいんじゃないかな?と。

確かに演習前の座学で、私もそう教わったのを思い出しました。しかし、実際に身体を動かし、自分が目を瞑って歩いたという経験の後に聞くと、この言葉の重みは全く違って感じました。

お寺の石段をのぼるガイドヘルパー木村さんと利用者さんの足元。

視覚障害があっても、パンを自作し猫の様子を教えてくれる母

「視覚障害があるからって、何もできないわけじゃない」

その言葉を聞いた時、私は母のことを思いました。

母は、たしかに見えづらくなってしまったけれど、パンやベーグルをいちから自作し、飼い猫と穏やかに暮らしています。パン作りの材料は自分でネットで注文するし、私が一緒にいる時は、私に聞きながら必要なものを購入します。

猫のおやつや、食いつきの良かったおもちゃの情報を、私にシェアしてくれることもあります。

ガイドヘルパーは、利用者の方が安全に、安心しておでかけできるように努めなければいけません。どんなに楽しいおでかけも、怪我をしてしまったら台無しになってしまいます。

だから、私は考え込むのではなくて、一緒に歩けるガイドヘルパーになりたい。一緒に歩くために必要なことを考え続けられるガイドヘルパーでありたいです。

その気持ちは、2年前に研修を受けた時のままです。

「行きたいところへ行きたい」「やりたいことをやってみたい」という気持ちに、とことん寄り添うガイドヘルパーになりたいなるためにはどうしたらいいんだろう?と、二年経った今でも試行錯誤の日々です。

ガイドヘルパーと視覚障害者の女性が、緑の多い公園の遊歩道を歩いている。

木村さんの同行援護に密着した取材記事は、以下のリンクからお読みいただけます。

執筆:木村みちる
編集協力:株式会社ペリュトン

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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