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視覚障害者の力になるテクノロジー。AIを使った技術から日常のツールまで幅広く紹介

スマートフォンで、WEBメディアの記事を読んでいる写真。

このページでは、視覚障害者の力になるテクノロジーをまとめています。

デジタル機器を中心とした新しいテクノロジーと、既存のツールや日常生活を新しい視点でよりよくするための技術を中心に以下の項目を紹介します。

  • 【研究・開発中も含む】視覚障害者をサポートする新しいテクノロジー
  • 【定番】視覚障害者をサポートするテクノロジーやツール
  • 【取材記事から】視覚障害者の「困った」を便利にする技術と人

視覚障害者を助けるスマートフォンのアプリについて知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

参考:視覚障害者向けのアプリおすすめ10選 | Spotlite(内部リンク)

「テクノロジー」とカタカナで書くと、AIやデジタルデバイスなどの最新機器を思い浮かべるかもしれません。しかしそれだけではなく、既存のツールをより使いやすく、よりユニバーサルなものにブラッシュアップすることも、「テクノロジー」と言えます。この記事では、AIなど最新技術を活用したものからちょっとした便利なツールまで、様々なテクノロジーを紹介します。
(更新日:2023年12月)

【研究・開発中も含む】視覚障害者をサポートする新しいテクノロジー

携帯画面を横向きにして右手で持ち、画面を見ている視覚障害者。

パソコンやスマートフォンが普及し、視覚障害者をサポートするデジタルなテクノロジーが身近なものになりつつあります。

SpotliteのXアカウントでは、記事更新のお知らせ以外に、視覚障害に関係する注目のテクノロジーについて、担当スタッフが最新の情報をチェックしてリポストなどで発信をしています。チェックしてみてください。

SpotliteのXアカウント:https://x.com/spotlite_story?s=20(外部リンク)

視覚情報を助ける主なデジタルのテクノロジー

例えば、以下のようなデジタルテクノロジーがあります。これらを組み合わせて新しいサービスや商品が開発されています。

  • スマートフォン、パソコンの音声読み上げ機能
  • ビデオ通話を活用したリアルタイム音声サポート
  • カメラ機能+画像認識・テキスト認識
  • 2次元コードに情報を組み込み音声化
  • GPSと音声や振動の組み合わせ         など

視覚障害者の支援は、視覚情報を聴覚(音声)や触覚(凹凸など)で補う事が中心になります。デジタル技術の発展やスマートフォンの普及で、特に視覚情報を音声で補う技術は身近なものになりました。

視覚障害者を助けるスマートフォンのアプリについて知りたい人は、以下の記事もぜひご覧ください。

参考:視覚障害者向けのアプリおすすめ10選 | Spotlite(内部リンク)

視覚情報を音声や振動で補うテクノロジーの紹介

近年発表されている、視覚障害者の支援を主な目的としたデジタル技術や製品をご紹介します。開発中のものや実証実験中のものも含まれます。

通話を通じてリアルタイムに遠隔で視覚情報をサポート

オペレーターや支援ボランティアとリアルタイムにつながり、ビデオ通話をしながら視覚情報をサポートします。日常生活や街中で活用することが想定されています。

  • Be My Eyes(外部リンク)
    リアルタイムのビデオ通話を通じて、ボランティアが視覚障害者に視覚的支援を提供します。
  • アイコサポート(外部リンク)
    スマホカメラで写した映像や位置情報を、コンタクトセンターからオペレーターが伝えてくれます。

Spotliteでは、「アイコサポート」の実証実験について取材しました。

参考:無印良品でアイコサポート実証事業がスタート!全盲のサービス開発担当者が語る | Spotlite(内部リンク)

白杖を持った人がスマートフォンを操作している写真。

カメラがとらえた内容を音声や振動で知らせる

スマートフォンなどのデジタルカメラでとらえた映像をAIや光学読み取りの技術で音声化したり、振動で危険や状況の変化を知らせる技術です。文字情報の読み上げや、歩行支援として活用されています。

スマートフォンなどのカメラを活用する技術では、次のようなサービスがあります。

  • 視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi(外部リンク)
    AIによる画像認識を活用し歩行者や車止めなど、歩行の障害となる物の有無や歩行者信号の色などを音声で知らせます。
  • 音声コード Uni-Voice Blind(外部リンク)
    文字情報を2次元コード化して、スマートフォンなどで読み取ることで紙の印刷物の音声読み上げに対応する技術です。

メガネ型やメガネに装着できる小型カメラを活用する技術では、次のような製品があります。

  • 歩行アシストAIカメラ「seeker」(外部リンク)
    視覚障害者や高齢者が自由に安心して出かけられるよう開発中の製品です。メガネ型の装置で情報を取り込み、AIを使って処理します。危険な状況を検知すると使用者に振動で危険をお知らせします。
  • Orcam(外部リンク)
    メガネに装着し、視覚情報を音声で伝えます。文字の 読み上げ、顔の認識、商品の識別などが可能です。
  • エンビジョングラスリーダー(外部リンク)
    メガネに装着し電源を入れると、目の前の文章を撮影し、音声で読み上げます。

施設・設備と連動して使用する音声サポート

博物館や映画館、駅など、設定された場所や設備の中でスマートフォンのアプリと連動させて音声案内をする技術です。

  • Auris(オーリス)(外部リンク)
    スマートフォンのカメラを空中にかざすと、あらかじめ設定された音声コンテンツを楽しめるアプリです。博物館などで利用することで、視覚障害者のサポートも可能です。
  • 信GO!(外部リンク)
    歩行者信号の情報を「音声」「振動」「画面表示」によって確認することができます。また、交差点名称と方向名称も音声で確認することができます。
  • 視覚障がい者向けナビゲーションシステム shikAI(外部リンク)
    駅構内の点字ブロックに表示したQRコードを、専用アプリで起動したスマートフォンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを導き出し、音声で目的地までナビゲートするシステムです。
  • 薄型ソーラービーコン内蔵点字ブロック(外部リンク)
    点字ブロックに、ソーラー発電型の発信機を搭載した製品です。この点字ブロックを駅や空港などの構内に敷くことで、視覚障がい者のスマートフォンへ位置情報をプッシュ配信し、道案内や施設案内をすることができます。
  • Hello Movie(外部リンク)
    スマートフォンやスマートグラスで映画の字幕と音声ガイドを楽しめる無料アプリです。

以下の記事では、音声ガイドHello Movieを活用した視覚障害者の映画鑑賞体験をまとめています。

参考:「視覚障害者がホラー映画を見たら…?」音声ガイドを活用した映画鑑賞のお出かけに密着 | Spotlite(内部リンク)

既存のGPSやナビと連携・連動

スマートフォンの基本機能のひとつであるGPS機能を活用し、歩行をサポートする技術です。

  • Ashirase(あしらせ)(外部リンク)
    靴に装着して振動で足に知らせることで視覚障がい者の単独歩行を支えるナビゲーションツールです。
  • AIスーツケース(外部リンク)
    視覚障がい者の独立した移動や街歩きを支援してくれるスーツケース型のガイドロボットです。画像認識、AI、ロボット技術など最新技術を組み合わせて開発しています。

触覚の再現

  • 触覚共有技術「フィールテック」(外部リンク)
    「触覚」を記録したり、他者へ共有することができる技術です。第一弾として、手のひらに感覚を伝えるデバイスをNTTドコモが開発しました。触覚が大事な情報のひとつである視覚障害者支援としての活用も期待されます。

【定番】視覚障害者をサポートするテクノロジーやツール

新緑の並木道を歩く視覚障害者とガイドヘルパー。

今では当たり前に見かけるものも、かつては新しい技術でした。アナログなものもありますが、定番の支援ツールを紹介します。

すでに定着している視覚障害者をサポートする技術やツールには、以下のようなものがあります。

  • 白杖
  • 遮光眼鏡
  • 点字、標準点字器
  • 点字ブロック
  • 音響信号
  • 人感センサーを活用した自動音声案内
  • 拡大読書器

視覚障害者を助ける定番のテクノロジーやツールの詳細は、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。

参考:視覚障害者の生活の助けになる便利な道具。購入やレンタルする方法も紹介 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者を助ける道具の分類の画像。 歩行補助具、街にある設備、光学的補助具、情報支援の機器、墨字関連の機器、日常生活で使う道具、音声(音声訳)関連機器

【取材記事から】視覚障害者の「困った」を便利にする技術と人

これまでSpotliteでは、既存のサービスやツールを視覚障害者にとってより便利に、より使いやすく発展させる技術や仕組みに取り組んでいる方々を取材してきました。いくつかご紹介します。

気になる記事がありましたら、ぜひ読んでみてください

ここにあげた以外にもたくさんの技術や工夫がまだまだあると思います。
今後も取材をしていきたいです。

使いやすさを追及、白杖を改良する技術

白杖の使いやすさを追及して素材やグリップ部分、チップ(石突)を工夫した「マイケーン」を製造・販売している株式会社KOSUGEさんを取材しました。

参考:技術者が作るこだわりの白杖とは。視覚障害者に寄り添う会社「KOSUGE」 | Spotlite(内部リンク)

技術者の小菅さんが、白杖のチップを取り付けて調整している写真。

身近なアイテムに貼って使える突起つきシール

ものを触って区別するための新製品「凸ペタシール(でこぺたしーる)」を開発した、法政大学経営学部の学生4人で構成された「チーム凹ni-Que.(ユニーク)」を取材しました。

参考:経営学部の大学生がなぜ? 視覚障害者の声を取り入れた新製品の開発秘話。 | Spotlite(内部リンク)

シート状のデコペタシールのの試作品。

液体の色と量を音声で知らせるグッズ

株式会社Raise the Flag.(レイズザフラッグ)が、開発した「みずいろクリップ」。容器に注ぐ液体の量や物の色を音で知らせてくれる製品です。

参考:色と液量を音で知らせる「みずいろクリップ」偶然から始まった温かみのある製品だった | Spotlite(内部リンク)

箱から出した水色クリップを手に持っている画像。

銀行ATMの音声ガイダンス

銀行ATMの音声ガイダンスは、多くの場所で利用できます。

その中でも特に視覚障害者の使いやすさに配慮して作られたセブン銀行のATMについて取材しました。

参考:セブン銀行の音声ガイダンスサービスがとっても便利。きっかけは1通の手紙だった。 | Spotlite(内部リンク)

聞くことができる「ことばの地図」

地図や画像の理解が困難な視覚障害者などを対象に制作した、ことばの地図です。制作した認定NPO法人「ことばの道案内」の市川さんを取材しました。

参考:言葉でナビをする。道案内の先にある「ことナビ」が目指す社会とは。 | Spotlite(内部リンク)

当社はBlind Entertainment Technologyのメンバーです

Spotliteを運営する株式会社mitsukiは「Blind Entertainment Technology」(略称BET)のメンバーです。

BETは、視覚障害を技術ミックスで解決していくことを目的とし、2022年5月に設立したコミュニティです。

現在は、以下の6社が参加しています。

この記事で紹介したAshirase(あしらせ)の開発企業もメンバーに入っています。

  • 株式会社Ashirase
  • エヴィクサー株式会社
  • 錦城護謨株式会社
  • 株式会社リプルエフェクト
  • 株式会社レベルエンター
  • 株式会社mitsuki

視覚障害者はお出かけの際、ガイドヘルパーや家族などからのサポートを必要とします。そのため、自分が楽しむための外出をしたくても我慢してしまう人もいます。6社の持つ技術やサービスを掛け合わせることで、視覚障害者でも気軽に外出できることを実現したいと考えています。

プロジェクト第一弾では、盲学校の生徒たちが初めての映画館を楽しめるソリューションを提供しました。

本プロジェクトでは、屋外や屋内での安全な歩行を支援するソリューションを軸に、社会福祉では手が届きにくいエンターテインメントなどの楽しみのための外出を支援していきます。

参考:
BET(Blind Entertainment Technology)(外部リンク)
@Press「視覚障がい者向けサービスを展開する6社がコミュニティを発足  視覚障がいを技術ミックスで解決していくことを目的とした コミュニティ「Blind Entertainment Technology(略称BET)」」(外部リンク)

BETのメンバーでシンガポールを訪問し、視覚障害者支援について交流をしてきました。

その時のレポートを記事にまとめています。

参考:シンガポールの視覚障害者施設を訪問して学んだ「受け入れて、関心を持つこと」の大切さ | Spotlite(内部リンク)

最後に

池のほとりで、ガイドヘルパーと白杖の人が談笑している。

この記事では、視覚障害者の力になるテクノロジーや、私たちが参加する「Blind Entertainment Technology」(BET)について紹介しました。気になるテクノロジーがあれば、ぜひ活用してみてください。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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