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視覚障害者の生活の助けになる便利な道具。購入やレンタルする方法も紹介

画面いっぱいに並んだ、100円均一ショップで購入できる便利グッズ。メモリ付きまな板や醤油スプレー、凹凸感があるシールなど。

白杖や盲導犬、点字など、視覚障害者の生活の助けになる道具や機器にはさまざまな種類があります。分類すると、主に以下の7種類です。

視覚障害者を助ける道具の分類の画像。
歩行補助具、街にある設備、光学的補助具、情報支援の機器、墨字関連の機器、日常生活で使う道具、音声(音声訳)関連機器

このような視覚障害者を助ける道具にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、視覚障害者が日常生活で使用している道具とその購入方法やレンタルする方法を解説します。ぜひ道具の把握や購入方法について悩んでいる方は参考にしてください。

なお、このページでは、以下の書籍を参考にして、道具を解説しています。

参考:『同行援護従業者養成研修テキスト 第4版』

歩行補助具

視覚障害者は歩いて移動する時、音声や触覚で周囲の環境を把握するために、以下のような道具を使用します。

白杖を使いながら、広い歩道を歩く女性。

白杖

白杖(はくじょう)は、視覚障害者が道を歩く時に持つ杖のことです。視覚障害者が、1歩先の地面を叩いたり、スライドすることで、進行方向の状況を確認するために使用します。

参考:白杖とは?種類や購入方法、街で見かけたときの対応について紹介 | Spotlite(内部リンク)

盲導犬

盲導犬は、視覚障害者の外出をサポートする犬のことです。曲がり角や段差、障害物を教えることで、視覚障害者が安全に歩く手助けをします。
参考:盲導犬とは?仕事や犬種・訓練内容・費用について解説 | Spotlite(内部リンク)

歩行支援のスマートフォンアプリ

歩行支援のスマートフォンアプリは、スマートフォンの音声読み上げ機能で視覚障害者の移動をサポートするアプリです。例えば、進路上にある障害物や信号を音声や振動で知らせながら目的地に案内するアプリなどがあります。

参考:視覚障害者向けのアプリおすすめ10選 | Spotlite(内部リンク)

歩行時間延長信号機用小型送信機

信号には、視覚障害などの身体障害がある方が横断歩道を安全に渡れるように歩行時間を延長したり、案内してくれたりする機能が備わっているものもあります。

歩行時間延長信号機用小型送信機は、そのサポートをするためのシグナルを発信する機械です。

自分自身で操作することで、音声・音響案内を受けられます。

光学的補助具

光学的補助具とは、目に対する刺激を軽減したり、文字を拡大したりするために使用する眼鏡やサングラスのような道具のことです。主な光学的補助具には、以下の2種類があります。

色眼鏡(サングラス・遮光眼鏡)

まぶしさを感じさせる太陽光の波長をカットする色眼鏡(サングラス・遮光眼鏡)があります。特殊カラーレンズが入っており、明るさを低減します。

参考:サングラスとどう違う?遮光眼鏡のおはなし | Spotlite(内部リンク)

単眼鏡・拡大鏡

見えにくいものを拡大して見るために使用する道具が、単眼鏡と拡大鏡です。両目の矯正視力が0.3未満である弱視の方やロービジョンの方が使用します。

単眼鏡は望遠鏡です。遠くにあるものを見るために使用されます。

拡大鏡はルーペと同じです。小さい文字を拡大するために使用されます。

日常生活で使う道具

日常生活で使用する道具には、視覚障害者をサポートする機能がついている製品があります。さまざまな製品が開発されていますが、主な道具は以下の通りです。

音声で読み上げる体温計・電卓・時計など

音声で操作したり、結果を教えてくれたりする製品があります。

例えば、音声で測定結果を教えてくれる体温計、音声で計算できる音声電卓、音声で時刻を教えてくれる時計などがあります。

触ってわかる生活雑貨

生活雑貨には、触ってわかる目印がついているものがあります。点字表記のものもあれば、目印として凹凸でガイドをつけているものもあります。

凹凸で目印がついているシャンプーボトル。
触ってわかる目印があることで、どんな人でもトリートメントとの区別がしやすくなる

パソコン画面の読み上げソフト

パソコン画面の認識をサポートするために、スクリーンを読み上げるソフトや画面を拡大するソフトがあります。

触読時計

文字盤に触ることで時刻がわかる触読時計があります。

硬貨別に入れられる財布

会計で財布を出す時に、位置と触覚で硬貨の種類を識別できる財布があります。

小銭のみを種類別に収納するコインホームという道具もあります。

参考:視覚障害者が使いやすい財布とは?おすすめの財布や便利グッズも紹介 | Spotlite(内部リンク)

オレンジ色のコインホーム。100円玉や10円玉が、分けて収納されている。
硬貨の種類別に収納できる、コインホーム

色識別装置

知りたいものに機械をかざすと音声で色を案内する色識別装置があります。衣服のコーディネートや生活環境の色彩を把握するサポートをしてくれます。

点字関連の機器

視覚障害のある方は、情報を取得する際に点字を使用する場合があります。さまざまな点字製品がありますが、どのような機器や機械があるのでしょうか。

小型点字器が3つ。1つはケースから出され、もう2つはケースに入ったまま重ねられている。
小型点字器。長方形の点字器に、紙をはさんで針で点字を打つ

標準点字器

標準点字器とは、点字用紙に点字を打てる文房具です。

点字タイプライター

点字タイプライターとは、指でキーを押しながら点字を打つ機械です。点字の6つの点に対応したキーを押すことで、左か右へ点字を打つことができます。

点字ディスプレイ

点字ディスプレイは、パソコンのディスプレイに表示されている文字情報を点字へ翻訳する機械です。持ち歩ける大きさで、パソコンと接続することで使用できます。

点字プリンター

点字プリンターとは、点字で打ったデータを紙に点字で印刷する機械です。立体的に点字を浮かび上がらせることができます。

点字の識字率は、視覚障害者の10%ほどといわれています。後天的に視覚障害になった場合や、弱視の場合には点字をスラスラと読めない視覚障害者もいます。
点字をつければすべての視覚障害者が読めるわけではないことは、理解しておきたいですね。

参考:点字とは?仕組みや読み方、歴史を紹介 | Spotlite(内部リンク)

音声(音声訳)関連の機器

視覚障害者にとって、情報を取得するためには音声情報が重要になります。そのため、文字を読み上げるなどの機能を持った機器が開発されています。具体的には、以下の通りです。

視覚障害者用ポータブルレコーダー(CD読書器)

CD、SDカード、インターネットなどを通じて音声で読書を楽しめる、視覚障害者用ポータブルレコーダー(CD読書器)です。デイジー図書と音楽CDが再生できます。

参考:マルチメディアDAISY図書(外部リンク)

OCRソフト

視覚障害者が活字情報を認識するために、スキャナで読み取った文字情報をテキストデータにして、音声で読み上げるOCRソフトがあります。

音声読書器

音声読書器とは、活字文書をスキャナやカメラで読み取り、文章を音声で読み上げる機械のことです。

活字文書読み上げ装置

活字文書を専用ソフトで音声コードに変換して印刷し、元の活字情報を音声で読み上げる装置のことです。

スマートフォンとワイヤレスイヤフォンを接続している写真。
(写真素材:Unsplash)

墨字関連の機器

視覚障害者の中でも弱視やロービジョンの人々は、点字だけではなく、晴眼者が使用している文字である墨字を使います。ただ、墨字を書くには、困難が伴うため、専用の道具や機器を使用します。

筆記用具

視覚障害者が墨字を書く際に使用する筆記用具。その例として、羅線が太くて書きやすいノート、コントラストが強い白黒反転ノート、そのノートに書く白いペンなどがあります。

レーズライター(表面作図器)

レーズライターとは、視覚障害のある方々が触って認識できる文字や図形を書いたり、識別したりするために使用する筆記用具です。

参考:レーズライター | 公益社団法人 NEXT VISION (外部リンク)

サインガイド

サインガイドは、ペンで文字を書く際に長方形のガイドが設けられている文房具のことです。

街にある設備

視覚障害者が手に取る道具以外に、街なかにも視覚障害者の生活をサポートする設備があります。

視覚障害者が安全に生活を送るために、公共施設や道路、電車などには、さまざまな機能があります。

参考:町にある視覚障害者のための工夫、どんなものがあるの? | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)

視覚障害者用誘導用ブロック、通称「点字ブロック」は、視覚障害者が安全に移動できるように誘導するプレートです。

参考:点字ブロックとは?日本発祥の歴史や使い方、設置ガイドラインを紹介 | Spotlite(内部リンク)

点字表記

駅の券売機や案内図、トイレなどでは触覚で情報を伝える点字表記がされているケースがあります。

参考:点字とは?仕組みや読み方、歴史を紹介 | Spotlite(内部リンク)

トイレにあるボタンの写真。止める、おしり、ビデ、乾燥、洗浄強さ(弱い、強い)のボタンに点字表記されている。

音響装置付き信号機

音響装置付き信号機は、信号が青になったことを音声で伝えたり、音やメロディで案内をしてくれます。

参考:視覚障害者のための「音響式信号機」とは?音の違いや課題なども解説 | Spotlite(内部リンク)

音声案内

駅の改札駅構内のトイレなどでは、音声で場所を案内する機械が設置されている場合があります。

文字が大きくハイコントラストな表記や施設内のガイドライン

公共設備では、誘導灯や案内表示を認識しやすくするために、文字と背景色のコントラストを大きくしているものがあります。

視覚障害者用道路横断帯(エスコートゾーン)

横断歩道の中央に設置されている突起によるラインです。足裏や杖でたどることで、安全に横断歩道を渡れます。

歩道と横断歩道に、連続して点字ブロックが敷設されているエスコートゾーンの写真。

駅のホームドア・可動柵

人が誤って線路内に落ちないようにホームドアや可動柵が設置されています。視覚障害者の転落防止にもつながります。

視覚障害者を支援する製品の入手方法

ここまで、視覚障害者が日常生活を送る上で役に立つ道具や機器を紹介してきました。それらは、どのようにして購入できるのでしょうか。

公的制度の補助を受けて購入する

まず、視覚障害者の生活を助ける道具や機器を使用するために、公的な制度を利用して補助を受ける方法があります。

障害者総合支援法の制度を利用する方法が一般的です。

補装具の給付制度では、白杖や矯正眼鏡、遮光眼鏡を購入する際の費用が給付されます。

ただし、医師の意見書が必要なこと、上限金額が定められていること、申請から給付までに時間がかかることなどを考慮する必要があります。また、日常生活用具の給付制度では、該当の製品を購入する際に、補助を受けられます。ただ、品目ごとに上限額が設定されています。

条件によっては、レンタルできる

年齢や疾患によっては介護保険制度を利用すると、杖などの福祉用具をレンタルできます。

ネット通販で購入する

視覚障害者向けの機器の一部は、ネット通販でも購入できます。楽天市場やAmazonなどの大手ECサイトでも取り扱っており、購入する製品が決まっていれば、すぐに買うことができます。

100円均一ショップで見つかることも

また、100円均一ショップで買うことのできる商品で、視覚障害者にとって便利なものも意外に多くあります。気軽に試すことができるので、探してみるのもいいかもしれません。

下の写真はその一例です。

画面いっぱいに並んだ、100円均一ショップで購入できる便利グッズ。メモリ付きまな板や醤油スプレー、凹凸感があるシールなどが並んでいる。
100円ショップで購入できるグッズの一例
  • 黒い食器やまな板
    白っぽい食材が見えやすく、調理や食事がしやすくなります。
  • 凹凸のあるシール
    家電製品や日用品に貼ることで、目印として活用できます。
    同じ形の容器を触って識別できるようにしたり、スイッチが多い家電のガイドに使えます。
  • 調味料スプレー
    スプレーボトルに調味料を移し替えることで調理時の量の調整がしやすくなり、出しすぎを防げます。
  • ろうと
    液体状の調味料を別の容器や計量カップにうつしたり、飲料をそそぐ際のガイドとしても使えます。
  • 計量スプーン
    容量が印刷ではなく凹凸になっていると、視覚障害者もわかりやすいです。
100円ショップで買える黒いまな板。フチに触ってわかるメモリがついている。

最後に

視覚障害者の生活を助ける道具や機器は、以下の7つです。ぜひ参考にしてください。

視覚障害者を助ける道具の分類の画像。 歩行補助具、街にある設備、光学的補助具、情報支援の機器、墨字関連の機器、日常生活で使う道具、音声(音声訳)関連機器

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この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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