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聞いてみた・やってみた

同行援護を利用して、公園散策してみた

紅葉の中の階段を下りるガイドヘルパーと視覚障害者の写真。

知らない場所に一緒に行ってくれる人がいたら、心強いですよね。

視覚障害者が外出するときに必要な支援を行う福祉サービス「同行援護」は、生活の補助だけでなく、知らない場所の散策にも利用できます。

参考:同行援護とは?支援内容や対象者・移動支援との違いを解説 | Spotlite(内部リンク)

Spotliteiは、視覚障害者の外出サポートとして同行援護事業に取り組んでいます。今回は、同行援護を利用した公園散策の模様をレポートします。

今回の同行援護の概要

同行援護を利用し、新しいことに挑戦している視覚障害者の北原新之助さん。2022年12月某日、北原さんは上野恩賜公園を散策しました。

北原さんに同行するのは、ガイドヘルパーの谷越さんです。

2人は東京ドーム約11個分(約54ha)もある公園を散策する中で、様々なイベントに遭遇しました。

お二人の略歴

北原 新之助(きたはら・しんのすけ)さん

紅葉した木々を背景に、こちらを見る北原さん。

網膜色素変性症で視力は両目とも0.05。視野は2〜3度で、夜盲がある。白杖ユーザー。普段の生活は1人で送っており、同行援護の利用は今回が初めて。

谷越陽(たにこし・みなみ)さん

紅葉をバックに笑顔の谷越さん。

ガイドヘルパー(取材当時)。学生のうちにSpotliteの事業所で資格を取得し、ガイドヘルパーを始める。普段のガイドでは、同行援護利用者が日常生活でよく行く場所への付き添いをすることが多い。
※現在は学校を卒業後就職し、ガイドヘルパーは休業しています。

真っ赤なお社と、グラデーションのもみじ

2人が歩き始めてすぐ、もみじがきれいに紅葉している道に出ました。

谷越 「左手に真っ赤なお社と、もみじの木があります。もみじの葉は根元からは葉先にかけて、緑から黄色、赤にグラデーションになっていてきれいです」

北原 「もみじ、グラデーションになっているんですね!色を丁寧に説明してもらえたので、情景が目に浮かびやすいです」

木の葉を見上げた写真。赤から緑にグラデーションになっているモミジとその向こうにピントのぼやけた緑の葉が見えている。

この日2人はボートに乗る予定があったので、公園内を散策しつつ目的地に向かいます。ボート乗り場への道を歩いていると、大道芸人が北原さんに話しかけました。

大道芸人 「今プードルの風船を作ろうとしてるんですが、よかったらお兄さん一緒に作りませんか?」

大道芸人のジーニーさんが、北原さんに声をかけました。

北原さんは風船を受け取ると、ジーニーさんと一緒にプードルを作り始めました。ジーニーさんがプードルを完成させると、パフォーマンスが始まります。

ジーニーさん 「それでは、大道芸を始めます!」

「言葉多めで!」大道芸人の粋な配慮

白、黒、赤、ピンクの風船を使って作品を作っている、大道芸人のジーニーさん。

細長い風船を何本も使って、何かを作るジーニーさん。

北原 「今何色の風船が使われているんですか?…あっ、今風船が割れましたね」

谷越 「今は赤と黒の風船が使われています。多分ミニーちゃんを作ってますね。風船はわざと割ってるみたいですよ」

北原さんが、谷越さんの状況説明を聞きながら大道芸を見ていると、呼び込みのために遠くの人に向かって話していたジーニーさんが、こちらに向かって話し始めました。

ジーニーさん 「赤い風船を1本、白を2本、ピンク1本、黒を使って残りを作っていきます。普段より言葉の説明多めでどんどん作っていきましょう!」

ジーニーさんは白杖を持つ北原さんに気づいて、通常よりも詳しく言葉で説明しながら大道芸を進めます。

ジーニーさんを囲むたくさんの観客と谷越さん、北原さん。観客たちは笑顔で拍手を送っている。

次々と進むパフォーマンスの中で、ジーニーさんは最後まで言葉での説明を多めにしていました。

大道芸を見終えて満足な2人は、歩きながら大道芸の感想を言い合ったり、学生時代の部活の話に花を咲かせたりしながら、再びボート乗り場へ向かって歩き始めました。

ジーニーさんのXのアカウントはこちら(外部リンク)

1人で行くより、もっと楽しめました

このあとボート乗り場に到着し、北原さんは同行援護でボートを楽しみました。

北原さんがボートを楽しんだ様子が詳しくわかる記事は以下のリンクから読むことができます。
参考:初めてのボート体験。同行援護で、視覚障害者でも安心して楽しめました | Spotlite(内部リンク)

そろそろ同行援護の利用時間も終了です。ボートを漕ぐ大変さを話しながら、解散場所に向かいます。

北原 「思っていたより腕が疲れるんですね!手のひらもけっこう痛いです。でも初めての経験ができて楽しかったです!」

谷越 「私は乗っていて安定感がありましたよ!」

同行援護の利用時間が終了し、解散場所に着きました。今回の同行援護を北原さんに振り返ってもらいました。
北原 「知らない場所だとどこに何があるかわからないので、説明を聞きながら移動できるのは助かりますね。普段見えない景色も教えてもらえるので、より公園内を楽しめた気がします」

公園の中を歩く谷越さんと北原さん。谷越さんが指差したほうを北原さんが見ている。

視覚障害者にとって1人で体験するハードルが高いことも、同行援護を利用すれば安心して取り組めます。

今回のように「行ってみたいけれど広すぎるから、最初は誰かと一緒に行きたい!」と利用される方も多くいらっしゃいます。もし興味があれば、ぜひ同行援護の利用を検討してみてください。

西郷隆盛の銅像を見上げる北原さんと谷越さんの後ろ姿。

2人が、公園で開催されていたイベントの防災ブースを楽しんだ様子も記事になっています。同行援護の利用例を複数知りたい方におすすめです。

参考:同行援護中に、視覚障害者の避難シミュレーションゲームを見つけました | Spotlite(内部リンク)

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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(記事内写真撮影:Spotlite)

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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