今回は、神奈川県厚木市の神奈川県総合リハビリテーションセンター内にある七沢自立支援ホームをご紹介します。
眼科医や歩行訓練士、視能訓練士などの様々な専門職が連携し、多角的に視覚リハビリテーションを提供している施設です。
2016年に改修された綺麗な設備と充実のサービス内容をご覧ください。
七沢自立支援ホームとは
視覚障害者と肢体不自由者のためのリハビリ施設です。障害者総合支援法に則った機能訓練や施設入所支援を行っています。
支援課の矢部健三さんに施設の概要をお話いただきました。今回は、視覚障害部門のみをご紹介いたします。
基本情報
施設名 | 七沢自立支援ホーム |
所在地 | 〒243-0121 神奈川県厚木市七沢516番地 |
最寄り駅 | 小田急小田原線 本厚木駅 |
運営団体 | 神奈川県総合リハビリテーションセンター |
実施業務 | 機能訓練、施設入所支援 |
電話 | 046-249-2308(総合相談室:下4桁は2309もしくは2352でも可) |
受付時間 | 月曜日~金曜日 8:30~17:00 |
沿革
1973年8月 | 七沢ライトホーム開設。当初は施設入所支援のみ。 |
1983年4月 | 通所訓練開始。 |
2010年4月 | 肢体部門と統合し、「七沢更生ライトホーム」に改称。訪問訓練開始。 |
2016年6月 | 福祉棟が移転し、「七沢自立支援ホーム」に改称。 |
サービス
自立訓練
歩行、コミュニケーション、日常生活、感覚などの各訓練の他、進路相談や家族支援も行っています。ニーズに合わせて、入所、通所もしくは訪問で訓練を行います。
心理面でのサポートや身体を動かすプログラムもあります。
必要に応じて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が関わります。
健康管理
医務課には看護師を配置しており、神奈川リハビリテーションセンター病院の各科と連携しています。
職員は24時間体制で勤務しており、緊急時にも早急に対応できます。
地域支援
見学や研修を積極的に受け入れています。
各地での福祉機器展に出展したり、障害者スポーツ大会にスタッフが参加するなど、地域に根差した施設を目指しています。
利用案内
対象 | 視覚障害による身体障害者手帳の交付を受けている満15歳以上の方で、著しい精神障害・伝染性疾患を有しない方。 |
利用方法 | 市区町村の受給者証が必要になります。 |
利用期間 | 市区町村のサービス支給決定期間に準じます。リハビリテーションに必要な期間で概ね1年です。 ※1 |
申し込み | 居住地の障害福祉相談窓口及び七沢自立支援ホーム総合相談室へご相談ください。 ※2 |
費用 | 所得状況・障害支援区分等によって異なりますので、市区町村障害福祉相談窓口にお問い合わせください。 ※3 |
定員 | 自立訓練 18名 施設入所支援 10名 |
※1 個別的な課題の解決を希望する方には短期(3~5ヶ月)や中期(6~11ヶ月)の訓練も提供しています。プログラムについては個別の課題により作成しますが、内容によっては希望に沿えない場合もあります。
※2 電話:046-249-2308(総合相談室:下4桁は2309もしくは2352でも可)
※3 その他に実費として食事・光熱水費がかかります。
食事:1488円(朝・昼・夕)
光熱水費:271円 (一日あたり)
データから見る変化
1973年に開設されてから現在までの利用者に関する色々なデータを教えていただきました。
七沢自立支援ホームの現状だけでなく、視覚リハを取り巻く変化が垣間見えました。
年齢
中心層が35~49歳から55歳以上に移行しています。
60歳以上の利用者数も増加しており、高齢化が進んでいるようです。
等級
2000年頃までは7割以上の利用者が1級でしたが、2000年以降は6割以下に減少しています。
見え方が多様化していると言えそうです。
利用期間
2000年頃までは約8割が6か月以上の長期利用者でしたが、2000年以降は7割程度にまで減少しています。
短期で訓練を終える方が増え、2000年以降は約1割の方が3か月未満で修了しています。
個々のニーズに合わせて、利用期間も柔軟に対応しているようです。
退所後の進路
盲学校への進学者が約4割から2割に減少し、単身生活を行ったり就労する方が増えています。
視覚障害者の生活について、選択肢が広がってきたのかもしれません。
七沢自立支援ホームの特色
視覚リハビリテーション体験会
年4回、実際の訓練を体験できる機会を設けています。
8月24日土曜日に行われる第2回には、Spotliteのメンバーで視覚障害者の渡辺が参加します。
今年度は、12月14日土曜日と来年3月14日土曜日にも行われます。
また、宿泊を伴う体験会も随時行っています。
関心がある方はぜひお問い合わせください。
問い合わせはこちら
七沢自立支援ホーム 視覚障害部門 担当:佐藤様
電話・FAX:046-249-2337
メール:njshien2f@kanagawa-rehab.or.jp
中間型アウトリーチ
中間型アウトリーチとは、支援者が眼科など視覚障害者と接点がある場所に出向いて、相談支援や情報提供を行うことです。
七沢自立支援ホームでは、神奈川県内の複数の開業医で中間型アウトリーチを行っています。
視覚リハビリテーションが必要だと思われる患者に白杖体験を行ったり、様々な便利グッズを紹介します。
そこに来られた患者さんが最終的に七沢自立支援ホームの入所につながったケースもあるそうです。
盲学校の受託評価
県内の盲学校等に在籍する視覚障害児(者)を対象に、神奈川リハビリテーション病院の眼科と連携して、視機能・触察能力・日常生活動作・コミュニケーション能力等を評価しています。
神奈川県からの受託事業としてもともとは肢体不自由の方を対象に行っていましたが、視覚障害児(者)でも有効であるとのことで盲学校と連携して始まりました。
評価結果は進路や日常生活の指導に活用され、個々に合わせたQOL向上の一助となっています。
神奈川リハビリテーション病院との連携
度々登場している「連携」というキーワードですが、神奈川リハビリテーション病院の眼科とは特に密な連携を取っています。
眼科のロービジョン外来に来られた患者が七沢自立支援ホームでの訓練につながったり、眼科の視能訓練士が利用者に遮光眼鏡やルーペの選定を行うこともあります。
眼科部長の久米川先生は、神奈川ビジョンケアネットワークの代表理事も兼任しています。今年から神奈川県ではスマートサイトも立ち上がりました。
これらの活動は、改めて別の記事でご紹介します。
チラッと施設紹介
歩行訓練士の内野大介さんが施設を案内してくれました。
ここで紹介するとボリューム満点になるので、詳細はSpotliteの渡辺が8月24日土曜日にリハ体験を行った後の記事に取っておきます。
今回は、気になったけど次回の記事では漏れてしまいそうな箇所をチラッと紹介します。
歴史ある製品
ソニックガイドとは、眼鏡の眉間の部分から超音波を発して、前方の障害物の状況を音で使用者に伝える機器です。
実際に体験することはできませんが、近年次々と発売されている眼鏡型支援機器の前身と言える機器が保管されています。
点字印刷を行う亜鉛版を作るための専用製版機です。
1973年の開設当初から設置されています。今は壊れると修理ができないため、大切に使っているそうです。
視覚障害者への配慮
通路の角を茶色の素材で縁取りをしたり、床との境目には10㎝ほどの青色の薄い板を貼っています。
ロービジョンの方からの「進行方向が分かりにくい」という声をもとに、職員の方が後から取り付けたそうです。
エレベーター前に
エレベーターを降りると目の前に見えるのがこのオブジェです。
昨年の施設の文化祭での作品だそうです。
「未来まであと20歩」と書かれた先には、スタッフルームがあります。
どんな未来が待っているのかはぜひ皆さんの目で直接ご確認ください。
オブジェの前の通路には、ショーバとエアロバイクが常設されています。
つまり、エレベーターの真ん前ということです。
気軽にいつでも利用でき、運動不足解消にはもってこいです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
七沢自立支援ホームは、医療と福祉が連携して個々に合わせたサービスを提供している全国でも数少ない施設です。
緑豊かな自然に囲まれ、近くには温泉郷もあります。
施設に興味がある方はもちろん、都会の喧騒を離れてリラックスしたい方、温泉と合わせて立ち寄る方、エレベーターの前でジョーバに乗ってみたい方、そのほか少しでも視覚リハに興味がある方はぜひ1度見学に行ってみてください。
見学は要予約で、基本的にいつでも受け付けているそうです。
肝心の詳しい施設紹介やスマートサイト、神奈川ビジョンケアネットワークの活動は改めてご紹介します。お楽しみに。
アクセス
電車・バスを利用する場合
小田急小田原線 本厚木駅・愛甲石田駅・伊勢原駅より神奈中バス「神奈川リハビリ」下車
車を利用するの場合
東名高速 厚木ICより約8km
カーナビご利用時は「神奈川県厚木市七沢516番地」と入力ください。