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聞いてみた・やってみた

当事者に聞いてみたvol.2 「声かけ・サポート運動で声かけは増えたの?」

ホームドアがない駅のホームを撮影した画像。

こんにちは、高橋です。今回は当事者に聞いてみたシリーズの第2回です。

第1回はこちら:当事者に聞いてみた vol.1 「視覚障害者になんて声をかけたらいいの?」

皆さん、駅構内で「目の不自由な方への積極的なお声かけをお願いします」というアナウンスを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

これは、全国の鉄道会社が連携して行う「声かけ・サポート運動」の一環です。

「声かけ・サポート運動」とは、鉄道などをご利用になるお客様が安全に安心して施設をご利用いただけるよう、お困りのお客様に対して社員から積極的にお声かけを行うとともに周囲のお客様からもお声かけにご協力いただく取り組みです。
参照:JR西日本 ニュースリリース

最近、視覚障害者が駅のホームから転落するニュースが頻繁に報道されています。
視覚障害者が安全に外出するために、周りの人たちができることは何なのでしょうか。

ある視覚障害者の声

あくまで私の個人的な感覚ですが、数年前に比べると声をかけられる回数は増えたかなと思います。

最近は外出すると往復で1人ずつ、だいたい2人くらいに声をかけられるのですが、
ある日、行きに4人、帰りにも4人声を掛けて下さったことがありました。
まあ、帰路の1人は今まで何度か声を掛けてくれてるお嬢さんなんですが、
この方、とても誘導が上手くてね、本職じゃないなんて信じられないくらいです。

別の方ですが、毎朝駅で誘導してくれるお嬢さんもいましたね。電車に乗る時間がずれてから、寝坊した時くらいにしか会えなくなってしまいましたけど。
また、別の場所で「おっちゃんどこ行くの?連れてってあげるよ」なんて声掛けされた時は下町っぽい温かさがあって個人的に好感が持てました。おそらく、礼儀やマナーからしたらあまりよくはないかもしれませんが、根本はそこではないよね、という好例かと思います。

やっぱりニュースで取り上げられたり、駅の中でアナウンスがあるのは効果があるのではないかなというのが私の感想です。

だから、なるべく声をかけていただいたら誘導してもらうようにしているんですが、慣れている場所だったり、急いでいたりしてどうしてもお断りすることもあります。
「大丈夫ですよ~、お気遣いありがとうございます」って、別人格じゃないかってくらい優しく伝えます。だって、きっかけはともかく、声かけを実践してくださっていることが本当にありがたいからです。だから、声をかけてくださった皆さんは、断られたとしても凹んだり怒ったりしないでほしいんです。

そんな時は「では、お気を付けて」と見送りながら、『ああ、今回はお手伝いが必要なかったんだ』と思って、また次に白杖を持っている人を見かけたらよろしくお願いします。

最後にひとつだけお願いしたいのは、社会としても個人としても、一時のマイブームで終わらせないようにして頂きたいってこと。
「遠慮するくせに何言ってんだ」とか言わないでくださいね。
みなさんが困った時、きっと沢山の人が助けてくれるようになるはずですから。

点字ブロッグが敷設されている道を歩く人影が写っている画像。

最後に

今回お話をお聞きした視覚障害者の方がおっしゃるように、声かけを一時的なブームで終わらせないようにしなければいけないですね。

ホームドアの設置や障害物を検知できる白杖の開発など、技術の進歩に期待しつつ、最後に頼ることができるのは人間の目なのかもしれません。

資格を取ったりボランティア団体に登録するなどの大げさなことではなく、一声かけるという行動で助かる命があるのだと思います。

ホーム転落をなくす会のホームページでは、声かけのポイントやホームでの転落経験者の声が掲載されている他、啓発ポスターなどがダウンロードできます。ぜひご覧ください。

この記事を書いたライター

高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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