このページでは、視覚障害者について、法律上の定義、見え方、仕事、支援制度など、様々な角度からまとめています。
目次をクリックして、知りたい内容から読むこともできます。
それぞれの項目で、Spotlite内の参考になるほかの記事へのリンクもありますので、気になる記事がありましたら、ぜひ合わせて読んでみてください。
視覚障害者とは?
視力や視野に障害があり、見えにくかったり全く見えない状態を視覚障害といいます。
また、身体障害者福祉法では以下のように説明されています。
第四条 この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
別表(第四条、第十五条、第十六条関係)
一 次に掲げる視覚障害で、永続するもの
1 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常がある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。)がそれぞれ0.1以下のもの
2 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの
3 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
4 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
引用:身体障害者福祉法(外部リンク)
ただし、視覚障害にはさまざまな見え方があるため、身体障害者福祉法に記載されているものがすべてではありません。
また、「めくら」という表現も昔はありましたが、差別用語とされているため、避けましょう。「盲人」という表現は差別用語ではありませんが、使用を避けられるケースもあります。
参考:「盲人」と「視覚障害者」 | 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合(外部リンク)
視覚障害者の数
厚生労働省の調査によると、2018年時点で視覚障害における身体障害者手帳所持者数は31.2万人でした。
参考PDF:平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果 | 厚生労働省(外部リンク)
また、日本眼科医会が2009年におこなった分析では、視覚障害者は約164万人で、このうちロービジョン者は144.9万人、失明者は18.8万人と推定しています。
参考PDF:視覚障害がもたらす社会損失額、8.8兆円!!~視覚障害から生じる生産性やQOLの低下を、初めて試算~ | 社団法人 日本眼科医会(外部リンク)
視覚障害者の見え方
視覚障害者には、さまざまな見え方があります。まったく見えない全盲だけではありません。
- ぼやけて見えにくい
- まぶしさによって見えにくい(羞明)
- 暗い場所で見えにくい(夜盲症)
- 視野の周辺部が見えにくい(求心性視野狭窄)
- 視野の中心部が見えにくい(中心暗点)
上記の障害も、視覚障害にあてはまります。
詳しくは、以下の記事でも解説しています。
参考:視覚障害者の見え方はどのようになっている?特性ごとに紹介 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者の等級の判定方法
視覚障害者の等級は、身体障害者福祉法施行規則の「別表第五号(第五条関係)身体障害者障害程度等級表」に記載されています。
以下に身体障害者障害程度等級表を引用します。
身体障害者福祉法施行規則の身体障害者障害程度等級表 | |
1級 | 視力の良い方の眼の視力が0.01以下のもの |
2級 | 1.視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの 2.視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの 3.周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が28度以下のもの 4.両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
3級 | 1.視力の良い方の眼の視力が0.04以上0.07以下のもの 2.視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの 3.周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下のもの 4.両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
4級 | 1.視力の良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下のもの 2.周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下のもの 3.両眼開放視認点数が70点以下のもの |
5級 | 1.視力の良い方の眼の視力が0.2かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの 2.両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの 3.両眼中心視野角度が56度以下のもの 4.両眼開放視認点数が70点を超えかつ100点以下のもの 5.両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
6級 | 視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの |
視覚障害者の仕事
視覚障害者の就職状況に関して、2013年に厚生労働省が実施した調査結果の表を、以下に引用します。
引用PDF:視覚障害者の雇用等の実状及びモデル事例の把握に関する調査研究 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター(外部リンク)
調査によると、視覚障害者の約69%は事務的または販売の職業に就いています。反対に、保安や建設・採掘の職業に就いている視覚障害者は、全体の0.1%ほどしかいません。
視覚障害者の職業の種類には、偏りがあるのが現状です。背景には、事業主における障害者の能力開発のノウハウ、安全やアクセシビリティの不足といった課題があるとみられています。
また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターが2018年に行った調査では、視覚障害者の仕事内容が記載されています。
以下に、視覚障害者の仕事内容をまとめた表を引用します。
引用PDF:視覚障害者の雇用等の実状及びモデル事例の把握に関する調査研究 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター(外部リンク)
最も就職件数が高いのはあん摩マッサージ指圧師でした。上記に記載された職業以外にも、教師やエンジニア、ヘッドスパ専門店などで働く人もいます。
参考:「視覚障害者とエンジニアの仕事は相性が良い」。仕事のしやすさと課題を当事者に聞く | Spotlite(内部リンク)
参考:目の難病、網膜色素変性症の美容師。テクノロジーで広がる視覚障害者の働き方とは? | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者が生活で困ること
視覚障害者が生活で困ることや悩んでいることには、次のような問題があります。
- 外出が不安に感じる
- 自分に話しかけているのか分からない
- 「あっち」「そっち」などの指示語だと方向が分からない
- 商品の名前や値段、内容が分からない
- メニュー表を読むのが難しい
こういった困りごとや悩みから、視覚障害者を助ける道具や支援制度があります。
参考:視覚障害者が生活で困ることは?事例と解決策を解説 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者のために
視覚障害者の生活を助ける道具や支援制度、今すぐできることをそれぞれ紹介します。
視覚障害者の助けになる道具
視覚障害者の助けになる道具にはさまざまなものがありますが、主な道具は以下の10個です。
- 白杖(はくじょう)
- 盲導犬
- 色眼鏡(サングラス・遮光眼鏡)
- 単眼鏡・拡大鏡
- 音が鳴る体温計・電卓・時計など
- 点字つきの生活雑貨
- パソコン画面の読み上げソフト
- 点字タイプライター
- 点字プリンター
- 視覚障害者用ポータブルレコーダー(CD読書器)
視覚障害者を助ける道具は、制度や法律を利用することで補助を受けられます。また、視覚障害者グッズの専門店やネット通販で購入することも可能です。盲導犬を利用したい場合は、日本盲導犬協会に連絡します。
参考:視覚障害者の生活の助けになる便利な道具。購入やレンタルする方法も紹介 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者の支援制度
視覚障害者のための支援制度もあります。
- 同行援護
- 自立訓練(機能訓練)
- 就労移行支援
- 補装具費の支給や盲導犬の貸与
- 相談支援
- 医療費や税金の減免
- 障害年金
自治体によっては、独自の補助やサービスを行っている場合もあります。利用を検討される場合は、市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
視覚障害者のためにできること
もし今、目の前に困っている視覚障害者がいたら、次の手順で声をかけましょう。必要な場合は、誘導もおこないます。
- 声かけが必要そうか判断する
- 声をかける
- 状況を説明する
- 誘導する
誘導する際は、必ず声をかけてから行います。いきなり肩や腕を掴むことや、背中を押すことは、視覚障害者に不安を感じさせてしまいます。
視覚障害者のためにできることの詳細は、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
参考:すぐできる!視覚障害者のためにできること|声のかけ方と誘導方法 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者についてのまとめ
視覚障害者は、視力や視野に障害がある人です。
全盲と言われる全く目が見えない見え方だけでなく、視力や視野などの視機能は残っているが見えにくさのある、ロービジョンと呼ばれる視覚障害者もいます。
この記事をきっかけに、街なかで白杖を持っている方を見かけたときには、「どんな見え方をしているのかな」「何かお困りのことはないかな」と少し気にかけてみてください。
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