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視覚障害者がジムで運動するには?障害者専用のスポーツ施設やフィットネスジムも紹介

スポーツ施設の様子の写真。

体を動かすことは、リフレッシュになるだけではなく、体力増強や健康促進といった効果もあります。視覚障害があっても、体を動かしたい、動かす場所が欲しい、という人も多くいます。

一方で、「ジムの入会を断られた」「一人で利用できなかった」といった声も聞くことがあり、課題があります。

この記事では、視覚障害者が気軽に体を動かせるスポーツ施設を紹介したり、スポーツ施設それぞれの取り組みについてお伝えします。記事の後半では、スポーツ施設で気をつけたいことをご紹介します。視覚障害があり、体を動かすことに興味がある人はぜひ読んでみてください。

障害のある人のスポーツ施設の利用状況

障害者が実際にスポーツ施設を利用する割合は、一体どのくらいなのでしょうか?

「ミライロ・リサーチ」が2017年に調査したデータによると、アンケートに回答した障害者の約4割が「フィットネスジムに通っている」もしくは「過去に通っていた」と回答しています。

また、「フィットネスジムを利用したことがない」と回答した人のうち約7割が「利用してみたい」と回答していることから、フィットネスジムへ通うことに関心がある人が多いことがわかります。

一方で、フィットネスジムに「通ったことはないが体験などで利用した」「1度も利用したことがない」と回答した人のうち、約8割の障害者が、フィットネスジムに通うことに「不安を感じる」と回答しています。

このことからも実際に「通ってみたい」「過去に通っていた」人たちの不安な気持ちもうかがえます。

2015年にスポーツ庁委託事業によって行われた調査によると、成人の障害者のうち、週1回以上スポーツやレクリエーションをしている人の割合は19.2%となっています。

参考:ミライロ・リサーチ(外部リンク)

参考PDF:地域における障害者スポーツ普及促進事業(障害者のスポーツ参加促進に関する調査研究) | スポーツ庁委託調査(外部リンク)

室内で腹筋している女性の写真。

視覚障害者向けのスポーツ施設

​​障害者向けのスポーツ施設があることをご存知でしょうか?

一般のスポーツ施設やフィットネスジムで、障害者割引を利用して通う仕組みは以前からありました。また、近年では障害者専用のフィットネスジムや、指導者が常駐するスポーツ施設も少しずつ増えてきています。

こうした障害者専用のスポーツ施設は、知的障害者や身体障害者が利用することのできる施設です。

東京2020オリンピック・パラリンピック大会の影響もあり、パラスポーツ普及のために、障害者専用のスポーツ施設が、近年たくさんできいます。

ここでは視覚障害者を含めた、障害者全体が通うことができる施設についてご紹介します。

公的な施設

東京都パラスポーツトレーニングセンター(外部リンク)

令和5年に開館した、パラスポーツ専用の施設です。東京都調布市の「味の素スタジアム」内にあります。パラスポーツ専用の競技道具やトレーニング機器、体育館やトレーニング室などが用意されています。

東京都障害者総合スポーツセンター(外部リンク)
東京都北区にある、障害者専用のスポーツセンターです。体育館やトレーニング室、プール・卓球室・テニス場・サウンドテーブルテニス室が用意されています。

東京都多摩障害者スポーツセンター(外部リンク)

東京都国立市にある、障害者専用のスポーツセンターです。体育館やトレーニング室、プール・卓球室・サウンドテーブルテニス室が用意されています。

大阪市長居障がい者スポーツセンター(外部リンク)

日本で初めて、障害者に向けて設立されたスポーツセンターで、1974年に開館しました。一人で来館しても指導員や仲間がいて、安心していろいろなスポーツを楽しむことができる施設です。体育館や、プール、卓球室、ボーリング室、トレーニング室など9つの運動スペースと、会議室やラウンジ、研修室などが用意されています。

民間の施設

にしはちスポーツジム(外部リンク)

東京都八王子市にある、障害者や高齢者を対象としたフィットネスジムです。2021年に開館しました。サーキットトレーニング設備を中心としたスペースに、ボルダリング、トランポリン設備や、談話サロンなどが用意されています。

パーソナルトレーニング

障がい者専門トレーニング ユニバーサルトレーニングセンター」(外部リンク)

東京都新宿区にある、障害者専用のパーソナルトレーニングジムです。
訪問型トレーニングとオンライントレーニングの2種類があります。
訪問型トレーニングは依頼者が指定する場所に、トレーナーが訪問しマンツーマンで行うトレーニングです。

このほか、公的施設は全国の各地に存在します。しかし民間の施設やパーソナルトレーニングはまだまだ少ないので、今後のさらなる普及が期待されます。

ダンベルなどが並んだスポーツ施設のイメージ写真。

視覚障害者がスポーツ施設で取り組める運動

視覚障害者もスポーツ施設内では様々なスポーツを楽しめます。例えば競歩、マラソン、ウォーキングなどの陸上競技や、自転車競技などがあります。

スポーツ施設には陸上競技場や体育館が備わっているところが多く、いろいろなスポーツをすることができます。また、プールがある施設では水泳も可能です。
視覚障害者向けのランニングマシンが備わっている場合には、屋内でトレーニングをすることができます。

参考:視覚障害者が楽しめるスポーツとは?種類や工夫の方法も紹介 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者柔道に注目してみよう。迫力のあるパラスポーツ | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者のスポーツ「ブラインドマラソン」とは?ルールや伴走についても解説 | Spotlite(内部リンク)

視覚障害者がスポーツを楽しむために

晴眼者が、視覚障害者と一緒にジムへ行くときの同行のポイントについてご紹介します。

到着したらまず施設の設備を確認

施設に到着したら、いざというときのための避難経路や、トイレの位置などを確認しましょう。

時間がある場合は、施設内を一緒に歩いて、各部屋の案内などのオリエンテーションをすると視覚障害者にとって行動しやすくなります。

運動を始める際には怪我防止の観点から、器具の形状や、配置などを必ず確認することが大切です。

スポーツをする際に配慮すること

スポーツを経験したことがない視覚障害者にとっては、イメージがつきにくい動作もあります。
その場合、視覚的な情報を、言葉や音で伝えることが大切です。例えばフォームなどを伝える際には、「その」「ここ」といった指示語を省き、動作の想像がしやすい具体的な言葉で伝えましょう。もしうまく伝わらない場合には、本人に触れてもらって理解してもらうのもよいでしょう。

また、視覚障害者の競技を観戦する場合、声援は適切なタイミングで行いましょう。
視覚障害者が行う競技の場合、声や音で動きを判断するため、プレー中の声援がかえって競技の妨げになる場合があります。声援や大きな音を出してもいいタイミングがありますので、その時に、精一杯の応援で視覚障害者を応援しましょう。

視覚障害者がスポーツ施設に通うメリット

視覚障害者がスポーツ施設に通うメリットについてご紹介します。

運動不足の解消になる

スポーツを経験することで、運動不足が解消されるほか、体力増強にもつながります。

コミュニケーションのきっかけになる

同行するガイドヘルパーや友人、指導を受けるトレーナーやジムに訪れる人たちと「スポーツ」を介して会話が広がっていきます。

仲間が増える

一緒にチーム競技をするチームメイトや、施設内で出会う人と仲良くなり、趣味や余暇を通じた仲間が増えていきます。

挑戦する意欲が湧く

スポーツに挑戦することで「頑張ろう」「成し遂げたい」など、挑戦する意欲が湧きます。

ハンドグリップ、ミニサイズの鉄アレイなどが並んだ写真。

まずは挑戦してみよう

視覚障害者専用のフィットネスジムやスポーツ施設は、晴眼者向けの施設と比較するとまだまだ少ない状況です。しかし年々増えているほか、オンラインツールを使用した民間施設も登場したことから、視覚障害者がより気軽にスポーツへ挑戦する環境は広がってきているのではないでしょうか。もし、視力や視野に不安があり、何かスポーツに挑戦してみたい方がいたら、まずは障害者向けのスポーツ施設に足を伸ばして挑戦することから始めてみると良いかもしれません。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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記事内写真素材:Unsplash

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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