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編集部から

日本中どこにいても、視覚障害者の「行ってみたい」「やってみたい」が実現する社会を目指して【代表コラム】

都心部の幅の広く人通りの多い歩道を、視覚障害者がガイドヘルパーと笑顔で会話しながら歩いている。

私たちは今、全国に少しずつ新しい同行援護事業所を開設しています。

東京、香川に加えて、今年は栃木、福岡にも事業所を立ち上げました。これからも全国のいろいろな地域に広げていきたいと思っています。

なぜ全国に事業所を開いているのか。

会社として成長したいという気持ちは、もちろんあります。ただ、拠点数や売上高など、会社を大きくすること自体が一番の目的ではありません。その先に、やりたいことがあります。

香川と東京で同行援護事業所をやっていて気づいた違い

私は、香川県の出身です。実家の周りには田んぼが広がっていて、自然がたくさんあります。

帰省をするといつも思うのですが、外を歩いている人は本当にまばらです。コンビニに行くのも、スーパーに行くのも、病院に行くのも、基本的には車です。

緑が多く山に囲まれた田んぼの風景。田んぼの間の細い道路を赤い自動車が1台走っている。
(写真素材:Unsplash)

東京で暮らしていると、家から駅まで歩いていって、電車に乗ればいろいろな場所に行けます。降りた先にもお店や施設がたくさんあります。香川では、それが当たり前ではありません。

そして当然、そんな地域にも視覚障害者はたくさん暮らしています。

香川県には、視覚障害の身体障害者手帳を持っている方が約2,500人います。

同行援護という制度があっても、地域によっては事業所が少なかったり、ヘルパーが足りなかったり、そもそも公共交通機関だけでは行きたいところに行きづらかったりします。

東京で同行援護をやっているときと香川で同行援護をやっているときでは、同じ制度なのに、利用のニーズや課題が全く異なります。そしてこれは、香川だけの話でもありません。全国に視野を広げると、地域によって事業所の数も、ヘルパーの数も、交通事情も、同行援護の使われ方も違います。

住んでいる場所によって、外出の選択肢が大きく変わってしまうのです。全国に事業所を広げたいと思う理由のひとつは、ここにあります。

車移動が算定できない現行制度

同行援護という制度は、今の仕組みだけを見ると、都市部との相性がいい制度です。

利用者さんもヘルパーさんもある程度いる。電車やバスなどの公共交通機関がある。その条件が揃っている地域ほど、事業所としても運営しやすいのです。

逆に地方では、利用者さんもヘルパーさんも広い地域に点在しています。そして何より、移動に車が欠かせません。現在の同行援護では、基本的に車で移動している時間そのものを同行援護のサービス提供時間として算定することはできません。

東京なら電車で30分移動している間も同行援護ですが、地方で同じ距離を車で移動すると、その時間をそのまま算定できるわけではありません。これは、地方で同行援護事業をやろうとするとき、かなり大きな問題のひとつです。

利用者さんとヘルパーさんの数も必要で、さらに両者をうまくマッチングしなければ事業として成り立ちません。そのため、純粋に経済合理性だけで考えれば、「人口の多い都市部に集中した方がいい」という結論になるのは明らかです。

むしろ全国、特に地方へ広げようとしている私たちは、経済合理性だけで考えれば完全に間違えているのかもしれません(笑)。

でも、私は香川出身、地方出身者です。地方で同行援護が使いづらい。車がないと生活できない。そういう地域だから、行きたい場所に行けない。それを「仕方ないね」で終わらせたくないと思っています。全国どこに住んでいても、必要な制度を使って外出できるようにしたいのです。

視覚障害者の選択肢を増やしたい

私が最終的にやりたいのは、私たちが関わる人たちの生活を今より良くすることです。

もう少し具体的に言うと、選択肢を増やしたいと思っています。同行援護は、通院や買い物など生活に必要な外出を支える大切な制度です。

しかし、用途はそれだけでなくてもいいのです。

旅行に行く。スポーツをする。ライブに行く。友達とご飯を食べる。行ったことのない場所に行ってみる。そういう「明日へのワクワク」も、もっと増やしていきたいと考えています。

視覚障害があるから、地方に住んでいるから、選べるものが少なくなる。そういうものをひとつずつ減らしていきたいと思っています。そのための手段のひとつが、全国での拠点展開です。

代表の高橋さんと運営メンバー2人が、机を前に並んで座っている。それぞれノートPCを開いており、お互いの画面をのぞき込みながら話し合っている。

新規開設だけでなく、地方の事業継承も視野に

全国に事業を広げる方法も、新しい事業所をいちからつくることだけではないと思っています。

同行援護の業界には、地域で長く利用者さんの生活を支えてきた事業所がたくさんあります。

一方で、経営者の高齢化や後継者不足、人材不足などで、今後の運営に悩んでいる事業所もあります。長く地域で続いてきた事業所がなくなれば、当然、困る利用者さんがいます。働いてきたヘルパーさんもいます。

そうであれば、全部なくしてしまうのではなく、私たちが引き継ぐという選択肢があってもいいと考えています。

これからは、新しい地域への新規開設だけではなく、事業承継という形で地域の同行援護を引き継ぐことにも取り組んでいきたいと思っています。

変化を待たずに変化をつくる

私が本当にやりたいことは、全国展開のもう少し先にあります。

同行援護という制度自体を、もっと使いやすいものにしていきたいのです。

先ほど書いた車の問題もそのひとつです。今の制度が開始された2011年と現在、そしてこれから。社会は少しずつ変わっていくと思っています。

例えば、同行援護の制度自体が変わって、地方での車移動をもっと柔軟に組み込めるようになるかもしれません。あるいは自動運転が発達して、視覚障害者の移動そのものが大きく変わるかもしれません。AIの話題を取り上げるまでもなく、10年前には想像できなかったことが、今では普通にできるようになっています。

今の制度だけを前提にして、「地方では難しいからやらない」と決めてしまうのは、少し違う気がしています。

今、経済合理性がなくても、5年後、10年後には環境が大きく変わっているかもしれません。

予測できないような時代が来たときに、すでに全国の現場にいて、地域ごとの課題を知っていて、利用者さんやヘルパーさんと一緒にサービスをつくっている会社でありたいです。

そして、その変化を待つだけではなく、自分たちも変化をつくる側に回れると最高だなと思っています。

並木道を歩く視覚障害者とガイドヘルパー。

「同行援護の拠点があって助かった」といわれる社会に

とはいえ、今の私たちが全国展開がスムーズにできるような完成された会社かというと、全然そんなことはありません(笑)。社内でも毎日のように、「これどうする?」「このやり方でいいのかな?」「ここ、なんとかできない?」と、話をしています。

新しい地域に出れば、当然知らなかったことも出てきます。失敗することもあると思います。むしろ全国に広がれば、今までと違った問題がきっとたくさん見つかるはずです。でも、全部答えが分かってから全国に行こうとしていたら、おそらくいつまで経っても行けません。

香川の田んぼが広がる地域でも、東京のど真ん中でも、住んでいる場所にかかわらず、「行きたい」と思ったときに、行きたい場所に行ける。そんな当たり前を全国に増やしていきたいと考えています。

経済合理性だけを考えれば、遠回りなのかもしれません。でも、いつか制度やテクノロジーが変わって、時代が変化したときに、「全国に同行援護の拠点があって、助かった」と思ってもらえる会社でありたいと思います。

そんなことを考えながら、これから1歩ずつ、全国での拠点を増やしていきます。

記事内写真撮影:Spotlite
編集協力:株式会社ペリュトン


Spotliteを運営している株式会社mitsukiは、2026年6月に栃木県と福岡県にも事業所を開設しました。県内の方はもちろん、他の地域からの栃木・福岡の観光の際にも、ご相談ください。

Spotliteの運営会社、株式会社mitsukiが運営する福岡県の同行援護事業所の公式サイト
VISTA FUKUOKA(株式会社mitsuki)(外部リンク)

「同行援護事業所みつき栃木」開設のお知らせは、以下のリンクから。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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※ 当事務所は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、および香川県、福岡県に対応しています。

この記事を書いたライター

高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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