視覚障害者に食事を提供するとき、工夫することで食事をより楽しむことができます。
この記事では、視覚障害者が食事するときの工夫の仕方や気を付けるポイントを解説します。あわせて、視覚障害者が料理や外食時に困ることも説明していますので、視覚障害者と関わるときの参考にしてください。
視覚障害者のことを知ろう
視覚障害者とひと口に言っても、見え方や困りごとは人それぞれです。
具体的には、「視力に障害がある」「見える範囲に障害がある」「光の感じ方や光の強さの判断に障害がある」などです。
それぞれの障害にも程度の違いがあります。また、いくつかの見えにくさが重なっていることもあります。
視覚障害の状態や見え方によって、食事の際の工夫は異なります。
視覚障害者については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
参考:視覚障害者とは?法律の定義、人数、見え方、困ることを紹介 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者が食事を楽しむための工夫
視覚障害者に食事を楽しんでもらうための工夫を3つ紹介します。
- 相手の要望を聞く
- クロックポジションで料理の配置を伝える
- 料理が見えやすいように工夫をする
相手の要望を聞く
視覚障害者に食事を楽しんでもらうためには、支援や介助の前にまずコミュニケーションを取ることが大切です。
アレルギーや苦手な食材はないか、調味料の量は適切か、など相手の要望を聞くようにします。食べ物が食器の隅に偏ってしまったり、食事がどのくらい残っているのかなど、声をかけるもの良いでしょう。
外食ではメニューが読めないことが多く、食べたことのあるものを選んでしまいがちな人もいます。
メニューのジャンルを伝えたり、メニューを声を出して読んだり、期間限定メニューの内容を伝えたりするなど、楽しみながら一緒に選べると、より楽しい食事の時間にできるかもしれません。
クロックポジションで料理の配置を伝える
クロックポジションで伝えることで、視覚障害者は料理の配置を知ることができます。
クロックポジションとは、物の場所を時計の短針に例えて説明する方法です。視覚障害者から見て、90度ごとに、右手が3時、手前が6時、左手が9時、奥が12時となります。
伝える際は「5時の位置にお味噌汁」「7時の位置に白米」などと伝えます。説明の際、食器や食器同士の間隔を手で触れてもらうと、分かりやすいです。その際は、器の温度などに注意しましょう。
参考:クロックポジションとは?視覚障害者へ位置や方向を伝える方法 | Spotlite(内部リンク)
料理が見えやすいように工夫をする
料理の盛り付けなどを工夫することで、視覚障害者は食事しやすくなることもあります。
例えば、弱視の方にとって、白いご飯を黒いお茶碗によそうと、残っているご飯の量がわかりやすくなります。また、食べられない装飾やお寿司や弁当に付いているバランなどは誤飲に繋がる危険があるので、避けるとよいでしょう。
視覚障害者の食事で気を付けること
視覚障害者の食事で気を付けることは、次の2つです。
- 熱いものは事前に伝える
- 食べにくいものは事前に対処する
熱いものは事前に伝える
熱い料理や熱い飲み物などは、火傷しないよう視覚障害者が触れる前に伝えます。汁物などは器の7分目あたりに盛り、こぼれないようにします。
触れても火傷をしない場所や温度になってから、そっと手を触れてもらうことで、料理や飲み物の位置が把握できます。
食べにくいものは事前に対処する
視覚障害者にとって、食べにくい料理があります。そのような場合は、食べやすいよう事前に対処することが大切です。
視覚障害者が食べにくい物には、ケーキ、ざるそば、骨つきの魚や切っていない肉などがあります。
ケーキはあらかじめフィルムなどは取り、上にのっているものがあれば伝えます。ざるそばは、つゆとそばの距離感が掴みづらい場合があります。食器に触れてもらい、場所を伝えるようにしましょう。もし、視覚障害者から要望があれば、骨つきの魚は事前に骨を取り除き、ステーキなど切る必要がある物は、一口大に切っておくと食べやすくなります。
ただ周囲の人が一方的にサポートすることは望ましくありません。食べ始める前に、目の前がどういう状況なのかを説明し、本人のできることを聞きながら、どうすれば食べやすいかを確認するようにしましょう。
視覚障害者が料理や外食で困ること
視覚障害者が料理や外食で困ることには、以下のものがあります。
- 火を使うのが怖い
- 買い物時に商品の種類や料金がわかりにくい
- 外食ではメニューが読めない
火を使うのが怖い
火加減の調整が難しい、どのボタンがコンロのボタンか分からない、鍋を正確に五徳に置けないなどの理由から、火を使うのが怖いと感じる視覚障害者も多いです。
火を使うのが不安な場合は、電子レンジを使うレシピにしてみたり、音声付きのIHクッキングヒーターを使ったりするのもおすすめです。
ただ、ガスコンロで料理をできる視覚障害者もいます。個人個人がコミュニケーションを取りながら、お互いに必要な手伝いを心がけたいですね。
買い物時には商品の種類や料金がわかりにくい
食材などを購入する際、種類や使い方、品質、金額などがわからず、困ることがあります。
そのため、スーパーやコンビニでの買い物は、ネット注文を利用している人もいます。最近では、サービスカウンターやコンシェルジュを設置する店も増えています。
参考:同行援護を利用して買い物へ。ガイドヘルパーが注意することとは? | Spotlite(内部リンク)
外食ではメニューが読めない
外食をするとき、メニューが読めないことが多々あります。点字表記のメニューを用意している飲食店もありますが、多くはありません。また、点字を読める視覚障害者はごく一部です。どのようなメニューがあり、何が入っていて値段はいくらなのか、わからないと注文するのは難しいです。
外食先が決まっている場合は「きけるおしながき Umenu」などで調べるのがおすすめです。事前に登録されたメニューの拡大表記や読み上げ機能があるので、視覚障害者でもメニューを知ることができます。
参考:ユーメニューjp(外部リンク)
タッチパネルやタブレットで注文ができる外食チェーンも増えていますが、音声読み上げに対応しているかどうかは、店舗や企業によります。
参考:タッチパネルが視覚障害者の新たな障壁に。「暗証番号が入力できず、買い物を諦めることも」 | Spotlite(内部リンク)
視覚障害者の食事についてのまとめ
説明の方法や盛り付け方を工夫をすることで、視覚障害者と一緒に楽しく食事をすることができます。一方で、熱い料理や飲み物を出す際などに、周囲の人が気を付けるべきこともあります。
視覚障害者と一緒に食事をする場合や、食事を提供する場合は、この記事で紹介したポイントを参考にしてもらえたら嬉しいです。
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