「在宅勤務は困りごともあるけれど…」企業の人事部で働く若手視覚障害者鼎談 〜後編〜

会議室でパソコンを見ながら3人が議論しているイラスト

前回に引き続き、企業の人事担当者として障害者採用に携わり、自身も視覚障害のある手嶋さん・村竹さん・森さんの3名に話を伺いました。

「当事者コミュニティは、今障害がある人のためだけではない」 企業の人事部で働く若手視覚障害者鼎談 〜前編〜

プロフィール

手嶋さん
2020年8月より化学メーカーにてダイバーシティ推進担当。レーベル遺伝性視神経症により現在は物の動きが判別できる程度。

村竹さん
通信関連会社で人事・採用担当。レーベル遺伝性視神経症により明暗のみ判別可能。

森さん
福祉関連企業で人事・採用担当。網膜色素変性症により視野欠損あり。

在宅勤務の困りごとと可能性

手嶋 私からもお二人に質問したいことがあります。新型コロナウイルス感染症が流行してから何か困ったことはありましたか?あとは、コロナ関係なく仕事上の困りごとがあったら聞いてみたいです。


村竹 うちの会社は在宅勤務のときに仮想デスクトップ方式で仕事をするんですが、そもそも仮想に入るところから音声読み上げソフトが読み上げられなくなるし、社内システムも読み上げてくれないんです。なので、自分は週5で出社してます(笑)


 ええ!それはたいへんですね! ぼくはコロナ関係なくなんですけど、最近採用システムが変わったんですよ。入社からようやく操作方法を覚えて、こつこつショートカットキー
も覚えて使い慣れていたんですけど、それが一新されてしまって。ぼく以外の晴眼者もまだシステムに慣れないので使いにくそうですけど、ぼくはそれプラス、ショートカットキーを自分で見つけて頑張らないといけないっていう悲しみがありますね。


手嶋 やっぱりシステムの問題があるんですね〜。


 手嶋さんご自身は困りごとありますか?


手嶋 新型コロナウイルス感染防止のためにほとんど在宅をしているので、いまだに部署のメンバー全員に会ったことがないんですよね。本当にコミュニケーションがないなーって思うときがありますね。あと、やっぱりお二人も言っていたようにシステム周りの困りごともあります。会社の規模が大きいので、パソコン関係の問い合わせもシステムで統一されているのですが、それも音声が乗らないのでメールで代理申請をやってるんです。


 ああ、わかるなあ。社内コミュニケーションはチャットですか?


手嶋 TeamsかSkypeを使ってますね。


 在宅勤務だとチャットのやりとりが増えたと思うんですけど、チャットが多くて追いきれないことってないですか? ぼくはすごくあるんですけど。


手嶋 うちの会社はまだあまりチャットを使ってなくて(笑)短文でメールがぼんぼん来るんですよね。


村竹 うちも手嶋さんと同じ感じですね。


 へえ〜〜〜〜!


手嶋 見逃すことはないんですけど、メールが溜まってめんどくさいっていうのはありますね(笑)


 ぼくの会社はGoogleチャットを導入しているんですよ。個人宛とグループチャットがあって、個人宛だったら見逃すことがないんですけど、グループだと「@全員」みたいな感じで発信されると、細かい情報から、重要な情報まで同じチャットに流れると読み落としがあって。読み落としてタスク漏れしていたってこともあって焦ります。


手嶋 それは焦るなあ。


村竹 私はずっと出社しているのですが、コロナになって複数人の認識すり合わせやニュアンスを含めた情報共有がたいへんになったなと感じます。今までだったら、対象者を呼んでオフィスの打ち合わせスペースで数分で意識合わせができたんですが、今は一人ずつに電話で確認してやってます。


 村竹さんの言っていることすごくわかります。ちょっと横にいさえすれば、この話がまとまるのにってありますよね。あと、ぼくは在宅勤務で仕事自体は問題なくできるものの社員と全く話さないので、仕事の楽しみが減った感じがして。そんなことはないですか?


手嶋 そうですねえ〜。森さんの言う通り、一緒に働く楽しみっていうのはなくなってしまったんですけど、いいこともあるなと感じてます。在宅勤務以前は、自分が障害上できないこともたくさんあったんですよね。たとえば紙の資料が読めないから、誰かに読んでもらおうとしても、その人のスケジュールを確認しながらサポートしてもらったり。他の社員の方のスケジュールにすごく気を遣いながら仕事をしていましたが、今はペーパーレスになって読み上げられる文書がほとんどなので楽だなあと思います。


 代読をお願いするのもタイミングとか気を遣いますよね。


手嶋 そうですね。やっぱりプライベートとは違ってビジネスなので、相手にも時間があって、自分の仕事を持っている中でサポートをお願いしていたので、申し訳なさがありましたね。
 あとは今仕事に関連するセミナーがオンラインで開催されているんですね。昔は会社で紙で案内がきて紙で申し込む形式でしたし、さらに私は全盲に近いので一人でセミナー会場に行くのも大変でしたが、今はオンラインで自分で受けて、部署の人にセミナーで学んだことをフィードバックできるので、いい環境だなと思います。


 いい話だ〜。みなさん働く中でさまざま困りごともありながら、工夫したり、使いこなしたりしながらやっていることがわかって勉強になりました。今日はありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

加藤夏海

1992年東京都生まれ。障害者手帳をもつ方専門の人材紹介会社にて、企業に向けて障害者雇用に関する情報提供などを行う。同行援護従業者養成研修一般過程・応用過程修了。