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編集部から

視覚障がい者向けサービスを展開する6社がコミュニティを発足  視覚障がいを技術ミックスで解決していくことを目的とした コミュニティ「Blind Entertainment Technology(略称BET)」

BETに協賛する6社のロゴをまとめた画像

 

「Blind Entertainment Technology(略称BET)」は、日本最初の盲聾(もうろう)学校が京都に創立されたと同じ5月、参加6社の技術ミックスにより、より日常に近い範囲にある視覚障がい者の社会課題解決に取り組むためのコミュニティとして発足しました。「共に『生きる』を楽しむ!」をテーマに、視覚障がい者の「ちょっと行ってくる」と言ったカジュアルな日常を当たり前とする多様性やノーマライゼーション社会を目指します。
5月24日は、日本最初の盲聾(もうろう)学校が設立された日です。

(参加企業6社:50音順)
株式会社Ashirase
エヴィクサー株式会社
錦城護謨株式会社
株式会社mitsuki
株式会社リプルエフェクト
株式会社レベルエンター

 プロジェクト第1弾として、盲学校の生徒たちに初めての映画館をサポートするソリューションを提供します。複数の企業の協力で屋外から屋内の様々なシーンをカバーし、楽しみを提供するソリューションを提案します。


【解決する課題】
 視覚障がいのある人は、ちょっとしたお出かけにもガイドヘルパーや家族など人のサポートが必要です。自分が楽しむための外出となると、他人に支援をお願いするより我慢を選んでしまいます。
 多くの人が、コロナ禍で「不要不急の外出」が抑制されたとき、いかに外出が必要だったかを実感しました。外出することは人生を豊かにし心や体の健康を維持します。我々は、アフターコロナの世界を本当に公平な世界にするために、誰もが自由に不要不急な楽しみのための外出をできるようにしたいと考えました。
 「ちょっと行ってくるわ。」というような気軽な外出を、誰でもできるような社会を実現したいと考えています。


【課題の背景】
 英国の医学誌であるThe LANCET Global Health(ランセット・グローバル・ヘルス)2017年9月1日によると、世界中の目の見えない人の数は、2050年までに現在の3,600万人から1億1,500万人(およそ3倍)へ増加すると予測しています。背景には高齢化があるとされています。


【提供するソリューション】
 屋外、屋内、楽しみ方のそれぞれを複数の協賛企業が協力して提供していきます。


■屋外の歩行支援の提供
 Ashiraseが開発する「あしらせ」は、目的地設定などを行うスマートフォンアプリと、靴の中に取り付ける立体型のモーションセンサー付き振動デバイスで構成された、視覚障がい者向け単独歩行支援ナビゲーションシステムです。
 「あしらせ」では、GNSS測位情報と、ユーザーの足元の動作データから、視覚障がい者向けの誘導情報を生成。アプリで目的地を設定すると、白杖を持つ手や周囲の音を聞く耳を邪魔しないよう、靴の中に取り付けたデバイスが振動する形でナビゲーションを実施。直進時は足の前方の振動子が振動、右左折地点が近づくと右側あるいは左側の振動子が振動して通知します。進行方向を直感的に理解できるため、ルートを常に気にする必要がなくなり、より安全に、気持ちに余裕を持って歩行できるようになります。


■屋内の歩行支援の提供
 錦城護謨が製造・販売する「歩導くん ガイドウェイ」は、盲学校や障がい者協会などのご協力のもと、障がい者の方々の意見も取り入れながら、誰にでも安心してご利用いただける屋内専用の「視覚障がい者歩行誘導ソフトマット」として開発されました。視覚障がい者は元より、他の身体障がい者(車椅子を含む)の方、高齢者の方、又、健常者の方にも、環境にやさしい素材で誰もが共存できる安心安全なバリアフリーの誘導路としてご利用いただけます。


■楽しみ方の提供
 エヴィクサーが提供する「HELLO! MOVIE(ハロームービー)」は、スマホやスマートグラスで映画の字幕と音声ガイドを楽しめる、映画鑑賞補助の無料アプリです。現在、日本映画製作者連盟を始め、映画会社各社の真摯な取り組みによって対応作品数は年々増加しており、視覚・聴覚に障がいがある方も公開初日から全国の映画館で一緒に映画を楽しめます。


【プロジェクトの今後】
 本プロジェクトでは、屋外、屋内の歩行の安全を支援するソリューションを軸として、社会福祉では手が届きにくいエンターテイメントやアミューズメントなどの楽しみのための外出を支援していきます。

【協賛企業紹介:50音順】

■株式会社Ashirase(代表取締役:千野 歩)
シューズイン型IoTデバイス「あしらせ」を開発するテクノロジーベンチャー「人の豊かさを“歩く”で創る」をミッションに掲げ、歩行を通じて、人生を豊かにする機会に出会い、人の可能性を広げられる社会を実現する企業。
https://www.ashirase.com/


■エヴィクサー株式会社(代表取締役社長CEO:瀧川 淳)
2004年設立。独自アルゴリズムを強みに自動コンテンツ認識技術「Evixar ACR」、音響通信技術「Another Track(R)」を開発。テレビ、ラジオ、映画、舞台、スポーツ、ライブエンターテイメント、防災などの分野へ応用。映画界のスタンダードとして「スマホアプリHELLO! MOVIEを使ったバリアフリー上映」「字幕メガネ」を定着させる。2021年12月、東京証券取引所「TOKYO PRO Market」(証券コード:4257)へ株式上場。
https://www.evixar.com/


■錦城護謨株式会社(代表取締役社長:太田 泰造)
昭和11年創業で、工業品関係・土木関係・福祉関係など多方面のゴム製品を年間5,000種類以上、製造・企画・販売する。
視覚障がい者歩行誘導ソフトマット「歩導くん ガイドウェイ」の企画、製造、販売を通した空間デザインを手掛ける。
http://www.kinjogomu.jp/


■株式会社mitsuki(代表取締役:高橋 昌希)
ガイドヘルパーを派遣する同行援護事業、研修、WEBメディアSpotlite運営、パラアスリート支援を手がける企業。
https://mitsukicom.jp/


■株式会社リプルエフェクト(代表取締役:山田 敬宏)
デザイン、製品開発、ブランディング、UXデザイン、ビジネスデザインなど、デザイン思考、新事業創出、社会課題解決など、新しいものを顧客と共に生み出していくためのデザインコンサルティングファーム。
https://ripple-effect.co.jp/


■株式会社レベルエンター(代表取締役:山本 大)
VR/AR、Webのプログラミング教育やソフトウェア受託開発に取り組むソフトウェア開発会社。社名は「楽しむこと(Entertainment)と初心者でも入門(Enter)しやすいこと」の2つのエンターの意味を持つ。
https://levelenter.com/


引用)
ランセット・グローバル・ヘルス
https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X%2817%2930293-0/fulltext?elsca1=tlpr

日本眼科医会 – 壮年以降の「視覚」喪失超高齢化社会の緑内障(2020/01/29)https://www.gankaikai.or.jp/press/20200129_1.pdf

この記事を書いたライター

高橋昌希

1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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1991年香川県生まれ。広島大学教育学部卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院修了。視覚障害者のための福祉施設での勤務を経て、ガイドヘルパーの仕事を行う。教員免許(小学校・特別支援学校)を保有。歩行訓練士。Spotlite発起人。

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