視覚障害者が外出時に利用できる同行援護。サービスを利用すると、移動や介助、代読・代筆など視覚情報を補うサポートを受けることができます。しかし、その利用料金について、知らない方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、事業所の所在地や収入、利用する時間帯の違いなどによって、利用料金は異なります。ただし、世帯所得に応じて月々の負担金額の上限が決まっているため、ある程度の予測は可能です。
この記事では、同行援護の利用料金や利用方法について解説します。ぜひ同行援護の利用を検討する際の参考にしてください。
同行援護の利用料金
同行援護の基本料金は、利用時間と障害支援区分、収入によって算定されます。自治体や世帯所得によって異なりますが、目安としては、利用者の負担額は、1時間あたり200〜500円程度です。
あくまでも目安なので、詳細はお住まいの自治体やサービス提供者にお問い合わせください。
利用者は通常、利用料金の1割を負担することになります。また、受給者証に記載されている障害者支援区分によって、負担額が変わるため、注意が必要です。支援区分3の認定者は、支援区分0~2の認定者の約20%、支援区分4〜6の認定者は、支援区分1~2の認定者の約40%、負担額が増加します。
料金は、1回あたりの利用時間が少ないほど、割増になります。例えば、1カ月の合計利用時間が20時間で同じ場合でも、1回1時間で20回利用した場合と、1回5時間で4回利用した場合では、前者のほうが高くなります。
また、金額は全国一律ではなく、事業所の所在地によって地域区分が設定されています。利用者の住所ではなく、事業所の所在地であることには注意が必要です。
地域区分は、1級地から7級地までとその他に分かれていて、最大で約10%割増した金額になります。例えば東京都の23区は1級地であり、11.2%増の料金となります。
さらに、視覚と聴覚の両方に障害がある「盲ろう者」に対して、「盲ろう者向け通訳・介助員」が同行援護を行うと基本料金に25%が加算されます。
参考PDF:障害福祉サービス費等の報酬算定構造 | 厚生労働省(外部リンク)
同行援護を含む障害福祉サービスの利用料金には、上限負担月額が定められています。上限負担月額とは、厚労省の定めた、1カ月における障害福祉サービスの利用料金の上限額です。上限負担額を超えた料金は、利用者の負担にはなりません。
それでは、具体的な上限額はどのようになっているのでしょうか。続けて見ていきましょう。
同行援護の上限額
同行援護を含む障害福祉サービスの自己負担の上限額は、世帯の収入状況によって、異なります。18歳以上の障害者の場合、以下の表の通りです。
区分 | 負担上限月額 |
---|---|
生活保護 | 0円 |
市区町村民税非課税世帯 | 0円 |
市区町村民税所得割16万円未満 | 9,300円 |
上記以外の障害者 | 37,200円 |
低所得の人は自己負担の上限額が低くなり、高所得の人は自己負担の上限額が高くなります。収入の状況によって、サービスが利用できない事態を防ぐように設計されている福祉制度です。ただし、一ヶ月の支給時間を超えて利用した場合、その超過分については全額自己負担になってしまう場合があります。たくさん利用する場合は、こまめに自分の利用時間数を確認することが大切です。
同行援護を利用する時の負担額が増加するケース
同行援護を利用する時に、負担額が増加するケースがあります。具体的には、以下の3点です。
- 初回加算
初回利用時には、施設が支援を開始するためのアセスメントや手続きが必要になります。その評価をするために、費用が加算されます。施設によって加算額は異なりますが、200円前後の加算となるケースがほとんどです。 - 早朝夜間深夜料金
同行援護には、早朝、夜間、深夜の割増料金があります。午前6時から午前8時までの早朝、午後6時から午後10時までの夜間は25%、午後10時から翌朝6時までは50%の割増料金が発生します。 - 交通費や飲食費
同行援護中、同行援護従業者の交通費は、基本的に視覚障害者が負担します。飲食代などは、事業所によってルールが異なるため、契約時に確認しましょう。
最後に
同行援護の料金は、自治体や障害者支援区分によって変わりますが、1カ月での負担額には上限が設けられています。同行援護は、視覚障害者が安心、安全に外出するための福祉制度です。制度を使ってみたい方は、ぜひお住まいの自治体に相談してみてください。
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