1人で新しいことにチャレンジするのに、不安はありませんか?
視覚障害者が外出するときに必要な支援を行う福祉サービス「同行援護」は、生活の補助だけでなく、知らない場所の散策にも利用できます。
参考:同行援護とは?支援内容や対象者・移動支援との違いを解説 | Spotlite(内部リンク)
Spotliteは、視覚障害者の外出サポートとして同行援護事業に取り組んでいます。今回は、同行援護を利用した手漕ぎボート体験の模様をレポートします。
今回の同行援護の概要
同行援護を利用し、新しいことに挑戦している視覚障害者の北原新之助さん。この日は手漕ぎボート体験に挑戦しました。
北原さんに同行するのは、ガイドヘルパーの谷越陽さんです。
スワンボート以外のボートに初めて乗る北原さんと谷越さんでしたが、新しい体験を楽しみました。
お二人の略歴
北原 新之助(きたはら・しんのすけ)さん
網膜色素変性症で視力は両目とも0.05。視野は2〜3度で、夜盲がある。白杖ユーザー。普段の生活は1人で送っており、同行援護の利用はこの日が初めて。
谷越 陽(たにこし・みなみ)さん
ガイドヘルパー(取材当時)。学生のうちにSpotliteの事業所で資格を取得し、ガイドヘルパーを始める。普段のガイドでは、同行援護利用者が日常生活でよく行く場所への付き添いをすることが多い。
※現在は学校を卒業後就職し、ガイドヘルパーは休業しています。
現在地と目指す方向の確認
ボート乗り場に向かった2人は、揺れるボートにゆっくりと座りました。係の方から、簡単に転覆するため絶対に立たないよう念を押され、慎重に動きます。
編集部スタッフ 「身体全体を使ってオールを動かして。腰を前に出すと力が入りやすいですよ」
視覚障害者のサポート経験がありカヌー部に所属していた編集部スタッフからのアドバイスもあり、ボートを漕ぐ北原さんの動きがだんだんスムーズになってきました。
北原 「向かう先を決めたいんですが、今どこにいますか?」
谷越 「船着き場を出発してからそのまま後ろに向かってきています。周りには草がたくさん生えた岸があって、その向こうには道路とビルがありますよ」
とくに向かいたい先が見つからなかったため、反時計回りにボートを回転させて向こう岸を目指すことにしました。
曲がったボートを協力してまっすぐに戻す
YouTubeの動画を観て漕ぎ方を予習したと言う北原さん。コツをつかむと、向きたい方向を簡単に向けるようになってきました。
北原 「まっすぐ漕ぐのって難しいですね。……あっ、すみません。今ボート曲がってますよね?」
谷越 「今ちょっと右に曲がってますね。なので左側のオールを漕ぐといいかもしれません。どうしてボートが曲がっているってわかるんですか?」
北原 「感覚的に、ですかね。私は視力が両目とも0.05で、“人がそこにいるのは何となくわかるけど、それが誰だか特定できない”くらいの視界です。
それで視界の様子が変わったのはわかるので、ボートが曲がってるんじゃないかなって思いました。」
北原さんが曲がったと感じたら口に出し、谷越さんがどちらにどれくらい曲がっているかを伝える。この繰り返しで、船着き場に戻ってくることができました。
初めての経験、楽しかったです!
ボートから降りた北原さんは、腕の疲労感をあらわにしました。
北原 「想像していたより疲れましたね。手のひら全体が痛いし、腕はパンパンです。係の方に漕ぎ方を聞いたら、腕だけじゃなくて背筋を使って漕ぐって言ってました。最初から聞いておけばよかったですね(笑)
初めての経験、楽しかったです!」
北原さんはボートから降りる際、乗っていたボートのオールを「自分のオール」と、つい言うほど、熱中していた様子でした。
視覚障害者にとって1人で体験するハードルが高いことも、同行援護を利用すれば安心して取り組めます。
特に手漕ぎボートのような身体を動かすアクティビティでは、周囲の状況を知り、身体の動かし方を知るのに役立ちます。
2人が東京国立博物館を楽しんだ様子も記事になっています。同行援護の利用例を複数知りたい方におすすめです。
参考:ガイドヘルパーの目を通して見る博物館。同行援護に密着|Spotlite(内部リンク)
Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。
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(記事内写真撮影:Spotlite)