背景を選択

文字サイズ

視覚障害

アルビノと視覚障害の関係とは?視力や症状について説明

光が差し込んで光っている楓の枝。葉の色は黄金色。

「アルビノ(眼皮膚白皮症)」とは、生まれつき体の色素が不足している病気です。先天性白皮症、先天性色素欠乏症、白子症などと呼ばれることもあります。また、国の難病にも指定されています。

症状や程度は人によって異なりますが、視力障害や眼振(目の揺れ)を伴う人が多いです。

この記事では、アルビノという病気や視覚障害との関係性などを解説します。アルビノの人が日常生活で困ることもあわせて紹介します。

「アルビノ(眼皮膚白皮症)」という病気について

耳や鼻がピンク色の白猫の横顔。
(写真素材:Unsplash)

アルビノ(眼皮膚白皮症)は、生まれつき皮膚や髪、目(虹彩)の色が薄く、全身の色が白っぽい遺伝病です。虹彩の色は、青や緑、灰色などが多いです。人により、全く色素がない場合やわずかに色素が残っている場合もあります。

アルビノの症状は、メラニン色素を作る遺伝子が働いていないことが原因で発生します。夫婦が同じタイプの患者である場合、ほぼ100%子どもに遺伝します。片親のみがアルビノの場合、子供に遺伝する確率は100〜200回の妊娠に1回程度だと言われています。

またアルビノの人は紫外線から体を守るメラニン色素が薄いため、日焼けへの抵抗力が低いという特徴もあります。

日本には約5,000人のアルビノがいると推定され、これは2万人に1人の割合です。また欧州や北米では1.7万人に1人、タンザニアでは1,400人に1人と、国によって発症率は異なります。

参考:眼皮膚白皮症(指定難病164)|難病情報センター(外部リンク)
参考:アルビニズムとは(6月13日は国際アルビニズム啓発デー)|日本財団(外部リンク)

アルビノの人は視覚障害になりやすい

白人と思われる人の左目のクローズアップ。目が青く、まつげが明るいブロンド。
(写真素材:Unsplash)

アルビノの人は、視覚障害になりやすいと言われています。

虹彩や網膜などの色素が欠如すると、光を感じ取りにくくなります。また、視力に必要な部分が働かず、弱視の人もいます。

成長しても平均視力は0.1〜0.2ほどで、眼振や斜視をともなう場合が多いです。眼振とは、けいれんのように眼球が動いたり揺れたりする状態です。斜視は、ものを見る際に片目が目標物とは違う方向を向く状態です。

視覚障害を持つアルビノの人が日常生活で困っていること

噴水の池のにさざ波が立ってキラキラしている。

視覚障害を持つアルビノの人は、日常生活の中で以下のような場面で困ると感じます。

  • 光を健常者よりもまぶしく感じる
  • 視力が低く、遠くが見えづらい
  • 眼球振とうにより、文字の読み書きがしづらい

原因や症状と合わせて説明します。

光を健常者よりもまぶしく感じる

アルビノの人は、光を健常者よりもまぶしく感じます。

日本人の眼の色は黒や茶色が多いですが、アルビノの人は青や緑、灰色に近い色です。眼の色が黒や茶色の場合、眼の内部は暗い部屋と同じような状態で、そこにプロジェクターのように映像が映し出されます。しかしアルビノの場合は、眼に入る光の量を調整できません。これは明るい部屋でプロジェクターの映像を見ている状態に近く、まぶしく感じます。照明や、太陽の光が反射するホワイトボードでは、背景がまぶしすぎるという人もいます。

まぶしさを軽減するための道具に、遮光眼鏡というものがあります。人によっては遮光眼鏡を外すと、まぶしさでほとんど目を開けられず、視野も狭くなってしまう人もいます。

視力が弱く、遠くが見えづらい

アルビノには、視力が弱く、遠くが見えづらいという症状がある人が多くいます。

眼の内部の網膜には、黄斑(おうはん)という中心視力にとって重要な部分があります。しかしアルビノの人は、黄斑の形成が不十分であるため、視力が低下して弱視になるのです。

アルビノの視力低下は、眼球の構造上の問題が原因のため、眼鏡やコンタクトレンズを使った矯正はできません。

視力が弱いので、近くのものは眼から数センチの位置でみたり、遠くのものは単眼鏡などを使用して見る人もいます。また、極端に視力が弱いと、歩行時などに障害がでることもあります。

眼球振とうにより、文字の読み書きがしづらい

「眼球振とう」とは、眼球が動いたり揺れたりする状態です。規則的に動いたり、振り子のように左右に動くことがあります。アルビノの場合は横揺れの人が多いです。

眼球振とうがあると、文字を読み取るのに時間がかかってしまうことがあります。また縦書きはアルビノの人にとって読みにくく、同じ行を読んでしまったり、前の行に戻ってしまうこともあるようです。

芝生の上を歩く視覚障害者とガイドヘルパーの足元。

最後に

「アルビノ」とは、生まれつき体内の色素が不足している病気です。個人差がありますが、皮膚や髪は白っぽく、また眼球は青や緑、灰色に近い色になります。アルビノの人は低視力や眼振(眼球振とう)などの視力障害を持ち合わせていることが多いです。

健常者よりも眩しく感じたり、視力が弱いなどの症状を持つアルビノの人は、日常生活で困難を感じる場面もあります。アルビノの人がより暮らしやすい社会を実現するには、自分自身や周囲の人が、症状について理解することが大切です。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

LINEアカウントはこちら(外部リンク)

SpotliteのLINEアカウントにアクセスするQRコード

監修:椎野めぐみ先生

略歴:
眼科医。神奈川県生まれ。浜松医科大学医学部卒業後、横浜市立大学付属病院、みなと赤十字病院などを経て、横浜市立大学講師を務める。2018年上智大学グリーフケア研究所臨床傾聴士を取得。趣味は、美味しいものを食べること、感動する本を読むこと。

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

他のおすすめ記事

この記事を書いたライター

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

他のおすすめ記事