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視覚障害

夜盲症とは?症状や原因、対策方法を紹介

白状をもって、薄暗い中を一人で歩く女性の後ろ姿の写真。

暗い場所で周囲にある物が見えにくくなる夜盲症(やもうしょう)。具体的にはどのような症状があるのでしょうか。

この記事では、夜盲症の症状や見え方、困りごとについて当事者の声を紹介しながら解説します。

夜盲症とは?

夜盲症は、暗い場所において視覚で物が見づらくなる症状です。ここでは、その症状と見え方について解説します。

夜盲症の症状

一般的に、明るい場所から暗い場所に移動すると、最初は周りのものが見えませんが、時間が経つと徐々に目が慣れて、ぼんやりとその場所にあるものを見ることができるようになります。この暗さに目が徐々に慣れていくことを「暗順応」と呼びます。夜盲症のある人は、暗いところで働くこの機能が弱く、時間が経っても目の前が暗いままです。

暗順応には、目の細胞による働きが関わっています。網膜には、次の2種類の細胞があります。明るい場所で色を認識できても暗い場所でその機能が低下する「錐体(すいたい)細胞」と暗い場所でわずかな光を感知する「杆体(かんたい)細胞」です。夜盲症の人は、後者の「杆体(かんたい)細胞」の働きが弱いことで、暗いところでの視覚による感知が難しくなっています。

また、明るい場所でのまぶしさの調節がしにくいことも夜盲症の方に表れやすい症状の一つです。

夜盲症の見え方

夜盲症の方は明るい場所と暗い場所の両方で、見え方に困難があります。その具体例について、ここでは紹介します。

夜の室内。スタンド型のライトがともっている。
(写真素材:Unsplash)

夜盲症の暗い場所での見え方

暗い場所での見え方は、その原因となる症状によって主に2種類に分かれます。1つ目が暗順応の遅延です。一般的には、暗闇で目が慣れる時間は10分〜30分ほどですが、暗順応の遅延がある人は、目が慣れるまでに2〜3時間ほどかかります。

2つ目が、夜間視力の低下です。加齢や白内障、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症などの疾患が原因で起こります。視力の低下が起こると明るい場所でも見ることが困難になり、暗い場所では、さらに見えにくさが増します。

私は、網膜色素変性症で夜盲症があります。
暗い場所は全く見えないです。ほぼ全盲と一緒だと思ってもらっていいと思います。晴眼者は暗闇でも明かりがあれば、照らされたところは見えると思います。でも私は、明かりそのものしか見えず、照らされたところは見えません。そのため、暗闇では白杖を頼りに移動しています。また、暗闇に目が慣れることはほとんどありません。

夜盲症の明るい場所での見え方

夜盲症の方は、まぶしさの調節が難しく、明るい場所や暗い場所での光を強く感じる傾向にあります。

網膜色素変性症は、まぶしさを強く感じやすいです。そのため、日中はサングラスをつけている人もいます。
私が一番過ごしやすいのは、曇りの日ですね。晴れの日ほどまぶしくないし、雨の日よりも音が聞き取りやすいので。

夜盲症の原因

夜盲症の原因は、大きく分けると下記の通りです。

  • 網膜色素変性症
  • 白点状網膜症
  • ビタミンA欠乏症

網膜色素変性症は、網膜の視細胞と色素上皮細胞が広範囲にわたって変性する、先天性の疾患です。遺伝性の場合もありますが、ほかの要因も考えられます。
両目に発症し、初期症状として夜盲症が自覚される場合があります。現時点では治療法が確立されておらず、国によって難病指定されています。

参考:網膜色素変性症(指定難病90) | 難病情報センター(外部リンク)

白点状網膜症は小さな白点が眼底に表れ、視野狭窄をきたすことと暗順応の遅れを起こすことが特徴的です。

後天性の夜盲症には、ビタミンA欠乏症がありますが、ビタミンA欠乏症は、特殊なケースを除いて現代の日本でほとんど見られなくなっています。ビタミンA欠乏症の場合、ビタミンAの摂取が有効となる場合があります。

夜盲症の治療方法は確立されていない

落ち葉がちっている土の上の一部分だけが黄色く光っている写真。

現在、夜盲症に対して確立された治療方法はありませんが、正確な診断をもとに、適切な道具などを使用することで日常生活の困難を少なくすることはできます。

夜盲症の人が生活で困ること

夜盲症の人が困っていることとして、以下の3点があります。

  • 夜間の運転
  • 夜間の外出
  • 映画館や美術館など暗いところへのレジャー

夜、見えない中を歩くのは、私にとって大きなストレスです。知らない場所で暗くなってしまって、帰れなくなったこともあるので……。家に帰るのが夜になってもいいように、家は駅の近くで探すようにしていました。

また日中でも、地下鉄の駅には暗いところもあって、見えなくて困ることがあります。

雨が降った夜の街。車や建物の照明がにじんでいて、傘を差した人が立っている。
(写真素材:Unsplash)

最後に

夜盲症は、暗い場所で目が暗闇になれず、見えにくいままの状態である症状です。暗い場所で見えにくさを感じる方は、医療機関で相談するようにしましょう。

Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

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監修:椎野めぐみ先生

略歴
眼科医。神奈川県生まれ。浜松医科大学医学部卒業後、横浜市立大学付属病院、みなと赤十字病院などを経て、横浜市立大学講師を務める。2018年上智大学グリーフケア研究所臨床傾聴士を取得。趣味は、美味しいものを食べること、感動する本を読むこと。

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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