見えない世界を見に行こう ~2019日本点字図書館オープンオフィス~

日本点字図書館の入り口の画像。カラフルなオープンオフィスの看板が掲げられている画像。

11月9日土曜日~10日日曜日、東京都新宿区高田馬場の日本点字図書館でオープンオフィスが行われました。初日に伺った様子をお伝えします。

オープンオフィスとは、例年この時期に日本点字図書館で行われる最大のイベントです。
様々な体験コーナーや図書館の裏側を覗けるイベント、コーヒーの提供や豪華ゲストの講演、ミニコンサートなどプログラムが盛りだくさん。もちろん、わくわく用具ショップも営業中です。

それではブースごとに紹介していきます。

わくわく用具ショップ

オープンオフィス限定のセット商品を販売していました。
かんたん点字名刺セット、人気おみやげセットなど、職員さんオススメセレクトが揃っています。
通常販売しているグッズもこの場で購入できます。

日本点字図書館にある「わくわく用具ショップ」

限定セットの一覧をまとめている用紙の画像。
オープンオフィス限定セットは5種類。
点字名刺セットや白黒セットが並べられている画像。
手にとって商品を確認できます。
手書きで書かれたイラスト付き商品ポップの画像。
手作りのポップがとてもかわいい。

日本盲導犬協会

外の休憩所の隣には、日本盲導犬協会のブースがありました。周辺の道路に出て、盲導犬と実際に歩くことができます。

盲導犬体験の順番待ちしている子供達とたまたまそこに居合わせた盲導犬ユーザーが交流していました。子供たちが質問したり、逆にユーザーが教えたりしていたり、直接ユーザーとお話が出来る機会というのは貴重な体験になったことでしょう。とても微笑ましい光景でした。

日本盲導犬協会のブースで担当者が立っている画像。
盲導犬は体験に出ていたのでブースを撮影。

点字カレンダー作成

予め点字の打ってある亜鉛版に点字用紙を挟んで専用の機械に通すことで、亜鉛版に書かれている点字が紙に刻印されます。
表紙と背表紙の紙を決め、隣の機械でリングを通す穴を開け、リングを通して完成です。
自分で作業した世界でひとつのカレンダーをお土産として持ち帰ることができました。

亜鉛板印刷を行う機械に亜鉛板を通している画像。
亜鉛版が機械にヒュッと吸い込まれていきます。
点字カレンダーの表紙を数種類の中から選んでいる画像。
表紙を選んでいます。
完成。表紙には来年の干支ねずみのイラストが点字で。

ミニ点字コーナー

自分の名前を点字で打って、名刺を作ろうというコーナーです。
点字は右から左に向かって打つので、まずは自分の名前をひらがなで右から左に紙に書きます。
次に、自分の名前に入っている文字を、点字一覧表から探します。
最後は、点字器に挟んだ名刺サイズの紙に、1文字ずつ点筆(てんぴつ)で打っていきます。

点がうまく出なかったり、ひとつ穴がずれてしまったりしましたが、慣れると良い音がしてキレイに点を出せるようになりました。
1文字ずつ表から探して打つので時間がかかりましたが、慣れている人はすごく速い速度で打つことができます。

自分の名前を右から左に書いている画像。
点字で打つ通りに、右から左に書いていく。
点字器と点筆を使って点字を打っている画像。
キレイに打てるといい音がして気持ちいい。
点字つきおみくじが入った箱を職員さんが持っている画像。
点字で書かれたおみくじも。読めるかな?

スターバックスコーヒー

休憩所にはスターバックスのコーヒーサービスがありました。
スターバックスは毎年、年末に『Book For Two』というプログラムを実施しています。
スターバックスの店頭で不要になった本やCD・DVDを回収し、買い取りを専門家に依頼。買い取り金額を全額日本点字図書館に寄付しています。

寄付金は、録音図書や点字図書の作成に充てられているそうです。
無料で提供されていたコーヒーですが、もちろんしっかりスタバの味。心も体も温まります。お子さん向けにはココアも用意されていました。

スターバックスの2種類のおしゃれな紙コップを撮影した画像。
ホッと一息。

点字図書館を覗いてみよう

そもそもここは点字図書館です。
普段、点字図書館はどんなことをやっているところなんだろう?ということが体験出来るコーナーです。

点字の本や音声図書が置いてあり、実際に触ることが出来たり、利用者からリクエストが入ったという想定で、蔵書からそのタイトルのCDを探し、パソコンで貸し出し登録まで体験できます。

点字図書館の設立当初は、主に点字図書の貸出でしたが現在は音声図書の貸し出しが多くを占めるそうです。
普段は入ることのできない書庫を覗けるなど、図書館マニアにはたまらないプログラムのひとつでしょう。

録音図書を再生する機械や実際の本が並べられている画像。
録音図書や点字図書が並んでいます。
スライド式の棚にびっしりと本が並べられている画像。
普段入れない書庫には蔵書がズラッと並びます。
点字図書館の利用方法などを説明しているパネルを撮影した画像。
パネルでの説明もあって分かりやすい。

ゆめが丘DC

不要になった点字用紙が封筒やしおりに生まれ変わります。
そんな作業をしている横浜市の作業所が出展していました。

点字用紙を使ったもの以外にも、畳のヘリを再利用したカードケースやペンケースもありました。どれも一つ一つ手作りで作られていて、同じものは2つとありません。地域のお祭りなどにも出展しているとのことです。

現在、事業所では視覚障害者1名が作業に参加しているとのことでした。

点字用紙で作成された封筒や折り紙、紙袋などが並べられている画像。
カラフルでおしゃれな製品がたくさん。

iPhone・iPad・PCで読書体験

便利なIT機器を使って読書をしてみようというコーナーです。私はiPadにチャレンジしました。
まずは便利な使い方として、拡大機能やボイスオーバー機能の紹介から。
三本指でタップしてからスワイプさせたり、アルファベットのZのような模様を書いたりして便利に操作します。

読書は『ボイスオブデイジー5』というアプリケーションを使って、実際に聞くことができました。
デイジー図書を聞く機器は色々とありますが、高い機器を買ったりソフトを入れなくても、一度アプリケーションを入手してしまえば手軽に使えるのがiPhone・iPadのポイントです。身近にある機器で手軽に使えるというのも良いですね。

日本点字図書館ではIT教室も開催していて、iPhoneやiPadの使い方やデイジー図書の聞き方など、利用者一人一人のニーズに合わせて教えてくれます。

職員さんにiPadの便利な使い方を教えてもらっている画像。
VoiceOverを使えば全盲の人でも操作できます。

見えない・見えにくい体験

歩行体験

中心暗転や視野狭窄の模擬体験ができるメガネをかけて、文字を読んだり廊下を歩きました。
中心暗転(真ん中の視野が欠けている)状態では、正面にある看板などの文字の認識が難しく、逆に、視野狭窄(周りの視野が欠けている)状態では、正面の文字はなんとが読めますが周りの状況が分かりません。

中心暗転は文字の読み書きが困難。視野狭窄は移動が困難。
それぞれ一口に視覚障害といっても様々な困り事があることが分かります。

レンズの鼻よりの部分に覆いがある眼鏡をかけている画像。
中心暗点を体験。視野の真ん中が見えにくくなります。
レンズが三角錐になり、先に穴が空いている眼鏡をかけている画像。
視野狭窄を体験。周辺が見えません。
スタッフの渡辺が視野狭窄の体験眼鏡をかけている画像。
中心暗点のあるスタッフ渡辺も体験すると…

ちなみに、中心暗転のあるスタッフの渡辺が視野狭窄メガネをかけてみました。唯一見えている周辺の視野が隠されて、何も見えませんでした(笑)

また、視覚障害者をガイドする時のコツも教えて頂き、職員さんに腕を掴んでもらいガイド体験もしました。

<ガイドのコツ>

  • ひじの上を持ってもらう(腕を組んだり、後ろから押したりしない)
  • ガイドが常に1歩先を歩く
  • 脇を締める
  • 不必要に体を動かさない・ひねらない
  • 階段の直前では一旦立ち止まり、上りなのか下りなのか伝える

このような基本的なコツを教わり、階段を往復しました。
「一つ下の階に行きたい」とのご希望だったので、「階段で大丈夫ですか?」と確認したところ、その声掛けいいですねとお褒めいただきました。
普段、ガイドヘルパーとして無意識にやっている動作でも、こうして一つ一つ確認することで、基本通りにきちんとできていないことが分かります。

スタッフの下田が職員さんを誘導している画像。
普段意識していないこともしっかり確認します。

文字の読み書き

白内障の体験メガネ(視界が白濁している状態)をかけて、文字の読み書きに挑戦。
大きく書かれた文字を、まずは白い紙に黒いペンで書き写します。
次に、同じ文字を黒い紙に白いペンで同じことをします。
それを見比べて、どちらが書きやすく見やすかったかを検証しました。

視界が霧の中のように白く濁っているので、白い紙はハッキリ見えません。逆に黒い紙は存在感がくっきりはっきり見えます。

全ての視覚障害者に共通するわけではありませんが、黒背景に白文字が読みやすいという視覚障害者は多いです。最近では黒い名刺や黒いホームページなども増えてきたようです。

白濁状態の眼鏡をかけて、白と黒の文字を書いている画像。
どちらの文字が見やすいでしょうか。

お金を当てよう

アイマスクをして、小銭の種類を当てるというコーナーです。
手触りだけで小銭を判別する方法を教わりました。
100円玉と10円玉は、ふちがギザギザしているものが100円、していないものが10円。ただし、ギザ10はわかりにくいですね。

50円玉と5円玉も、ギザギザしているものが50円、していないものが5円。
また、描いてある模様が特徴的だったり、比べた時に重さや大きさが違いました。
決められた金額を手探りで探して支払うのですが、50円玉と5円玉を間違えてしまいました。

50円玉と5円玉を間違えて選んだ小銭を手のひらに乗せている画像。
285円のはずが、5円がない…おかしい…
再度小銭を選び直し、正しく取ることができた画像。
再度挑戦すると正解できました。

普通のお財布の小銭入れから毎回小銭を探すのは大変なので、わくわく用具ショップでは小銭の種類を分けてしまえるコインホームや、小銭を入れるところが何ヶ所もあって分けてしまっておけるお財布などが販売されています。

小銭を分けてしまえるコインケースに小銭が入っている画像。
スタッフ下田の私物。日本点字図書館でも購入できます。

ろくせいクエスト

『朗読にチャレンジ!』のコーナーです。ドラゴンクエストに見立てて、5つのミッションに挑戦しました。
原稿から朗読CDが出来るまでの流れをキーワードを集めながら、冒険気分で体験できました。

オレンジの紙に黒い文字でミッションが書かれている紙の画像。
ミッションクリアを目指します。

単語の読み方のアクセントを調べたり、音声ガイドを聞いて何の映画のワンシーンか当てたり、実際に詩を朗読してその場でCDにして持ち帰れたり。さらには、普段入れないような録音スタジオの中に入ったり、実際にマイクに向かって朗読したりと、貴重な体験ができました。

日本点字図書館では、なんと大小合わせて15室の録音スタジをがあり、大きいスタジオではドラマCDなどのように大人数で効果音や声を入れながら録音することもあるようです。

録音スタジをで朗読体験をしている画像。
自分の朗読したCDがその場でもらえます。
周りの人に聞こえないようにメガホンで職員さんにキーワードを伝えている画像。
ゴールすると、景品がもらえました。

セブン銀行

コンビニエンスストアのセブインレブンなどに置いてある、セブン銀行のATMの音声ガイダンスの体験です。
ATMの横についている受話器を上げると、視覚障害者向けの音声ガイダンスが流れます。
操作に従ってボタンを押すことで、画面を触らずに受話器だけで操作できます。

また、受話器で操作している時は画面には何も表示されないので横から覗き見られる危険性もありません。
実際に触ってみましたが、宅配便の再配達を頼む時の音声ナビダイヤルのように、指示通りに希望の番号を押すことで先に進むので操作は簡単でした。これなら人に頼まなくても安心して自分で操作できると思いました。

スタッフの方と一緒にATMの操作をしている画像。
スタッフの方が丁寧に教えてくれました。
ATMを操作する受話器をアップで撮影した画像。
大きくて分かりやすいボタンで操作も簡単。

終わりに

オープンオフィスは視覚障害者向けとは限らず、晴眼者が見えにくい体験をしたり点字図書館の裏側を知ることが出来たり、参加者みんなで楽しむことができます。

ここではご紹介できていませんが、豪華ゲストの講演やミニコンサートも行われています。

例年この時期に開催されているので、来年はぜひ御家族や友人のみなさんと足を運んでみてはいかがでしょうか。

日本点字図書館入り口の看板を下から見上げるように撮影した画像。
また、来年お会いしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

下田ゆかり

1985年神奈川県生まれ。警備業に10年以上従事していたが、28歳の時、交際相手が視覚障害者になったことをきっかけに、ガイドヘルパーの仕事を始める。同行援護従業者養成研修一般過程・応用過程修了。介護職員初任者研修修了。