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ストーリー

「個性が掛け算になる」【愛知・名古屋2026アジアパラ】開幕直前!ゴールボール日本代表「オリオンJAPAN」のチーム力

ゴールボール日本代表オリオンJAPANのロゴと、各選手、取材にうかがったナショナルトレーニングセンター外観の写真のコラージュ。

2026年10月18日日曜日から24日土曜日まで「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」が開催されます。日本で初めての開催となる今回の第5回大会には、アジアから45の国と地域が参加。18競技が行われます。ゴールボールは豊橋市総合体育館を舞台に熱戦が繰り広げられます。

ゴールボール日本代表「オリオンJAPAN」は、パリ2024パラリンピックで男子が金メダルを獲得。さらに、2026年6月に行われた世界選手権では、男子が過去最高の4位、女子が6位に入るなど、世界の舞台で存在感を示してきました。

アジアには、中国、韓国、タイなどの強豪国がひしめいています。そんな厳しい戦いに挑む「オリオンJAPAN」について、東京都北区の「味の素ナショナルトレーニングセンター」でアジアパラ競技大会に向けて強化合宿中の日本代表の皆さんに、チームの雰囲気やそれぞれの強み、そしてゴールボールの魅力について聞きました。

各選手のポジションや障害クラス、所属などの詳細は、下記の日本ゴールボール協会のサイトでご確認いただけます。

オリオンJAPAN「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」出場選手のお知らせ | 一般社団法人日本ゴールボール協会(外部リンク)

ナショナルトレーニングセンター入口のモニュメント。人の身長よりも高い立体の赤いアルファベットNTCがある。
味の素ナショナルトレーニングセンターは、日本のトップレベルの競技者がトレーニングを行う施設です。

※Spotliteを運営する株式会社mitsukiは、日本ゴールボール協会のオフィシャルサプライヤーです。

「静寂の中の格闘技」ゴールボールとは?

女子オリオンJAPANの競技中の様子。攻撃の選手がボールを持った右手を大きく引いて左足を蹴りながら投球する瞬間。
(写真提供:一般社団法人日本ゴールボール協会)

ゴールボールは、視覚障害者を対象に考案されたスポーツです。1チーム3人でコートに立ち、鈴の入ったボールを相手ゴールに向かって転がすように投げ、得点を競います。選手は全員アイシェード(目隠し)を着用するため、目で相手やボールを見ることはできません。

頼りになるのは、ボールの鈴の音や選手同士の声、足音など。攻撃側は相手の守備位置を読みながらボールを投げ、守備側は音を頼りにボールの方向を判断し、全身を使ってゴールを守ります。静かなコートの中で激しい攻防が繰り広げられることから、「静寂の中の格闘技」とも呼ばれています。

ルールや観戦のポイントは、Spotliteの「日本ゴールボール選手権大会」決勝レポートで詳しく紹介しています。

オリオンJAPANとは?個々の輝きがひとつになる日本代表

オリオンJAPANのロゴ

ゴールボール日本代表の愛称は「オリオンJAPAN」。男女共通の愛称で、2021年に一般公募を行い、1395通の候補から選ばれました。

由来は、四季を通して見つけやすい星座「オリオン座」です。中央に並ぶ3つの星「オリオンベルト」が、コート上で躍動する3人の選手をイメージさせます。さらに、オリオン座を形づくる7つの星は、控え選手や監督・コーチ、家族、ファンなど、日本代表を支える人たちとの絆の象徴です。

ロゴには、ボールが投げられ、転がり、弾んでいく動きをイメージした曲線や斜体を採用。「GOALBALL」の文字を添え、競技がひと目で分かるようになっています。また、視覚障害者や色覚多様性を尊重したデザインと配色が採用されています。

「和気あいあい」と「個性の掛け算」。それぞれの強みを生かして戦う男子チーム

まず、男子日本代表に話を聞きました。休憩中に快くインタビューに応じてくださったのは、田口侑治選手、宮食行次選手、行弘敬祐選手、鳥居陽生選手、永野陽希選手、キャプテンの金子和也選手の6人です。

男子チームについて、田口選手は「和気あいあい」と表現しました。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た田口選手。
田口侑治選手

現在35歳の田口選手はチーム最年長。一方で、チーム内には20代前半の選手もいます。年齢に幅はありますが、コートに入ればそれは関係ありません。

田口選手「目標に向かって、みんなが集中できている。そういう雰囲気があります。コート内では上下関係なくお互いに要求し合いますが、コート外では和気あいあいとしている。メリハリがありますね」

年齢には幅があるものの、海外のチームと比べると、男子チームは平均年齢が若いといいます。副キャプテンの宮食選手がチームの魅力として挙げるのも「若さ」です。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た笑顔の宮食選手。
「最近、金髪ロングから金髪の短髪にしました」と話す宮食行次選手

宮食選手「世界を見渡しても、これだけ平均年齢が若いチームはそんなにない。若さもありながら、しっかりと実力もある。そのバランスが良いチームだなと感じています」

そんな男子チームを、行弘選手は「個性が強い」と表現します。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た笑顔の鳥居選手と行弘選手。
写真左から、鳥居陽生選手、行弘敬祐選手。

行弘選手「選手の個性がすごく強い。髪型にも各々のこだわりが出ています(笑)。140キロの速いボールを投げられる選手もいて、みんなそれぞれに強みがあります。ひとつのチームとしてうまくハマったときの強さは、世界一じゃないかなと思います」

「個性や強みの掛け算」をいい状態でキープできるよう、普段の練習に取り組んでいるといいます。

チーム最年少、22歳の鳥居選手は合宿でより技術を磨いています。

鳥居選手「合宿は、これまで練習で積み重ねてきたことや、自分がやりたいことを、メンバーがそろった試合形式の中で試す場だと思っています。トライする精神で臨んでいます」

そして、今回のアジアパラに特別な思いを持っているのが、岐阜県出身の永野選手です。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た永野選手。
永野陽希選手

永野選手「地元に近い場所での開催なので、すごく気持ちも入っています。自分が世界選手権に出られなかった悔しさも、今回すべてぶつけたい。自分に課せられた使命は、チームに『新しい風を吹かせる』ことだと思っています。いいムードを作って、優勝に貢献したいです」

最後に、キャプテンの金子選手に、試合で大切にしていることを聞きました。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た金子選手。
金子和也選手

金子選手「僕個人としては、毎試合変わらず、勝つことがとにかく大事だと思っています。その上で、観戦した人に『かっこいいな』『すごいな』と思ってもらえるようなゴールボールの楽しさが伝わるプレーをしたいです。

チームとしては、それぞれの役割や守備範囲を全うするからこそチームが輝いて、厚みが出ると思っています。自分の役割をどうすればしっかり全うできるか、一人ひとりが考えることを大切にしています」

勝負に対して高い目標を持ちながら、合間ではお互いに冗談を言い合い、笑い声の絶えない男子代表チーム。まさに和気あいあいとしたメリハリのあるインタビューとなりました。

「チーム力」と「選手層の厚さ」。多彩な強みを生かして戦う女子チーム

続いて、女子日本代表選手の皆さんに話を聞きました。インタビューに応じてくださったのは、キャプテンの高橋利恵子選手、安室早姫選手、神谷歩未選手、萩原紀佳選手、木村由選手、新井みなみ選手の6人です。

女子チームの魅力をひとことで表してください、と投げかけると、キャプテンの高橋選手が「一緒に言うよ!みんな考えて……せーの!」と掛け声。「明るい」「緻密な組み立て」「よく食べる」「多彩」「選手層の厚さ」「チーム力」と、6人それぞれから異なる答えが返ってきて「なになに?」「聞き取れない」とみんなで笑顔に。

日本代表の赤いジャージの女子オリオンJAPANの6名の選手。
写真左から、神谷歩未選手、安室早姫選手、高橋利恵子選手、木村由選手、萩原紀佳選手、新井みなみ選手

多彩な強みを持つ女子チーム。合宿では、さらなるレベルアップに取り組んでいました。

安室選手は、「精度」を意識して練習に取り組んでいると言います。

アジアパラ日本代表の赤いジャージを着た安室選手。
安室早姫選手

安室選手「今は、投げるコースの精度にこだわっていて、相手の弱いところにしっかり投げ込んでいくことを強化しています。ディフェンスでは、それぞれの守備範囲を広げて、2人の選手の重なりをつくり、ボールが抜けないように取り組んでいます」

女子チームでは現在、プレー中の「声かけ」も意識しているそうです。状況を問わず声をかけ合い、コミュニケーションとチームを盛り上げることを大切にしています。

アジアパラ日本代表の赤いポロシャツを着た木村選手。
木村由選手

木村選手「自分がここに投げたいと思っていたときに、味方も同じコースを言ってくれると、『あ、一緒だ』と思えて嬉しいです。自分のやりたいプレーができたり、味方との連携がうまくいったり、コミュニケーションがしっかり取れたりしたときに、すごく楽しいなと感じます」

競技では息を合わせて戦う選手の皆さん。コートを離れると、どのように過ごしているのでしょうか。

アジアパラ日本代表の赤いポロシャツを着た萩原選手と新井選手。
写真左から、萩原紀佳選手、新井みなみ選手。

新井選手「合宿中に1日オフがあるので、みんなで買い物に行ったりお昼ご飯を食べに行ったりしています。そこでおしゃべりして笑ったり、楽しく過ごしています」

萩原選手「みんなで一緒に、飲み会でやるような数遊びのゲームをすることもあります。1からひとりずつ順番に数を数えて、拍手の仕方や言い方を変えて、進めながらどんどんルールを増やしていく、脳トレのようなゲームです。みんなで笑って盛り上がります」

オフの時間も一緒に外出して交流を深める女子チーム。その中でも、今回の大会をひときわ身近に感じているのが、愛知県出身の神谷選手です。

アジアパラ日本代表の赤いポロシャツを着た満面の笑顔の神谷選手。
神谷歩未選手

神谷選手「国際大会が地元で開かれる機会はそんなに多くないので、より嬉しく感じています。多くの人にパラスポーツやゴールボールを知ってもらうきっかけになればと思います」

最後に、キャプテンの高橋選手から、アジアパラ競技大会でゴールボールを観戦する人にメッセージをもらいました。

アジアパラ日本代表の赤いポロシャツを着た笑顔の高橋選手。
高橋利恵子選手

高橋選手「『なんでここを攻めているんだろう?』『なんでここに投げたんだろう?』と、選手の意図を考えながら見てみてください。少しずつ狙いがわかってくると、もっと面白くなると思います。

今回も、どのチームともいい試合ができると思っています。みなさんと一緒にゴールボールを盛り上げていけたら嬉しいです」

愛知で開催のアジアパラで「オリオンJAPAN」の戦いを見届けよう

「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」は、2026年10月18日から24日まで開催。ゴールボールは開会前の17日から競技がスタート。豊橋市総合体育館で行われます。

日本代表「オリオンJAPAN」の試合を会場で観戦したい方は、競技日程や会場、観戦方法などの最新情報を大会公式サイトでご確認ください。

ゴールボール|愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会公式サイト(外部リンク)

オリオンJAPANの競技日程・大会の詳細はこちら

[Goalball] Participating Teams and Matchups Confirmed(外部リンク)

女子予選リーグ

  • 10月17日・土曜日 9:00~(対タイ)
  • 10月19日・月曜日 11:40~(対中国)
  • 10月20日・火曜日 11:40~(対韓国)

男子予選リーグ

  • 10月17日・土曜日 11:40~(対カタール)
  • 10月19日・月曜日 9:00~(対タイ)
  • 10月20日・火曜日 10:20~(対中国)/14:20~(対韓国)
  • 10月21日・水曜日 14:20~(対イラン・イスラム共和国)

決勝リーグ日程

  • 準決勝 10月22日・木曜日
  • 3位決定戦 10月23日・金曜日
  • 決勝戦 10月23日・金曜日

公式チケットショップはこちら:愛知・名古屋2026アジアパラ 公式チケットショップ(外部リンク)

写真・執筆:mio.h(※注釈のある写真を除く)
取材:aki
編集協力:株式会社ペリュトン

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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