視覚障害者はどのような仕事に就いているのでしょうか。あまりイメージがつかない人もいるかもしれません。
視覚障害者が多く就いている仕事の一部には、以下の3つがあります。
- 在宅でできる仕事
- あん摩、はり、きゅう
- オフィスでの事務仕事
この記事では、上記3つの仕事が視覚障害者と相性の良い理由や仕事を選ぶ上での注意点、仕事の探し方を解説します。また、視覚障害者の仕事について統計や当事者のコメントもあわせて紹介します。ぜひ参考にしてください。
視覚障害者はどんな仕事をしている?
視覚障害者の仕事について、平成30年度に日本視覚障害者団体連合がハローワークを通じて実施した調査があります。その結果、視覚障害者の仕事には以下の職業があることが分かりました。
最も割合が高かったのが専門的・技術的職業の47.7%で、次いで運搬・清掃等の職業が18.8%、事務的職業が14.8%という結果になりました。
平成25年度の厚生労働省の調査を見てみると、事務職に就いている人の割合が多い点は、一般雇用者(障害者雇用以外の人)と共通しているといえます。
また、平成30年に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターが視覚障害者の職業に関する調査を行いました。この調査は「ハローワークの紹介によって就職に至った視覚障害者を雇用した事業所」に対する調査です。
その結果、最も割合が高かったのは「あん摩マッサージ指圧師」で32.4%、次に割合が高かったのは「ビル・建物清掃員」の7.3%でした。また、あん摩マッサージ指圧師と同じ専門職である「はり師」は1.7%で、視覚障害者の専門職・技術職の割合は高いことが分かります。
視覚障害者におすすめの仕事
全盲や弱視の視覚障害者が多く就いている仕事の一部を以下に紹介します。
- 在宅でできる仕事
- あん摩・はり・きゅう
- オフィスでの事務仕事
それぞれの仕事内容や、視覚障害者と相性がよい理由を説明します。
在宅でできる仕事
「在宅でできる仕事」は視覚障害者と相性のよい仕事といえます。在宅でできる仕事の例には、エンジニアや文字起こし、データ入力などがあります。
オフィスへの通勤やオフィス内での移動は、視覚障害者にとって危険な場合もあります。しかし在宅なら、移動の必要がなく、パソコンがあれば問題のない場合が多いです。また、画面読み上げソフトや点字ディスプレイなどが利用できるのもポイントのひとつです。
以下の記事も参考にしてみてください。
参考:視覚障害者が在宅でできる仕事は?求人の探し方も紹介 | Spotlite(内部リンク)
あん摩・はり・きゅう
「あん摩・はり・きゅう」は、専門的な職業です。「あはき」と呼ばれることもあります。
「あん摩」とは、衣服の上から全身を揉んだり撫でたりして、疾病の予防や治療を行う伝統医療です。「はり」とは、はりを使って体のツボを刺激し、健康回復を促したり治療したりすることです。「きゅう」は、もぐさの燃焼により熱の刺激を使っておこなう伝統医療です。
あはき業は明治時代から盲学校などで教えられており、視覚障害者にとっては伝統的な仕事です。
オフィスでの事務仕事
「オフィスでの事務仕事」も、視覚障害者と相性の良い仕事です。
音声入力ができるアプリや拡大読書器などを使用することで、視覚障害者が仕事をしやすい環境になります。また、キーボードの配置を覚えれば、タイピングも可能です。
技術の進化により、より機能的なシステムができれば、ますます視覚障害者が働きやすくなるでしょう。
視覚障害者関連の会社で働く北原さん(弱視)のコメント
「当社では、オフィスの中に室内用点字ブロック『ほどうくんガイドウェイ』(外部リンク)が敷かれています。また、パソコンのサイズも私の見え方に合わせてもらっているので、あまり不自由なく働けています」
視覚障害者が仕事を選ぶときの注意点
視覚障害者が仕事を選ぶ時の注意点は、大きく分けて以下の3つです。
- 通勤の有無や・時間帯の調整が可能かどうか
- 障害者の採用実績の有無や離職率
- 視覚障害者が働きやすいオフィス環境かどうか
各注意点をひとつずつ説明します。
通勤の有無や・時間帯の調整が可能かどうか
通勤の有無や出勤時間の調整が可能かどうかを、入社前に確認しましょう。
事務職であっても通勤が必要な場合もあります。また、最初は出社して、徐々に在宅ワークに切り替える場合もあります。
通勤ラッシュの時間帯は、人の行き来が激しく、視覚障害者がスムーズに移動できない可能性があります。また、夜盲症のある人は、明るい時間帯に帰れるかどうかを考慮するのもおすすめです。
盲導犬を利用している人は、職場が受け入れ可能かどうかを確認する必要があります。
障害者の採用実績の有無や離職率
障害者の採用実績の有無や離職率も、注意すべき点のひとつでしょう。
障害者が働くためには、企業全体や職場の理解が必要不可欠です。障害者別の採用人数や勤続年数などがわかれば、その会社や職場における障害者の受け入れ態勢が分かります。
視覚障害者が働きやすいオフィス環境かどうか
音声読み上げソフトや音声入力アプリ、拡大読書器などの支援機器が導入されているのかも確認しましょう。支援機器が導入されている企業の多くは、障害に対する理解が高いといえるでしょう。
また、障害の状態に合わせて色合いや明るさに配慮してもらえるかも確認できると安心です。
視覚障害者が仕事を探す方法
視覚障害者が仕事を探す方法は2つあります。
- 民間の障害者向け就職・転職サービスを利用する
- ハローワークで求人を探す
それぞれの方法を解説します。
民間の障害者向け就職・転職サービスを利用する
「民間の障害者向け就職・転職サービス」には、障害者雇用を専門にした求人サイトや転職エージェントなどがあります。
就職・転職サービスは無料で利用できるものが多く、自分に合ったサービスを探すことができるというメリットがあります。また、履歴書や職務経歴書の添削を行ってくれたり、企業との賃金交渉や条件の調整を無料で行ってくれたりすることもメリットです。
一方、求人サイトでは多くの求人情報を閲覧できるものの、書類作成や面接対応などをすべて一人で行う必要があります。
ハローワークで求人を探す
ハローワークでは、一般雇用以外に、視覚障害者向けの仕事も紹介してくれます。
ハローワークには障害についての専門知識をもつ担当者がおり、職業紹介や就職についての相談などを行ってくれるというメリットがあります。また、インターネットには載っていない地元企業の求人が見つかる場合もあります。
参考PDF:ハローワークは、就職を希望する障害者の方に専門的な支援を行っています | 厚生労働省(外部リンク)
しかし、ハローワークは公的機関であるため、平日の8時30分ごろから17時ごろまでの営業が多く、場所や曜日によっては混雑します。そのため、待ち時間が長くなる可能性もあることを考慮する必要があります。また、ハローワークの担当者により対応や知識量に差がある場合もあるようです。
以下の記事では、視覚障害者の就職支援についてまとめています。
参考:視覚障害者の就職支援サポートとは?就業者の多い仕事や就職時のポイントも解説|Spotlite(内部リンク)
最後に
視覚障害者の多くは、専門職・技術職や事務職に就いています。また、求人への応募や入社前には、社内環境や通勤の有無などを確認し、働きやすい環境であるか確認することが大切です。
また、視覚障害者が仕事を探す場合は、民間の障害者向け就職・転職サービスやハローワークが利用できます。それぞれのメリット・デメリットを理解してから自分に合った方法で仕事を探しましょう。
Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。
LINEアカウントはこちら(外部リンク)
※ 当事務所は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、および香川県に対応しています。