街中で時折見かける盲導犬は、どのような役割を担い、どんな仕事をしているのでしょうか。
この記事では、盲導犬の役割や仕事内容、盲導犬になるための訓練について解説していきます。
盲導犬とはどういう犬?
盲導犬とは、3種類ある身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)の一種です。身体障害者の社会参加を促進するために活動をしています。
「盲導」という言葉にある通り、視覚障害者が安全で快適な行動ができるよう、主に歩行のサポートをします。「障害物・曲がり角・段差」を教えてくれるのが盲導犬です。
日本盲導犬協会によると、盲導犬の育成の始まりはドイツだと言われています。その後1920年代にイギリスやフランス、スペイン、イタリア、アメリカなどへ盲導犬が輸出され、欧米各国に広まりました。
これらの国では「guide dog」「seeing-eye-dog」などと呼ばれています。日本にはじめて盲導犬が訪れたのはずいぶん後のことで、1938年でした。翌年、盲導犬4頭が活動を開始し、それ以降盲導犬が普及していきました。
参考:盲導犬の歴史 | 日本盲導犬協会(外部リンク)
盲導犬として活動する犬種は、限られています。身体障害者補助犬は、障害者の介助作業が必要なため、その行動に応えられるレベルの個体である必要があるからです。ゆえに一般的には大型犬が適しています。現在活動している盲導犬で最も多いのがラブラドール・レトリバーです。次に、ゴールデン・レトリバーやF1(エフワン)と呼ばれるラブラドール・レトリバーとゴールデン・レトリバーのミックス犬種が続きます。
参考:補助犬とは | 日本補助犬協会(外部リンク)
盲導犬が同行できる場所
盲導犬は、視覚障害者が利用する場所なら、基本的にはどこにでも同行ができます。2003年から身体障害者補助犬法が全面施行され、各種補助犬を連れてカフェやレストランに入ったり、医療機関やスポーツジムに行ったり、飛行機やバス、タクシーに乗ったりすることが法的に認められました。また障害者差別解消法においても法的権利として認められています。また、施設側は受け入れ義務があります。
補助犬の入店を受け入れている施設やお店では、「ほじょ犬ステッカー(外部リンク)」が掲示されています。このステッカーは、厚生労働省が身体障害者補助犬法の理解促進を目的に作成したものです。「ほじょ犬マーク」は、リーフレットやポスター等を通じて各施設に普及しています。
盲導犬の仕事
盲導犬は、視覚障害者が安全で快適な行動ができるよう、主に歩行の面でサポートをします。具体的には「障害物・曲がり角・段差」を教えてくれます。しかし、盲導犬はカーナビのように目的地に連れて行ってくれるわけではありません。
視覚障害者が、頭のなかに地図を描きながら盲導犬に指示を出すことで、目的地までたどり着くことができます。あくまで歩行のサポートをすることが盲導犬の仕事です。
盲導犬の訓練
盲導犬は、視覚障害者にとって大切なパートナーです。では一体どんな訓練がされているのでしょうか?
訓練から卒業までの流れでは以下のようなことが行われます。
1歳まで、ボランティアの家庭で暮らす
生後2か月から1歳になるまでの約10ヶ月間、パピーウォーカーと呼ばれるボランティアの家庭で、愛情を与えられて育ちます。
1歳から訓練を受ける
1歳から、盲導犬として求められる作業や社会的なマナーの訓練を約6カ月~1年間受けます。
- 基本訓練
- 犬とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築くための訓練
- 誘導訓練
- 街の中で、目の見えない人、見えにくい人を安全に誘導するための訓練
- 具体的には角・段差を教える、様々な障害物の回避、交通訓練、駅やエスカレーターでの訓練
評価(試験)
所定の評価を行い、クリアした犬が次のステップに進みます。
視覚障害者との共同訓練
所定の評価を行い、クリアした犬が次のステップに進みます。
卒業
共同訓練が終わると、晴れて卒業です。
これらの訓練は全国4ヶ所にある訓練センターで、訓練士と共に行います。訓練に適した犬種が選ばれて訓練されていきます。
盲導犬の費用
盲導犬はどの程度費用がかかるのか、不安に思う方もいるかもしれません。盲導犬自体は盲導犬協会からの無償貸与になります。ただ、もちろん盲導犬は通常のペットと同様、飼育をしていかなくてはなりません。
犬を飼うために必要な道具やドッグフードの費用、医療費などが定期的に発生します。また迎え入れるにあたって、初期費用としておよそ4~5万円かかることは理解しておいたほうがよさそうです。
盲導犬にやってはいけないこと
仕事中の盲導犬にやってはいけないことには、主に下記のようなことがあります。
- 盲導犬に声をかける、目を合わせる
- 頭をなでる、ハーネスを触る
- 音を鳴らす、口笛を吹く
次の記事も、参考になります。
参考:街で盲導犬に出会ったら?盲導犬にしてはいけないこと|Spotlite(内部リンク)
最後に
街中で見かける盲導犬。こんなにも時間をかけて訓練して、視覚障害者の生活を支えてくれているのですね。盲導犬との生活を考えている方は、、検討してみてはいかがでしょうか。
盲導犬をお迎えするには、視覚障害者自身の訓練も必要です。まずは、お近くの盲導犬協会にお問い合わせください。
Spotliteでは、視覚障害者の外出時にガイドヘルパーを派遣する障害福祉サービス「同行援護」の事業所を運営しております。利用者、ヘルパーともに、若年層中心の活気ある事業所です。余暇活動を中心に、映画鑑賞やショッピング、スポーツ観戦など、幅広いご依頼に対応しています。お気軽にお問い合わせください。
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