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ストーリー

「きっかけは逆ナンでした!」フリーランスの私がガイドヘルパーになった理由

ガイドヘルパーと視覚障害者の女性が、緑の多い公園の遊歩道を歩いている。

視覚障害者の外出を支援するガイドヘルパー(同行援護従業者)の仕事をご存知ですか?

ガイドヘルパーは、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのが特徴です。そのため、学生や主婦、会社員、フリーランスなど、幅広い世代の方がいろいろな働き方をしています。

今回は、フリーランスとして働きながらガイドヘルパーとしても活躍するけーこさんに、ガイドヘルパーになったきっかけや仕事のおもしろさ、みつきの魅力について語っていただきました。

ガイドヘルパーになったきっかけは「白杖をもった男性を逆ナン」

─ ガイドヘルパーになろうと思ったきっかけを教えてください。

けーこさん きっかけは、白杖をもった男性を逆ナンしたことです(笑)。

私は東京2020パラリンピックをきっかけに、パラスポーツ観戦にハマりました。ある日、パラ水泳の大会を観に会場に向かっていると、目の前を白杖を持った男性が一人で歩いていたのです。その先には段差や階段もあったので気になって、「何かお手伝いすることはありますか?」と声をかけました。話を聞くと、その方は私と同じ大会を観に来ていたので、一緒に会場まで行くことになりました。

視覚障害者を案内するのはそのときが初めてだったので、ガイドの仕方がよくわかりませんでした。途中で「お水を買いたい」と言われ自販機まで案内したのですが、「どう声をかけたら良いのだろう」と悩んだことを覚えています。そうやっていろいろ考えているうちに、ガイドすることにすごく興味を持ったんです。

その後、アイマスクをして視覚障害を擬似体験するイベントに参加したり、視覚障害者を上手にガイドしている方の姿を見たりして、自分もガイドヘルパーの資格を取ろうと決めました。

私はフリーランスで働いているので、スキマ時間に働けるというのも魅力でしたね。

串カツ屋さんの顔ハメパネルに顔を入れて、頬を膨らませた表情を作るけーこさん。
ガイドヘルパーのけーこさん(写真提供:けーこさん)

─ 同行援護従業者養成研修を受けてみて、いかがでしたか。

けーこさん 私は、研修の場所が歌舞伎町だったんです。人通りが多くて、みんなスマホを見ながら歩いているので、目隠ししたペアの人をガイドする演習はとても怖かったです。資格を取ったとしても、本当に自分にできるのかな?と不安になりました。

でもみつきには、経験の少ないヘルパーさんにアドバイスをくれるベテランの利用者さんがいます。私も最初その方のガイドをさせてもらって、アドバイスや褒め言葉をいただくうちに、自信を持つことができました。

実は、声をかけた白杖の男性はみつきの利用者さんだったんです。「資格をとりましたよ」と連絡したら、「みつきにヘルパーとして登録したら?」と勧めてくれました。

利用者さんの変化や成長を感じられる仕事

─ 現在はガイドヘルパーとして、どんな働き方をしていますか?

けーこさん 私の本業は稼働時間を比較的自由に調整できるので、そのスキマ時間にガイドヘルパーとして働いています。今日も午前中に1件ガイドをしてきて、午後にもう1件予定が入っています。

利用者さんからの依頼内容はさまざまで、1時間程度の短いガイドから1日掛かりの長時間のガイドまで幅広くあります。嬉しいことに最近では、リピートのご依頼や指名も増えてきました。毎週決まった曜日に送迎を担当するなど、固定でのご依頼もありますね。

─ やりがいを感じるのは、どんなときでしょう。

けーこさん やはり感謝されたときは、この仕事をしていてよかったなと感じます。私自身も利用者さんとの時間を楽しんでいるのですが、最後は必ず「ありがとう」と言ってもらえます。なかには「また次回もお願いします」と指名してくださる方もいて、利用者さんとの信頼関係ができていくのを実感したときにやりがいを感じますね。

また、中途視覚障害の利用者さんで、「近所のコンビニにも怖くて一人で行けない」と話す方がいました。でもその2カ月後に、「駅まで1人で行けるようになったの」と話してくれたときは、本当に嬉しかったです。

小学生の送迎もしているのですが、その子が吊り革につかまっているのを見て「ついこの間まで吊り革に手が届いていなかったのに……」と、感動することもあります(笑)。

こうして利用者さんの変化や成長を間近で感じられるのも、大きなやりがいになっていますね。

白杖の人とガイドヘルパーが並木道を歩いている写真。

みつきの魅力は「ヘルパーファーストでもあるところ」

─ 利用者さんをガイドするとき、意識していることはありますか?

けーこさん 利用者さんの意思を尊重することを大切にしています。たとえば、利用者さんがパンを買いたいと言った場合、いつ食べるのかを確認します。当日中に食べるのか、翌朝食べるのかで、おすすめするパンの種類や特徴が変わってくるからです。利用者さんの好みに合ったものを効率よく選べるよう、しっかりと話を聞くことを心がけています。

階段やエスカレーター、エレベーターの選択も同じです。正直、自分が疲れているとついエスカレーターを使いたくなることもあります(笑)。でも利用者さんのなかには「下りのエスカレーターは怖い」などと感じる人もいるので、利用者さんの状況や気持ちを考えて案内するようにしています。

もちろん、「エスカレーターは今、人が少なくて移動しやすいですよ」などと客観的な情報も伝えますが、最終的にはいつも利用者さんに決めてもらいます。

─ けーこさんは現在、複数の事業所でガイドヘルパーをされているそうですね。みつきの魅力はどんなところにあると思いますか?

けーこさん いちばんは、運営スタッフの顔が見えるところですね。交流会を開いてくれたり、ヘルパー図鑑を作ってくれたりと、あたたかさが伝わります。

また、みつきではやりとりをLINEで行えるので、質問や要望を伝えやすい雰囲気があります。他の事業所のなかには、スタッフとの接点はほとんどないところもありますが、みつきは利用者さんファーストなのはもちろん、ヘルパーファーストでもある姿勢が魅力だと思います。

屋外でスマートフォンを捜査している人の手元と、その横に立つ白杖の人の手元。

みつきは若いヘルパーさんが多いのも特徴の一つですね。学生さんをはじめ、20代や30代の方が活躍しています。若いヘルパーのフットワークの軽さを活かして、利用者さんの希望に合わせた幅広いフィールドを一緒に楽しめるところも、みつきの良さだと感じています。

─ 最後に、ガイドヘルパーに興味がある方にメッセージをお願いします。

けーこさん ガイドヘルパーは体力がある人、人と話すのが好きな人、いろいろな場所に行ってみたい人にぴったりの仕事だと思います。

たとえば、私はジャズを聞きながらのディナーや、町中がアートで彩られるイベントに行ったことがあります。利用者さんの「情報をキャッチする力」には本当に驚かされます! 

ガイドヘルパーの仕事を通して、今まで知らなかった世界が広がるはず。私の場合、利用者さんに教えてもらったお菓子が、自分の新しい定番になることもありました(笑)。ぜひ一緒に働きましょう!

記事内写真撮影:Spotlite(※注釈のあるものを除く)
取材・執筆:白石果林

この記事を書いたライター

Spotlite編集部

Spotlite編集部は、編集長で歩行訓練士の高橋を中心に、視覚障害当事者、同行援護従業者、障害福祉やマイノリティの分野に精通しているライター・編集者などが協力して運営しています。

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