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網膜色素変性症

網膜色素変性は、眼の中で光を感じる組織である網膜(図1)に異常がみられる遺伝性の病気で、日本では人口10万人に対し18.7人の患者がいると推定されています。特徴的な症状は、夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つです。 網膜の中で光を感じる細胞には、錐体(すいたい)細胞と杆体(かんたい)細胞の2種類があり、錐体細胞は網膜の中心部の黄斑(おうはん)に集中して存在し、視力や色覚を担います。杆体細胞はそれより周辺に多数分布して、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きを担います。 網膜色素変性では普通、杆体細胞から障害されるために、夜盲が最初に現れることが多く、進行すると周辺の視野が狭くなって、物にぶつかりやすくなったり、物が見えたり消えたりするという症状が現れます。さらに病気が進行すると錐体細胞も障害され、視力低下を自覚するようになります。 基本的には進行性の病気ですが、その進行はとても緩やかで、数年あるいは数十年をかけて進行します。また病状の進行速度には個人差がみられ、症状の起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。

引用:日本眼科学会「目の病気」