私たちが目で見ている像は、角膜、水晶体を通った光が網膜面で結像したもので、水晶体が濁っていると霞んで見えるようになります。水晶体は直径が11mm前後の凸レンズで、水晶体嚢(のう)という透明の薄い膜に包まれていますが、そのなかで水晶体上皮細胞が増え続けており、子供より老人の水晶体のほうが重く厚くなります。白内障はさまざまな原因で水晶体が濁る病気ですが、昔から俗に「しろそこひ」と呼ばれています。 白内障の種類は濁っている状態によって細かく分類されていますが、大きくは前嚢下白内障、皮質白内障、核白内障、後嚢下白内障に分けられています。原因として多いのが加齢によるもので、一般に老人性白内障と呼ばれていますが、主に皮質の混濁(皮質白内障)や核の硬化(核白内障)が進行します。光が水晶体を通過する面は瞳孔の大きさで変わりますので、光が通過しないところが濁っている場合は、自覚症状はほとんどありませんが、瞳孔を開く検査(散瞳検査)で水晶体を観察すると、早い人では40代から、80代では大部分の人で白内障が発見されます。 その他の原因として、先天的なもの・外傷、アトピーによるもの・薬剤、放射線によるもの・そして他の目の病気(炎症)に続いて起こるものなどが挙げられます。水晶体が濁り始めると、水晶体で光が散乱するため、霞んだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が出現し、進行すれば視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。
引用:日本眼科学会「目の病気」