眼瞼痙攣は、「まばたきの制御異常」もしくは「開閉瞼の切り替え故障」と捉えると分かりやすいです。まばたきや、瞼(まぶた)の開閉を制御しているのは脳の神経回路ですから、症状は目のあたりにありますが、故障部位は脳のコンピュータということになります。ただし、磁気共鳴画像(MRI)などでは故障部位は映りません。 瞼のこうした運動障害に加えて、まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾く感じなど感覚過敏があるのも特徴です(表参照)。さらに抑うつ、不安、不眠など精神症状を持つ人も半数近くあり、うつ病などと間違えられることもあります。重症例では、開瞼不能であり、上下の眼瞼を硬く閉じ、まぶたの周囲や眉間にしわを寄せる特有な顔貌をしています。多いのは軽症、中等症例で、表にみられるさまざまな自覚症状があり、それが常時気になって集中できない、などの不快な症状が強く、頑固に続きます。 治りにくい病気で、40~50歳以上に多く、女性は男性の2.5倍もかかりやすいものです。一見しただけでは分からないような軽症例を含めると、日本には少なくとも30~50万人以上の患者さんがいると推定されます。
引用:日本眼科学会「目の病気」